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【痛みの伝導路③】ペインマトリックス編

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きんたろー
こんにちわ!きんたろーブログです

 

さてさて、今回は痛みの伝導路【第3回】です。

 

今回が最後になりますので、どうぞよろしくお願いします!

 

前回までの記事が見たい方はこちらから見ることが出来ます。

 

さて、前回は二次侵害受容ニューロンが視床の内側核群と外側核群に到達するというところまで話しました。

 

 

今回はその続き。

 

視床から大脳に終着するまでの経路です。

痛みの伝導路③

痛みの伝導路~第三走者~

はじめに、これまで第一走者と第二走者にはそれぞれ、走者に名前がついていましたが、この第三走者ではそれがありません。

 

この第三走者の一番押さえておきたいポイントは『行き着く先』です。

 

では1つずつ解説していきます。

 

※ここからは前回までの内容が分かっている前提で話を進めるので、用語など分からないところがある場合は一旦前の記事を見て頂くことをお勧めします。(リンクは記事冒頭にあります)

外側系はどこへいくのか

前回話した通り、痛みの伝導路は脊髄から視床に至るまでに2つのルートを辿りますが、その一つである、『外側系』。

 

一般的に、『外側脊髄視床路』といわれるこの伝導路ですが、この伝導路は視床を通過した後は一体どこへ向かうのでしょうか。

 

これに関しては、恐らく多くの方がご存知だと思います。

 

そう、大脳皮質(頭頂葉)にある体性感覚野です。

 

末梢からスタートした侵害刺激がここまで到達してようやく、私達は『痛み』として知覚します。

 

これが、痛みの伝導路(外側系)の終着点です。

 

ただ、この後ほど述べますが

内側系はどこへいくのか

こちらは、あまり知られていない痛みの伝導路かもしれません。

 

いわゆる『内側脊髄視床路』といわれるものです。

 

内側脊髄視床路は、視床の内側核群で三次ニューロンにシナプスした後、向かう先は体性感覚野ではありません。

 

この伝導路が向かう先というのは、『島皮質』、『前帯状回』、『前頭前野』、『扁桃体』、『海馬』などへ向かいます。

 

これらの領域は主に、情動を司っている部位であり痛みに対して様々な感情が乗っかります。

 

痛みを感じると不快感が増したり、イライラしたり、恐怖を覚えたりすると思いますが、これらの情動が生まれる理由は、痛みの伝導路(内側系)がこのような情動をを司る領域に投射しているからです。

『きんたろーブログ』Instagramより引用

最終的に両者は統合される

外側系と内側系それぞれ、大脳でも異なる領域に投射はするのですが、実は最終的にはこの2つの伝導路は統合されます。

 

それにより、痛みという知覚情報に対して様々な情動や認知が付与されるのですが、これこそが『痛み』に多面性(感覚-情動-認知的側面)がある理由です。

 

痛みの恐怖条件付けというのはこのようにして構築されていきます。

 

※痛みの恐怖条件付けとは

ある動作や運動によって、『痛み』を知覚すると、その動作(運動)と痛み、そしてその時生じた感情などをリンクさせて記憶することによって、「この運動によって痛みが生まれそう…」と、運動と痛みによる恐怖が結びついてしまう事。

→これが運動恐怖感の増強に繋がっていく。

 

痛みに関する脳領域~pain matrix~

現在、医療技術やデバイスの発展によって脳活動自体が可視化できるようになってきており、痛みに関連する脳領域の局在というのもはっきりと分かってきています。

 

それによると、実は健常者が痛みを感じた場合の脳内神経活動と慢性疼痛患者が痛みを感じた場合の脳内神経活動は異なることが分かっています。

 

このように、慢性疼痛患者特有の痛みに関連する脳領域をpain matrix』といいます。

 

ペインマトリックスに含まれる脳領域を以下に示します。

一次体性感覚野
二次体性感覚野
補足運動野
島皮質
前帯状回
前頭前野
頭頂連合野

慢性疼痛患者では、このペインマトリックスのどこかに異常をきたしていることが多く報告されています。

 

股関節症における慢性疼痛は、人工関節全置換術によって痛みが軽減すると、術前で低下していた背外側前頭前野、前帯状回、偏桃体、島皮質の活動の正常化が認められたと報告されている。(森岡.2012)

 

慢性疼痛患者では、健常者と比較し不快情動処理に関与する扁桃体、前帯状回、島皮質、海馬、海馬傍回などの部位の灰白質体積の低下が見られる。(福井.2015)

 

疼痛強度が強いほど、脳幹・体性感覚野の灰白質が減少している。(Valet.2009)

 

これらペインマトリックスの中で特に感覚・情動・認知的側面と関連する脳領域は以下のように考えられています。

 

感覚的側面:一次&二次体性感覚野

情動的側面:島皮質・扁桃体・前帯状回

認知的側面:前頭前野・頭頂連合野

 

おわりに

さて、全3回にわたってお伝えした【痛みの伝導路】ですが、いかがでしたでしょうか?

 

痛みといえば、侵害刺激が体性感覚野に投射するだけだと思われがちですが、実はそれだけではなく、情動や認知に関わる脳領域にも投射することが分かっています。

 

つまり、痛みというのはただ単に感覚的側面だけみれば解決できるものではないという事です。

 

もちろん、その側面も絶対に見ていく必要がるというのは前提で、それに加えて患者様が痛みに対する捉え方を変えてもらうように患者教育を行ったり、心理的なアプローチというのも必要になってきます。

 

そういう意味では、慢性疼痛患者様のリハビリテーションを行っていく上では、理学療法士一人では完結出来るものではなく、作業療法士や臨床心理士といった他職種を含めたトータルアプローチをしていくことが大事ではないかと思います。

 

それでは、最後までご覧いただき本当にありがとうございました!

 

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