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運動イメージは何で必要?またどうやって臨床に応用する?

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こんにちわ!きんたろーブログ(@kintaroblog)です!(^^)!

 

運動イメージというのは、現在リハビリテーションの分野においてすごく利用されているツールです。

 

というのも、以前までは運動イメージそのものがどのような神経科学的な側面があるのかが分かっていなかったのですが、現在多くの研究により運動イメージの正体が徐々に明らかにされ、リハビリテーションに大きく貢献しています。

 

ではなぜ運動イメージというのがリハビリを行っていく上で必要なのでしょうか。

 

認知的側面から考えるリハビリテーションの際に少し触れましたが、今回はさらに詳しく「運動イメージ」のみにフォーカスを当ててお話ししていこうと思います。

運動イメージとリハビリテーション

運動イメージとは?

運動イメージとは
「実際の運動を行わないにも関わらず、その運動をイメージすることで脳内にワーキングメモリーが生成される過程」
『運動イメージと脊髄神経機能 鈴木俊明ら』

とされています。

 

ここで、重要なことは「実際の運動と運動イメージの脳活動は等価である」という事実です。

 

多くの研究からこの事実は分かっていて、その例として

健常者を対象に最大筋収縮での小指外転の運動イメージを4週間行うと22%の筋力増強効果を認めた。
Yue GH,et al : strength increases from of motor program:comparison of training with maximal voluntry and imagined muscle contractions.

 

健常者を対象に最大収縮での足関節背屈の運動イメージを4週間行うと約17%の筋力増強効果を認めた。
Sidaway B,et al :Can mental practice increase ankle dorsiflexor  torque?Phys Ther 85

などといった報告があります。

 

このように、運動イメージと実際の運動を実行する際の脳活動は大きく変わらないことから、運動の回復を行っていく我々セラピストは大いに活用できるツールになるというわけです。

 

では運動イメージとは実際にどのような機序で機能しているのでしょうか。

行為(運動)には運動イメージが先行する

私達、人間が円滑な運動を行うためには必ず予測的な運動感覚というものが必要になります。これが運動イメージであり、以前触れた「遠心性コピー」というのは言い換えると運動イメージということが出来ます。


こころと体の不思議な関係ーイメージを利用したリハビリテーションーより引用

予測的な運動感覚(遠心性コピー)とは?

予測的な運動感覚とは以前お話ししましたが

 

運動を実際に起こす前にすでに脳内でどのような感覚フィードバックが返ってくるかも予期している。といった状態です。

 

私達は常にこの予測である遠心性コピー実際の感覚フィードバックが一致しているから不快感だったり、運動しているこの身体は私のものであるといった運動主体感を得られているわけです。

 

要はこの遠心性コピーを意識下に想起したものが運動イメージということになるわけなのです。

円滑な運動のためには適切な予測が、適切な予測のためには適切な遠心性コピーが必要になり、遠心性コピーが適切であるためには運動指令が適切でなければならない。さらに、適切な運動指令をつくるためには適切な記憶が必要になる。

リハビリテーション臨床のための脳科学

 

※遠心性コピーに関してはこちらの記事を参考にしてください↓↓↓

運動主体感の機能とメカニズムを考える

 

また、ここでいう記憶というのが身体図式のことであり、私達ヒトは脳の中に自分の身体図式がきちんとあるから、それをベースに運動指令が決定されるようになっています。

 

となると…この身体図式がそもそも存在しなければ、運動イメージも想起できない。

といった状態になるわけです。

 

ではこの身体図式とはどこで構築されるのか。

それが下部頭頂葉です。

 

この領域は感覚の統合を行っている部位であり、多種感覚が統合されて人は身体図式を構築していくのです。

この部分はまた次回書いていこうと思います。

どのような運動イメージの想起が必要なのか

では運動イメージといっても、具体的にどのようなイメージを患者様に求めればよいのでしょうか。

 

実は運動イメージもたださせれば良いというわけではないのです。

 

というのは運動イメージには大きく二種類存在するからです。

①筋感覚イメージ(一人称イメージ)
②視覚的イメージ(三人称イメージ)

①筋感覚イメージ(一人称イメージ)

これは、まるで自分が動かしてるようにイメージすることで、自分の四肢がリアルに自分目線で動いている感覚をイメージすることです。

②視覚的イメージ(三人称イメージ)

こちらは、他者が行っている運動を見て、イメージしているような状態で自分の四肢がリアルに動いているというよりかは、他人が運動しているイメージを想起するといった状態です。

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この場合、冒頭で述べました実際の運動と等価である脳活動を示す方は「一人称イメージ」の方です。

 

つまり、訓練の中でより具体的に自分の一人称の運動イメージを引き出せることが運動機能回復のキーポイントになってくるのです。

運動イメージを利用したリハビリテーションへの応用

整形外科疾患に対する運動イメージの活用方法

この運動イメージの最大の特徴としては

実際の運動を伴わなくても脳内で想起するだけで運動機能を獲得できるところにあります。

 

例えば、整形疾患のオペ適応の患者様で長期固定を行った場合その間は不動を余儀なくされます。

 

すると、その不動になった患部に対応する脳領域というのは縮小され、その結果異常感覚や疼痛といったものを引き起こす可能性があります。

 

しかし、運動イメージはそのような場合であっても脳内での想起ですので患部を動かさなくとも脳内でのボディーマッピングは維持することが出来るため、固定が外れた時に円滑にリハが行えるというメリットがあります。

 

また、慢性疼痛患者においては「運動イメージ想起中に脳活動の異常や、そもそも運動イメージの想起能力が低下している。」といった報告が挙げられています。

 

というのは先ほど話した通り、固定中の不動によって患肢は学習性の不使用が進行するため、それによって運動イメージの想起能力が低下するのです。

“学習性の不使用”とは何かに関してはこちらの記事を参考にしてください↓↓↓

痛みのメカニズム②

 

運動イメージの想起能力が低下するということはどうなるか…

 

運動の予期がそもそも立てれないため、感覚フィードバックとの解離が生じることになり、そうなると運動主体感の喪失や異常感覚・疼痛といったものが生じやすくなる可能性があります。

 

ですので、その場合まずは患部を動かす(ROM訓練)前に、最初に患部の運動イメージが一人称的に行えるかをどうかを評価する必要があるのではと思います。

運動イメージと感覚フィードバックの比較照合作業

これは、整形疾患や脳血管疾患に問わず言えることですが

 

リハビリテーションを行い運動機能の回復を図っていきたいと思うのであれば、整形でも中枢でも運動の生成プログラムというのは共通しているわけです。

 

そのため、運動学習だったり、運動の向上がどのように行われるかは、どの部署に属していても知っておかなければならない事実であります。

 

すなわち、自分の運動が正しかったのか、はたまた間違っていたのかというのは運動イメージと実際の感覚フィードバックを行わないと分からないわけです。

 

具体的には・・・

 

まず、患者様に運動を行ってもらう前に一度

●「どんな風に行いますか?」
●「触ったらどんな感触を感じると思いますか?」

とったようにまずは運動イメージ(遠心性コピー)を要求し、そして実際に運動を実行してもらう。

 

その後、患者様にイメージ通りに動けたかどうかを聞くことで、患者様は自分がイメージしていたものと実際に動いて感じたものを比較照合することが出来ます。

 

この際生まれた誤差というのが、さらなる学習に繋がっていくのです。

 

※ちなみにこの誤差修正を行うのが小脳ですね。この機能があるので小脳は運動学習に関与すると言われています。

 

時々、とにかく出力のみを求めてキッキングや動作訓練などを行っている場面を見ますが、あれだと「訓練」ではなく「作業」になってしまう可能性が高いんです。

というのは、「蹴ってください」と言われたキッキングの中に予測と感覚を照合するという過程が含まれていないので、患者様は学習することが出来ないのです。

まとめると

①運動イメージ(予期感覚)
②運動実行
③確認(予測と感覚の照合作業)

この手続きが運動機能の回復には必ず必要となってきます。

 

実は脳卒中後の運動機能の回復にはこの手続きが効果があるという結果も実は出ていて、それはSharmaらの研究で明らかにされています。

Sharmaが示した三つの概念
①運動先行型の活動
②運動実行による皮質脊髄路の発火
③感覚フィードバック

となっており、①の運動先行型の活動というのが、今回お話ししました運動イメージが含まれている部分になるのです。

まとめ

今回お話ししました運動イメージは、実行される運動の心的過程であり、なおかつ最初に述べました、運動や行為には必ず運動イメージが先行するわけです。

 

ということは、間違った運動イメージを想起していると間違った運動が発現するのは当たり前だということです。

 

さらにいえば、正しく動けない患者様は、正しい運動イメージを想起することも非常に困難です。

 

私達が介入するとしたらこの部分だと思います。

そのために非麻痺側(健側)のオーバーフローを利用したり、ミラーを利用したり、運動観察を利用したりと方法はいくらでもあります。

 

はたまた、運動イメージ以前に身体図式そのものが存在しないということであれば、感覚を統合させていくような、もっと手前の段階の訓練が必要かもしれません。

 

私達はこの辺りを、千差万別な患者様に対して「この人にはどれがあっているのか」を評価し検証していかなければならないのではないかと思います。

 

今回書けませんでしたが運動イメージが実際に出来ているかどうかを見る評価バッテリーも実はあります。

 

以下に評価名のみ記載しときますので、興味のある方や詳しく知りたい方はご連絡していただければお伝えします。

・The Kinesthetic and Visual Imagery Questionnaire(KVIQ)

・Movement Imagery Questionnaire-Revised second version(MIQ-RS)

・Bimanual circle-line coordination task(BCT)

 

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