新人セラピスト(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)とリハビリ学生を応援するためのブログ

イップスという悪魔

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こんばんわ。

毎日暑い日が続きますが、皆さん熱中症には十分気をつけてくださいね。

 

さて、この暑い夏ですがこの時期最も盛り上がるものと言えば”甲子園”ではないでしょうか?

 

特に今年は100回記念大会ということもあり、例年以上の盛り上がりをみせています。

 

実は僕も一応高校野球をしていたので、高校生の夏はもう死に物狂いでボールを追いかけていた思い出があります。

 

そんな野球がらみで一つ、けがをしていないにも関わらず、選手生命に大きく関わる障害があるのですが皆さんご存知ですか?

 

野球をしていた人なら一度は経験もしくは見たことがあると思います。

 

それは『イップス』です。

 

今日はこの『イップス』について少しお話ししていこうと思います。

イップスという悪魔

『イップス』とは

イップスに関して研究をされている河野昭典氏によると

「イップスとは、今までできたことが急にできなくなる」

という症状と述べています。もっと具体的にいうと

 

「攣縮が起きる。つまり筋肉が本人の意思とは無関係に収縮する現象」の事です。

 

イップスという言葉をもっと医学的用語にするならば『ジストニア(筋失調症)』とでも言いましょうか?

 

つまり、筋肉の緊張や制御に異常をきたすのです。

 

また、スポーツに限らずイップスという障害はピアニストや書道家といった幅広い分野においても見られる障害です。

 

そういった意味で

『職業性ジストニア』

と言われたりもします。

 

では、このイップスですが一体由来はどこから来ているのでしょうか。

イップスはどこで生まれたのか

このイップスの名付け親はプロゴルファーの「トミー・アーマー」という人物です。

症状は上記で述べた通りですが、少し付け加えると

パターをグリーンに突き立ててしまったり、両手首が震えたり捻じれたりするのです。また、肩が固まってしまい動かなくなるといった症状もあったようです。

 

このようにイップスの発祥というのは実はゴルフにあり、プロゴルファーの中でこのイップスで引退を余儀なくされた人物というのはかなり多いと言われています。

 

日本でこのイップスに苦しんだ有名人と言えば、プロ野球選手である”イチロー選手”です。

 

イチロー選手は2016年のテレビのインタビューでイップスに関してこのように話しています。

 

「ピッチャーやるのもピッチャーだったら一番目立つ。でもプロに入ったらこっちのもん。みんな同じところからスタートなんで。ドラフトが1位だろうが10位だろうが関係ない僕にとって。だからピッチャーを続けたかったというのがあったんですけど、途中僕イップスになっちゃったんで。(高2の春)」

 

イップスになった原因に関して聞かれると・・・

 

「僕らの時代はまだ一年生の僕らはごみで、二年生が人間、三年生が神様っていう位置づけなので、ごみが神様に投げるわけですから、それは大変なもん。それでイップスに。」

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そしてどうやって克服したのかについては・・・

 

「センスです。これは努力ではどうしようもない。センスです。」

 

「一番の僕の野球人生のスランプでしたね。だって投げれない。一番自信があったものですからね投げる事って当時。」

 

あの天才イチロー選手も努力ではどうにもならないというほどの障害。

それが『イップス』なんです。

 

最近だと、阪神タイガースの藤浪投手も一時期イップスになっていると噂されている時期がありましたよね。

 

ではこの『イップス』

一体どのようなメカニズムで陥ってしまうのでしょうか。

『イップス』(職業性ジストニア)の病態生理学

現在、このイップスに関する病態仮説は大きく2つ存在します。

1.Loss of inhibition

これは、中枢神経レベルの運動制御の回路の中で、抑制をするシステムが破綻しているという仮説です。

 

例えば、手指の動きを司る脳内マッピングをみると、かなり手指の領域同士が隣接していることがわかっています。

 

運動の際に、巧緻的な要素が求められる場合、パフォーマンスの遂行のためには、動作に関連しない脳内活動は抑制されなければなりません。

 

しかし、何らかの異常でこの抑制がきかないために、巧緻的な運動を行えない。といったようになります。

 

実際に「書痙」と言われる、書くことに関するジストニアの患者を対象とした研究では、脊髄や大脳皮質、皮質-皮質ネットワークにおいて抑制の減弱が見られたという報告がされています。

 

2.Abnormal plasticity regulation

これは脳内の可塑性制御に障害があるという仮説です。

 

どういうことかといいますと、ジストニアを有する患者の脳内を観察したところ、Abnormal spread(異常な広がり)というのを有していて、これはどういうことかと言いますと

 

「運動に関連しない部位も活動する」

と言った現象です。

 

よくみると以上2つの仮説ともよく似ているもので、最も近い共通点は、「中枢神経系の機能障害」が起きているということです。

 

ただ、あくまで仮説であり今後の研究が待たれるというのが正直なところです。

 

『イップス』対する働きかけ

現在、イップスに対する効果的な治療というのは、まだありません。

 

というのも、まだまだ病態が仮説段階だからというのが一つの理由かもしれません。

 

今後、スポーツに関わるPT・OTはさらに増えて来ることが考えられます。

 

そういった意味で、イップスの病態を深く掘り下げ、原因究明が出来ればアスリートを専門とするPT・OTの役割ってこれからもっと広がるし、重宝されていくのではないかと思います。

 

2020年には東京オリンピックが開催されます。

 

怪我だけで苦しんでいる人達だけでなく、こういったどうしようもならない障害に対して私たちが少しでも手を差し伸べてあげられるよう日々研鑽し、日本の金メダルラッシュの一助に出来れば私達の存在というのはかなり大きなものになるのではないでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

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