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脳卒中片麻痺における「手指」のリハビリテーション戦略~一次運動野の機能特性を考える~

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こんばんわー!

 

さあ早速ですが。。。

 

脳卒中片麻痺患者様の『手指』

 

皆さんは、ぱっと頭の中で思い浮かべた時、どんな姿が思い浮かびますか??

 

もし、今思い浮かべた中で以下のイメージをした人っているでしょうか??

⇒痙性が強く屈曲位で固まってしまっている

 

僕はどちらと言えばこのような印象が強いです。

 

では次に、もし皆さんがこのような患者様に出会った場合、どういったリハビリテーションを展開していますか??

 

・手指を伸展させてストレッチ

・ROM訓練

・・・・・・・etc

 

などなどあると思うのですが、今日はこの『手指』のリハビリテーションに関して『一次運動野(M1)』にフォーカスを当てて、神経学的背景を元に考えていこうと思います。

 

では、本日もよろしくお願いします。

一次運動野とは

さて、皆さんは『一次運動野』と聞いたら、まず何が思いつきますか?

 

「運動の命令をするところ!!」

 

といったイメージを持たれる方が多いでしょうか??

 

なんと!!!!

実はそれだけじゃないんです⤴︎ ⤴︎

 

それをこれから説明していきますね(^^)

2種類の一次運動野

さて。

本題に入る前に少し復習です。

一次運動野とはブロードマンの脳地図でいうと第○野でしょうか??

・・・・・

・・・・・

・・・

正解は第4野です。

 

では、この第4野ですが、実は2種類あることは皆さんご存知でしょうか??

 

実は一次運動野は“吻側部(4a野)”“尾側部(4p野)”に分けられます。

 

吻側部(4a野)

4a野というのは、系統発生学的に古くから存在しており、別名“Old M1”とも呼ばれています。

 

尾側部(4p野)

一方で4p野というのは、霊長類、特にヒトにおいて発達した領域と考えられており別名“New M1”とも言われます。

 

この両者の違いは一体なんなのか・・・

 

実は神経学的に4a野と4p野というのは少し違いがあります。

 

それがこちら↓↓↓

 

ちょっとだけ言葉の説明をしていきますね。

『CST』⇒皮質脊髄路

『CM』⇒錐体路(皮質脊髄路と同義)

『In』⇒脊髄介在ニューロン

『Mn』⇒脊髄運動ニューロン(末梢神経)

 

さて。

この図から何が読み取れるかと申しますと・・・

 

4a野から出る出力線維というのは、脊髄運動ニューロンにシナプスするに至るまでに、一度『脊髄介在ニューロン(In)』を介するのです。

 

一方で、4p野から出力される線維は、脊髄運動ニューロンに直接シナプス結合を行います。

 

この神経学的な違いは何を意味するか。

と申しますと・・・

 

4p野では、高度にスキル化された運動に関係し、単なる運動指令を送る本来の一次運動野としての役割だけでなく、感覚入力を含めた複雑な運動に関与することが報告されています。

 

感覚入力を含む!?!?!?

一次運動野が!?!?!?!?

 

と、思う方がいらっしゃるかもしれませんが、実はその通りなんです。

 

Sharmaらの報告では、“麻痺側への体性感覚入力が4野の興奮性を高める”という報告がなされています。

 

また、その体性感覚入力の特性も4a野と4p野では異なります。

 

4a野では筋・関節などの『固有感覚』入力を豊富に受けますが、一方で4p野は『皮膚感覚』の入力を豊富に受けることが分かっています。

 

特に、4p野に入力される多くの感覚は手指(特に母指)からの神経細胞が豊富である事が報告されています。

 

ということは????

 

脳卒中片麻痺患者様の手指の機能回復を図ることを神経学的に考えると、ただ闇雲に屈曲位で固まっている手指を開いたり、ストレッチするのではなく、『様々な環境と手指(特に母指)を接触させること』

が必要になると考えられます。

 

その理由は先程述べました、一次運動野の中でも4p野という部分は手指からの感覚入力を豊富に受け、興奮する事が分かっているからです。

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4p野と運動機能回復の関係

もう1つ、Sharmaらの報告ですが・・・

現在、損傷側4p野の活動の大きさおよび損傷後の活動変化と運動機能回復に正の相関が見られることが明らかになっています。

 

つまり・・・

 

4p野の活動が大きくなる症例ほど運動機能回復が起こりやすい

 

ということです。

 

そのため現在、脳卒中後遺症患者様の4p野の活動は患者様の運動機能回復の予測として注目されています。

 

では、どうやって4p野の活動を測るのか

 

この4p野の活動を調べるために用いられたのが『運動イメージ』です。

 

先行研究において、手指の対立運動を用いた運動イメージによって、4p野の活動が大きくなる症例では運動機能回復が起こりやすいことが報告されています。

 

4p野を活性化するリハビリテーション展開へ

様々な研究から、一体どうしたら4p野を活性化する事が出来るのか。

 

といったところですが、以下にそのために大事な3つを挙げます。

 

①麻痺側への体性感覚フィードバック

②運動イメージや運動観察に伴う運動予測型の脳活動

③皮質脊髄路の発火

 

この3つが4p野を活性化する上で大切な事なんですが、③に関しては①と②の神経ネットワークの組み合わせが大事である事が分かりました。

 

ということは、①と②に関してをきちんと考慮した上でリハビリテーション展開を行って行く必要がありそうです。

 

闇雲に手指を他動的に動かしたり、動かさせたりするのではなく、まずは先程述べた4p野が活性化するための神経学的機序を考えます。

 

すると、先程上記で述べた文章を思い出して頂きたいので、もう一度書きます。

 

4p野では、高度にスキル化された運動に関係し、単なる運動指令を送る本来の一次運動野としての役割だけでなく、感覚入力を含めた複雑な運動に関与することが報告されています。

 

そうです。

 

4p野は運動野であるにも関わらず、感覚入力も豊富に受け、そしてそれによって活性化するという事実があります。

 

そのため①の感覚フィードバックが必要なのです。

ただ、これだけで終わっちゃいけません。

 

どんな体性感覚フィードバックが良いの??

 

さあ。わかりますか??

 

そうです。

 

触覚などに代表される『皮膚感覚』です。

 

なぜなら、4p野は手指(特に母指)における皮膚感覚の感覚入力を最も受けるからですね(^^)

 

さて、そしてもう1つ大事なこと。

 

次はこの文章を思い出してください。

手指の対立運動を用いた運動イメージによって、4p野の活動が大きくなる症例では運動機能回復が起こりやすいことが報告されています。

 

つまり、運動イメージ自体が4p野の活動を大きくする可能性があるのです。

 

ですので②の運動イメージや運動観察に伴う運動予測型の脳活動が必要となります。

 

※ちなみに、『運動観察』とありますが、これは何で必要なのかと言いますと、実は『運動イメージ』と、『運動観察』では働く脳の局在が同等だからです。これは『ミラーニューロンシステム』というものが関係しているのですが、これについてはまた次回お話ししますね。

 

さあ!

以上になります!

いかがでしたでしょうか?

 

学生の頃は、「運動は運動野」、「感覚は体性感覚野」といったように習ってきたと思いますが、実際はそんな事ありません!!

 

実際の脳はあらゆる脳領域が多くの情報のやり取りを行っているようになっています。

 

そのため、一次運動野だから運動、体性感覚野だから感覚。というような単純な構造ではありません。

※学生の皆さん本当にごめんなさい。国試では割り切ってくださいね(泣)

 

おわりに

脳卒中片麻痺患者様の手指のリハビリって本当に難しいですよね。

 

分からなくなるとつい、現象学的に曲がりきってる指を伸ばしちゃうという対症療法的な感じになってしまいがちですが、諦めずに立ち向かえば必ずヒントがあります!

 

また、この職業の良いところはある意味で正解がないことです。

正解がないからこそ、本来なら年齢関係なく良いリハビリテーションを追求して議論することが出来ると思います。

 

1人で考えても考えても分からない時は周りの人に相談したり、議論したりして少しでも良いものを患者に還元できるように頑張っていきましょう(^^)

 

なお、何か質問や相談、ご意見などありましたら遠慮なくどんどんしてきてくださいね!(^^)

 

 

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