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【疼痛の理学療法】痛みの『質』を評価する~マクギル疼痛質問表~

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こんにちわ!きんたろーブログ(@kintaroblog)です!(^^)!

 

リハビリテーションの中で必ず関わってくるのが『痛み』

 

これまで『痛み』というのは、ただ「痛い」と感じる感覚的な側面だけでなく、情動や認知といった部分も関わってくる非常に複雑なものだということを以下の記事でお伝えしてきました。

 

☆合わせて読みたい☆
痛みのメカニズム①~痛みの3つの側面~

 

さて、では少し話しは変わりますが…

 

現在この『痛み』を評価する際、皆さんはどういったツールを利用されているでしょうか?

 

『痛み』の評価として広く一般的に知られている評価ツールと言えば『VAS』や『NRS』があります。

 

これらは、主に痛みの“強度(強さ)”を測るツールです。

 

つまり、“どのくらい痛いのか”というのを定量化する評価のため、痛みの側面でいうならば『感覚的側面』の評価と言えるでしょう。

 

しかし冒頭で述べた通り、痛みとは複雑です。

 

VASやNRSで痛みの程度は分かっても、痛みの“質”というのはVASやNRSでは中々測れません。

 

そこで、今日は“痛みの質は一体どのようにして評価すれば良いか”といった部分にフォーカスし、それを測ることが可能な『Short-From McGill Pain uestionnaire 2(SF-MPQ-2)』をご紹介していこうと思います。

 

痛みの的評価

マクギル疼痛質問表(McGill Pain uestionnaire:MPQ)

本題の“Short-From McGill Pain uestionnaire 2(SF-MPQ-2)”をご紹介する前に、まずはSF-MPQ-2が誕生するまでの簡単な歴史を振り返ってみようと思います。

 

まず、SF-MPQ-2が誕生する前に“McGill Pain uestionnaire:MPQ”というのが1975年にMerzackにより開発されました。

 

この評価ツールは、『痛み』は強度を測るだけでは不十分だということから、質問紙の中に心理的な側面を含ませて作成されています。

 

内容としては、全20項目あり、各項目の中に3~5個(全78語)の痛みを表す言葉があります。

 

患者様は、それに当てはまる言葉を自分で選択します。

 

MPQは信頼性、妥当性共に高い評価ツールですが、一方でデメリットとしては『時間を要する』ということが課題として挙げられました。

 

確かに、全78語も言葉があれば選択が大変で時間がかかりそうですよね(笑)

 

簡易型マクギル疼痛質問表(Short-From McGill Pain uestionnaire:SF-MPQ)

MPQの課題として『時間を要する』ということが挙げられたことから、Merzackさんは自身で改良を行いました。

 

それが“簡易型マクギル疼痛質問表(Short-From McGill Pain uestionnaire:SF-MPQ)”です。

 

MPQが20項目78語あったのに対し、SF-MPQでは15項目4段階(まったくない,少しある,かなりある,強くある)に改変しました。

『慢性疼痛に対する選択的セロトニン再取り込み阻害薬の有効性の検討 横井ら』より引用

 

これにより検査に要する時間が2~5分程度と簡便となり、さらに質問項目は少なくなっているにも関わらず、MPQとの相関関係は高いということが分かりました。

(簡易版だけど、MPQと精度はそんな変わらないということ)

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また、SF-MPQ(MPQ含む)の最大のポイントとしては、『痛み』を感覚的表現(sensory)感情的表現(affective)で表すことが出来る点です。

SF-MPQの場合、質問紙の中の①~⑪までは感覚的表現(Ⅰ-a)、⑫~⑮までは感情的表現(Ⅰ-b)を表していて、スコアをつける際は、これら二つを分けて算出することが出来ます。

 

つまり、痛みの質自体が感覚的側面が強いのか感情(情動)的側面が強いのかを紙面上ではありますが、可視化することが出来るのです。

 

SF-MPQの課題

ただ、とは言いつつも一つ問題点が出てきました。

 

それが、評価項目の中に『神経障害性疼痛』を表す痛みの表現が質問項目に含まれていなかったことです。

 

基本的に痛みの感覚的側面の起点は身体の侵害受容器が刺激されて生じる『侵害受容性疼痛』か末梢神経系や中枢神経系自体に何らかの障害が起きたことによって生じる『神経障害性疼痛』があります。

 

この両者の痛み。

 

実は痛みの感じ方として異なることは何となくイメージできるでしょうか??

 

例えば、侵害受容性疼痛の痛みの表現としては『ズキズキする』といったような言葉で表されます。

 

一方で、神経障害性疼痛の痛みの表現としては『ビリビリするような』といった“痺れ”を連想させるような言葉で表されることが多いです。

 

SF-MPQでは、この神経障害性疼痛に関して、痛みの表現を表す表記がありませんでした。

 

そのため、この神経障害性疼痛の痛みの表現も加えて新たに作ったのが▷▶︎▷▶︎▷▶︎▷▶︎

 

“Short-From McGill Pain uestionnaire 2(SF-MPQ-2)”です。

簡易版マクギル疼痛質問表2(Short-From McGill Pain uestionnaire 2:SF-MPQ-2)

『痛みの評価尺度・日本語版Short-From McGill Pain uestionnaire 2(SF-MPQ-2)』の作成とその信頼性と妥当性の検討 圓尾ら』より引用

 

SF-MPQ-2では、痛みの種類を大きく4つに分類しています。

①持続的な痛み(1.5.6.8.9.10)

②間欠的な痛み(2.3.4.11.16.18)

③神経障害性の痛み(7.17.19.20.21.22)

④感情的表現(12.13.14.15)

 

SF-MPQでは評価できなかった、神経障害性疼痛に対応する痛みの表現を加え、痛みの種類をさらに細分化して捉えることが出来るようになりました。

 

SF-MPQ-2に関しての信頼性と妥当性に関しても、研究していただいた方々のおかげで証明されており、現在多くの論文等でも利用されています。

 

以上のことから、SF-MPQ-2はあらゆる痛みの“質”を評価するツールとして有効だということが言えるのではないかと思います。

 

痛み自体が多面的(感覚・情動・認知)であると分かってきた今日。

 

漠然と痛みの強度のみを測るだけではなく、その“質”についても捉えることで、治療選択の一助になれば幸いです。

 

 

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