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運動の自由度問題③

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こんにちわ!きんたろーブログ(@kintaroblog)です!

 

さて、人はあまりにも冗長な運動の自由度をもっています。

 

そのため、一つの場面設定を設けただけでもそれに対応する運動の選択は何通りも存在します。

 

では一体その多すぎる運動のバリエーションの選択肢はだれが決定しているのでしょうか?

 

認知神経学的な運動制御の考え方では、これを「脳」が行っているとしていました。

 

しかし、これだと一つ問題が起きるのです。それが

 

「脳の請け負う負担があまりにも大きすぎるのではないか?」

 

というもので、これを提唱したのがニコライ・アレクサンドロビッチ・ベルンシュタインです。

 

そこで、彼は運動の自由度問題を解決する手段として「シナジー」という概念を提唱しました。

※ちなみにこの運動の自由度問題というのは「ベルンシュタイン問題」とも呼ばれています。

 

今日は「シナジー」という概念を少し身近なものに例えながら解説していこうと思います。

 

☆合わせて読みたい記事☆

運動の自由度問題①
運動の自由度問題②
運動制御の仕組み~ベルンシュタインによる動作構築の概念~

シナジーとは

シナジーとは、ある運動課題を達成する際に、身体各部位(要素)が連携し、協調することによって、運動の自由度を減らすような機能的な構造・単位の事である

「身体運動研究における”synergy”概念とその射程」 より引用

 

どういうことかといいますと、ベルンシュタインは運動を行う際、ヒトは筋-関節間を一つのまとまりとして結合させ、一回の脳からの指令に対して筋-関節が組織立って動くことで運動の自由度を減少するという考えを導き出したのです。

 

これを少しわかりやすく説明しますと・・・

 

例えばバイキング形式のお店に行ったとしましょう。

身近なシナジーパターン

バイキング形式のレストランではワンプレートの上に様々な食べ物を置きますよね。

 

例えば、まずは主食として肉や魚など数多くの品数の中から好きなものをチョイスします。

 

その後、スープを飲もうと思うのであればさらにそのスープの中でもコーンスープにするのか、コンソメスープにすのか、わかめスープにするのか・・・

 

これもまた組み合わせは多彩です。

 

さらに、野菜や、デザートも食べるのであればもっとワンプレートに乗る品数のバリエーションは多くなりますよね。

 

といった具合に、このようなバイキング形式のお店であれば品数の組み合わせは豊富であり、運動の自由度問題と同じような状態となってしまいます。

 

そこで、この豊富すぎる品数のバリエーション(自由度)を減少させるためにはどうしたら良いでしょうか?

 

そこで用いるのが「シナジー」です。

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数ある一品一品も一つのシナジーとしてまとめれば選択肢の幅は減らすことが出来ますよね?

 

要は↓↓↓

ハンバーグコンソメスープライス+和風サラダ→Aセット

 

唐揚げわかめスープライスシーザーサラダBセット

 

パンフルーツヨーグルト目玉焼きCセット

 

といったように、数ある品数も組み合わせをあらかじめセット(シナジー)としてまとめていれば品数のバリエーションはかなり減少させることが出来ます。

 

このような考えが、身体運動にも言えるのではないかということです。

身体運動への応用~歩行~

身体運動への応用として、最も身近であるシナジーパターンとしては「歩行」が挙げられます。

 

歩行と言えば、数多くの筋活動が参加し構成されていますが、Ivanenkoらの研究をみるととても面白いことが分かっています。

 

ヒトの歩行に参加する25筋の筋電図を調たところ、5つの波形の組み合わせで歩行自体の筋活動が再現できるそうです。

 

つまり、参加する筋は沢山あるが、組み合わせ自体は5つのパターンしかないことを示しているのです。

 

以前このブログで扱いました、歩行における筋の機能的つながりも実はシナジーパターンの一つなのです。

歩行中の筋の機能的な繋がり

ということは、仮に個々の筋がダメージを受けていたとして、個別に筋力強化を行い「はい。OK」とはならないのです。

 

以上がベルンシュタインが言った運動の自由度問題を解決するシナジーという概念です。

 シナジーパターンはどうやって構成されるのか・・・

ただ、ではこのシナジー自体は一体どのように構成されるのか?

 

これについての疑問は

 

「過去の経験から構築した内部モデルである」

という考えや

「元々ヒトという生物に基本的に備わっている機能的繋がりである」

 

といった考えなどがありますが、どちらであるのか、またそれ以外にもあるのかといったことは僕もまだまだ分からず、日々論文を読み漁っているところですm(__)m

 

ちなみに余談ですが、このシナジーパターンについてはバイオメカセラピーの石井慎一郎先生もよく言われていて、石井先生は後者の方の考えを推していました。

まとめ

「運動の自由度問題」

 

いかがでしたでしょうか?

 

まだまだ諸説あり、確定的なものはありませんが、私達が当たり前のように多彩な運動が行えているのもこういった様々な運動制御の考えが背景に存在しています。

運動制御に関しては、沢山の論文や書籍が多く出版されているので、もっと詳しく勉強したい方はぜひそれらを参考にしてみてください。

 

本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

以下に、運動の自由度問題シリーズで参考にさせていただいた書籍をご紹介しておきます。

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