新人セラピスト(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)とリハビリ学生を応援するためのブログ

運動の自由度問題②

スポンサーリンク

こんにちわ!きんたろーブログ(@kintaroblog)です

 

前回、認知神経学ではヒトの運動や行為の完成には不十分なところがあり、それを補うために生態心理学という学問が生まれたというお話をしました。

そして、私たちヒトの運動や行為において解決すべき問題として「運動の自由度問題」というものが大きく関るということが分かったので、今回はその続きからお話ししていこうと思います。

前回の記事はこちらからご覧ください↓↓

運動の自由度問題①

 

さて、『運動の自由度問題』これは、一体何なのか。

 

まずはここからですね。

 

では、いきましょーう!

運動の自由度問題とは

運動制御における運動の自由度問題

さて、私達の身体にある筋-関節というものを観察すると、非常に多くの自由度を持っていることにお気づきでしょうか?

 

例えば肩関節と股関節

 

肩や股関節というのは学校でも習うように「球関節」といった分類に入ります。

 

球関節というのは運動の自由度がとても大きく前後・左右・斜めといった三次元空間の中であらゆる方向に動かすことができ、これはヒトにしかない解剖学的な特徴になります。

 

例えば犬や猫のような四足歩行の動物を見てみましょう。

犬や猫の脚を見ると前後の動きしか行なえません。

 

だから、人のように脚を空間のあらゆる方向に自由に動かすことは不可能な構造となっています。

 

これは犬や猫というのは、進化の過程で狩りを基本とした生存競争をするので、すばやく走ったりすることが大きな目的として脚が発達しました。

 

人と違い手(前脚)で物を掴んで口に運んだりするといったことがなく、移動を行うよう前後にクランクするためにこのような解剖学的な進化を行いました。

 

これに比べヒトの肩関節や股関節というのは非常に多くの自由度をもっており、これに肘関節や膝関節、手関節や足関節などの動きを加えると、実に100近くの運動の自由度を備えているんです。

 

さらに、ここに体幹や頚部などの動きも加えればさらに自由度の数は増します。

 

なおかつ、歩いたリ、走ったりする時はこのような関節や部位が同時に様々な動きを行われなければなりません。

 

以上のことを考えた場合一つの大きな困難な要素が浮かび上がるのです。

 

このような複雑な動作の要素(股・膝・足関節)を同時に協調して動かすとしたら一体どのような制御を行わなければならないのでしょうか?

 

もし歩いたリ、走ったりするたびに各関節の要素の一つ一つに注意を向けながら、制御するとしたら…

 

一秒おきに変わる足の変化を脳は莫大な演算を行いながら運動を行わなければなりません。

 

これが1つの運動の自由度問題です。

リーチ動作における運動の自由度問題

次に、動作における運動の自由度問題を見ていきます。

 

例えば、テーブルの上に置かれているペットボトルを取る動作を考えてみましょう。

スポンサーリンク

 

私達は目の前のペットボトルを取る際、特に意識せずリーチして掴むことが出来ます。

 

その際、ペットボトルに手を伸ばすといった単純な動作だけでも、それを実現するための腕の出し方(腕の運動軌道)は実に何通りもあります。

 

これは腕には3つの関節があって各関節によって異なる腕の動きが可能だからです。

 

そうなると…

 

各関節のみでの運動の組み合わせというのは無数に存在し、そこに各関節における筋活動のバリエーションも組み合わせるとさらに運動のパターンは多くなります。

 

そして、その筋活動のバリエーションが多いということはそれに対応する運動単位の動員数のパターンも無数に存在することになります。

認知神経学による運動制御の考え方と問題点

認知神経学の考えによるこの場合の運動制御モデルの捉え方としては、脳が各関節・筋・運動単位のバリエーションを全て記憶し、状況の変数に応じて適切なものを指令する。という考えを示しました。

行為を持続させる仕組み~アフォーダンスの観点~より引用

 

しかし、この考え方をするとちょっと困難ではないかという問題が生まれます…

 

要は、刻一刻と変化する環境の中で、脳が一つ一つの関節・筋・神経にそれに応じた指令を提供するとなると脳自体に求められる演算が計り知れないものになり、変化する環境全てを記憶すること自体が、現在の脳の大きさでは無理であろうと考えられました。

 

つまり、先ほどのリーチの話しでいうと、何通りも考えられる運動のバリエーションを一個一個脳が命令しているのだとすれば、脳は莫大な記憶力が求められるということです。

 

上の図は、この考えをモデル化したものですが少し説明します。

 

まず大脳皮質に小人がいて過去の記憶から運動のレパートリーを引っ張りだしてきて、その情報に基いて運動野の鍵盤を叩くといったようなものです。

 

記憶に基いて、小人が運動パターンを選択するということは、その記憶の楽譜を半端じゃないくらい保存しておかないといけなくなるわけです。

 

これは「指令主義」と言われるもので、小人(一次運動野)の指令によって人の運動は生じているものであるという考え方です。

 

これがうまくいけばよいのですが、実際には中々うまくいかないということがあり、この指令主義に意を唱えたのが

 

ニコライ・アレクサンドロビッチ・ベルンシュタインです。

 

彼は、この『指令主義』だと、複雑すぎる運動は制御できないと考え、この運動の自由度問題を解決する方法として、ある一つの概念を作りました。

 

それが「シナジー」といわれるものです。

 

次回はこの「シナジー」について、続きをお話ししていこうかと思います。

 

また、以下にこのベルンシュタインの考え方や運動の自由度問題をまとめた本を紹介しておきます。

 

御興味ある方はぜひ一度読んでみてください。

created by Rinker
¥3,080 (2020/09/28 14:38:55時点 Amazon調べ-詳細)

 

 

 

スポンサーリンク