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症例発表を行う際に意識しておきたい2つのこと

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きんたろー
こんにちわ!きんたろーブログです

 

先日、母校にて学生さんが臨床実習終了後の症例発表会を開催するとの事でしたので聴講として参加させていただきました。

 

感想ですが…

 

学生さんのレベルの高さに驚かされました。ほんとに(笑)

 

質問がよく出ること出ること(笑)

 

自分の時代(たった4年前)を思い出してみると、中々質問が飛び交わず、しびれを切らした先生方が気を遣って質問するみたいな、そんな空気感があったような気がします。

 

それに比べると、昨年参加させていただいた時もそうでしたが母校の学生さんはとても活発に質疑応答が出来ていて大変感動しました。

 

さて、実はぼくが昨年からこの症例発表会に参加させてもらうのには理由があります。

 

それは、自分の知らない視点を増やし新たな気づきを得ることと、他者の発表内容を聞くことによって『考える力』をトレーニング出来るからです。

 

症例発表というのは、一人のセラピストが一人の患者様に対して評価~治療訓練をそれぞれどのような意図に基づいて意思決定したのかを聞くことのできる場です。

 

いわば、個々のセラピストが日頃どのような考えの元臨床を行っているのか、他者の頭の中を覗ける貴重なイベントであると僕は捉えています。

 

症例発表を通して、自分とは異なる視点と出会うことで、考えるきっかけをもらうことが出来ます。

 

かつ、新たな知見を得ることによって自分自身のバイアスに気づき、翌日の臨床をさらにアップデートすることが出来るので、学会は勿論ですが学生さんの症例発表も貴重な学びの場であると思い、参加させていただいています。

 

そこで本日は、先日開催された学生さんの症例発表を聞いて得られた発見と、自分自身にも大いに共通する課題について自戒も込めてお話しさせていただこうと思います。

症例発表を行う際に意識しておきたい2つのこと

①『結果と考察を混同させないこと』

学生の皆さんの発表を聞かせていただき、かつ抄録を全て読ませて頂いた中で最も多くの方に共通していた課題はこの部分かなと感じました。

 

そこで、ちょっと改めて『結果』と『考察』の違い、そしてその違いは何を意味するのかというところをお伝えしようと思います。

 

※『結果』と『考察』の具体的な違いについては以前こちらの記事で解説しましたので、興味ある方はご覧になってみてください。

 

さて、『結果』と『考察』の一番大きな違い。

 

これって一体何でしょうか。

 

答えは、『事実』なのか『解釈』なのかの違いです。

 

結果というのは基本的に生じた現象や評価結果など、客観的なデータに基づいた事実のみがここに入ります。

 

一方で、『考察』というのは得られた結果に基いた自分なりの解釈になります。

 

 

ここでよくある誤りは、考察の部分が結果の羅列で終止してしまっているパターンです。

 

例えば、こんな例題で考えてみましょう。

本症例は初期評価時に○○筋の筋力低下が見られたが、最終評価の際には○○筋の筋力が向上し、歩容の改善が見られた。

 

ここから読み取れることは、①○○筋の筋力が向上したこと②歩容の改善が見られたことの2つです。

 

さて、これは『結果』でしょうか?『考察』でしょうか?

 

そう、答えは『結果』です。

 

なぜならば、筋力が向上したことと、歩容が改善したことは対象者がどうなったのかを表した事実だからです。

 

『考察』というのは、例えばこの例でいくと…

 

✔ 事実①と事実②がなぜ生じたのか

✔ 事実①が改善したことによって事実②も改善した要因(メカニズム)は何か

 

というような部分を考えて結論づけることです。

 

つまり、ここに自分なりの解釈が入るのです。

 

もし仮に、この解釈が間違っていた場合それに対して指摘をもらうのが症例発表という場です。

 

『結果』というのは端的にいうと、事実の羅列なので極端な言い方をすると誰でも出来ちゃいます。

 

いま、巷では将来AIやロボットが仕事を奪うなどといわれていますが、この観点に少し触れるならば、弾き出された事実を並べるだけならAIやロボットの得意中の得意分野です。

 

僕が思う理学療法士の強みや価値って何かというと、複数の事実から色んな解釈を行いアウトプットを導き出す『考える能力』だと思うのです。

 

症例発表というのは、自分が臨床で行ってきたことを披露する一つの作品です。

 

つまり、それだけ本来は想いを込めて発表して良いのです。

 

ではその想いを込めるのはどこなのか。

 

それが『考察』です。

 

『結果』は同じでもその事実を見る視点が変われば『考察』は人によって変わります。

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よって、考察では他の人とは違う自分のオリジナルに溢れた臨床推論をアウトプットできるのです。(もちろんこれにはきちんと根拠を提示する必要があります)

 

②『主張と根拠はトレードオフである』

2つ目に多くの人に共通していた点はこれです。

 

少し、これまで述べてきた部分ともかぶりますが、前提として…

 

自分が主張したい事があれば必ずそれに対する根拠を提示しなければなりません。

 

しかも、出来れば客観的に分かるもので。

 

主張は斬新だが、それの根拠となるものがありませんってなっても説得力はありませんよね。

 

では、症例発表を行う際この部分はどこで意識するべきでしょうか。

 

例えば、抄録(レジュメ)がこのような形でつくってあると仮定します。

基本情報

評価

結果

考察

 

その場合、右側の結果や考察で述べたい情報は、左側の特に評価の欄にその情報を記載する必要があります。

 

よくある間違いは、右側の考察で『Aが改善した』という主旨の内容を述べているのに、左側の評価の部分にその『A』に関連する情報が全くない場合です。

 

「そんなのあり得ないだろ」

 

と思われるかもしれませんが、これ実際によく見かけます。

 

加えて実はこれは、症例発表だけに限ったことではなく、日々のセラピストの会話にも頻繁に起きていることなので、次の言葉をよく覚えておいてください。

 

『何か主張したいことがあれば、必ずそれを支える根拠が必要』

 

主張はしているが根拠がない場合、一般的に「論理が飛躍している」なんて言ったりします。

 

簡単にいうと「話しがぶっ飛んでいる」ということです

 

自分自身の想いがこもった臨床思考の集大成を伝えるためには、それを支える根拠(評価結果)が必ず必要です。

 

確かめる方法は、一度自分の考察を読み直し、書いてある内容の根拠が果たして抄録(レジュメ)のどこに記載されているか確認することです。

 

主張と根拠は必ずトレードオフの関係になるので、言いたい事があればその証拠が評価項目の中のどこかにあるはずです。

症例発表を通して見えてきた問題と今後

他の養成校はどのようなシステムになっているか分からないので、安易に一般化してはいけないとは思いますが…というのを前提に話します。

 

今回、学生さんの症例発表に参加させていただいて、1つ感じたのは…

 

『学生さんが想いを込めるに至らない程に、抄録(レジュメ)をつくることに手一杯になっている可能性がある』ことです。

 

要は、これまで述べてきた『結果と考察の違い』や『主張と根拠の結びつけ方』、そして今回書きませんでしたが、『参考論文の使い方』など、これらのベースとなるものがまだ理解できていないと思っている人が一定数いるのではないかと感じました。

 

仮にそうだとすると、症例発表自体が形だけのものとなってしまい、それではあまりにも勿体ないと思っています。

 

あくまで、これはぼくの予想なのではっきりとしたことは言えませんが、もし仮にこれが事実だとした場合、次に考えなければならないのが、どうやってこの問題をリカバリーしていくかです。

 

そこで僕が提案したいしたいのは2つです。

 

①学生さんが初めて症例発表を経験する前に、教員の先生方もしくは実習地の先生が学生さんに対して症例発表を行う

 

②現役の理学療法士や作業療法士が学生さんに対して症例発表をする機会をつくっていく

 

『やってみてから考えろ』では、考える余裕が生まれず抄録づくりがもしかすると作業に陥ってしまうかもしれません。

 

作業的になると本当にしんどいだけです。

 

毎回赤ペンを持って学生さんの抄録に訂正を入れるだけではなく、まずは僕ら現役の理学療法士や教員の先生方がお手本を示し、ある程度のベースラインを教えてあげることも必要ではないでしょうか。

さいごに

長くなっちゃいましたが、今回は以上になります。

 

今回、症例発表会に参加させていただいて、自分自身にも当てはまる課題やどうしたらもっと良くなっていくだろうかと考えるきっかけを頂きました。

 

聴講を許可していただいた母校の先生方、学生の皆様、本当にありがとうございました!

 

※今回の症例発表に関連した記事のリンクを貼っておきます。気になる方はどうぞ(^▽^)/

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