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【分かりやすい診療報酬制度②】回復期リハビリテーションの実績指数について

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きんたろー
こんにちわ!きんたろーブログです

 

さてさて、今回も引き続き『診療報酬』についてお話ししていこうと思います。

 

✔ 疾患別リハビリテーションとは?

✔ 疾患別リハビリテーションの点数はお金に換算すると一体いくらになるの?

 

さあ、それでは【診療報酬を分かりやすく解説】第二弾、今回のテーマはこちら!

 

✔ 回復期リハビリテーション病棟入院料

 

今回(2020年)の改訂によって、この回復期リハビリテーション病棟入院料についての診療報酬にいくつか変更が見られました。

 

この中でも特に、僕自身がインパクトを感じた内容がこちら

 

✔  回復期リハビリテーション病棟入院料1・3の実績指数の引き上げ

 

回復期リハビリテーション病棟入院料1・3?

 

実績指数?

 

と、こういった疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思うので、今回は診療報酬制度の一つにある回復期リハビリテーション病棟入院料(以下:回リハ)についてお話ししていこうと思います。

回復期リハビリテーション病棟入院料について

回復期リハビリテーション病棟入院料が生まれた背景

さて、現在こそ当たり前になってきている『回復期リハビリテーション』ですが、実は少し歴史を遡るとこれは2000年の診療報酬改定によって創られました。

 

開設以降、回復期リハビリテーション病棟は年々増加し現在では全国で約8万床超となっています。

 

このように、年ごとに回復期リハビリテーション病棟の“量”が増加し充実していく一方で、考えなければならなくなったのがその“質”です。

 

そこで、質を評価するという目的から回復期病棟には徐々に“成果”が求められるようになり、その形として導入されたのが『アウトカム評価』です。

 

この制度は、2008年の診療報酬改定にて仕組み化されました。

回復期リハのアウトカム評価

 

回復期リハビリテーション病棟の成果(アウトカム)はどうやって評価するの?

 

その一つがADL動作の改善です。

 

現在、回復期リハビリテーション病棟のADL改善の指標として用いられているのが『実績指数』といわれるものです。

実績指数とは?

 

実績指数とは、リハビリテーションを行ったことによってどのくらい改善したかを示す数値です。

 

実績指数の計算はこのように表されます。

実は、回復期リハビリテーション病棟入院料は2018年の診療報酬改定によって6つに区分されたのですが、各区分によって求められる実績指数が異なります。

6つの回復期リハビリテーション病棟入院料

回復期リハビリテーション病棟入院料は下記に示すように、区分1~6まで存在します。

入院料1~6までは当然得られる点数が異なり、入院料1になるほど点数が高くなります。

 

※ちなみに…いわゆる『365日リハ』が実施できるのは入院料1.2を取得している病院のみになります。

 

セラピスト
確か前回の話しで、1点は10円だったので…ということは、どの回復期病院も入院料1を取ればいいわけですね!

 

理屈は合っています。

 

が、そう簡単にはいきません。

 

なぜなら、これも前回の疾患別リハビリテーション同様『施設基準』が設けられているからです。

 

いくら入院料1を取得したくても、施設基準の条件を満たせなければそれは難しいのです。

 

今回は、各区分ごとの施設基準の詳細は割愛しますが、先ほど述べた『実績指数』はこの施設基準の一つになっているため、この部分だけ少し掘り下げたいと思います。

 

現在、回復期リハビリテーション病棟入院料1.3.5においては実績指数を算出しなければならない決まりとなっています。

 

一方、入院料2.4.6は実績指数自体が施設基準の要件になってはいませんが、だからといって容易かというとそうではありません。

 

実績指数以外の部分、具体的には『重症度患者の入院割合』によって、入院料が区分されています。

 

例えば、入院料2では実績指数の制度はありませんが、その分重症度患者の割合が3割以上必要になってきます。

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このような各区分の違いについては以下の図を参考にしてください。

『2019年12月6日中医協総会資料』より引用

引用元サイト:https://gemmed.ghc-j.com/?p=31190

 

セラピスト
では、入院料1.3.5のように実績指数が求められる場合、一体どの程度数字を出せばいいんだろう…?何かボーダーラインがあるんだろうか…?

 

はい、あります。

 

以下の表は2018年までの回復期リハビリテーション病棟入院料における実績指数のボーダーラインと同年の実際の実績指数です。

2018年まで定められていた実績指数の基準値とその実際

基準値は、表の通りであるにも関わらずふたを開けて実績指数の実情を見てみるとこのような結果となっていました。(2018年)

 

ご覧の通り、実際の実績指数が大幅にボーダーラインを超すという結果となっていたのです。

 

そのため、今回(2020年)の改訂でこの基準が以下のように改訂されます。

 

これが冒頭で話した回復期リハビリテーション病棟入院料1.3の改定部分です。

 

セラピスト
もし、この数値を下回った場合はどうなるんですか?

 

診療報酬改定の文言では、仮に実績指数が下回った場合は、「6単位以上のリハビリは入院基本料に包括される」とされています。

 

これはどういうことかというと、6単位以上リハを実施しても料金を取れない。

 

つまり、現在多くの回復期病院で9単位(PT・OT・ST)行っていると思いますが、それが出来なくなるということです。(仮に9単位行ったとしても点数が取れない)

 

加えて、当然ですが取得したい回復期リハビリテーション病棟入院料も算定できません。

 

だからこそ、全国の回復期病棟ではこの実績指数をいかにしてあげるかを考え努力しています。

 

2018年の診療報酬改定以前、この実績指数の最低ラインは『27』とされており、2期連続で下回ると包括化されるというシステムになっていました。

今は、この数値が40(入院料1)まで引き上げられているので、成果を強く求められていることが時代の変化を通してよくわかります。

実績指数を上げる方法とその際生じる問題

セラピスト
では、一体どうやったら実績指数は上がるんですか?

 

ざっくりいうと…

『短い(入院)期間で、ADLを改善する(FIMの点数を上げる)』

ことです。

 

その理由をお話しします。

 

先ほどの、実績指数の式を参考に考えていきますと。

実績指数を上げるには“分子を上げるか”“分母を減らすか”すれば良いわけです。

 

言い変えると…

分子:FIMの利得を上げる

分母:在院日数を減らす

 

このどちらかもしくは両方を行う必要があります。

 

在院日数を減らすというのは、もしかすると少しイメージしやすいかもしれません。

 

要は早期離床・早期退院を目指すということです。

どうやってFIM利得を上げるか

では、次に分子のFIMをどのようにして上げるかです。

 

その前に、まずそもそもFIM利得とは一体何か。

 

FIM利得とは、『入院してから退院するまでどのくらいFIMの点数が上がりましたか?』ということです。

 

よって、その計算は退棟時FIMから入棟時FIMを差し引くことで求められます。

 

以上から、FIM利得を上げるための方法は2つ。

①退棟時FIMを上げる

②入棟時FIMを下げる

となります。

 

ほとんどの人は、①の退棟時FIMを上げることを目標にしていると思いますが、実は最近問題となっているのが②です。

故意に入棟時FIMを低く見積もっているのではないかという問題

この問題は、以前こちらのサイトで問題提議されてからSNSで瞬く間に拡散され、一時話題となりました。

 

 

要は、入棟時FIMを本来の能力よりも低く見積もれば、それだけ退棟時FIMとの差が大きくなるので結果的に利得が増大するのです。

どんな形でも、とりあえず『出来る様になればいい』という考えになりやすい

これはあくまで、ぼくの個人的な思いです。

 

FIMの点数に固執することによって、仮に非効率な動作であっても『出来ればOK』という判断から、修正せずそのまま退院させるといったことも起き、これが顕著に現れるのが脳卒中後遺症のリハビリテーションです。

 

これは、恐らく賛否あると思いますが、僕は現在の制度を理解したうえで、このFIMによるアウトカムが成果の本質として先行しすぎるのにはいささか疑問を感じている部分があります。

除外判定基準

ここまで、回復期リハビリテーション病棟入院料の施設基準の一部である、実績指数についてお話ししてきましたが、以下の条件に当てはまれば実績指数から除外することが出来ます。

 

① 在棟中に回復期リハビリテーション病棟入院料を一度も算定しなかった患者

② 在棟中に死亡した患者

③ 回復期リハビリテーション病棟に高次脳機能障害を有する患者が特に多い(退棟患者の4割以上)場合は、高次脳機能障害の患者を全て除外しても良い

④ 各月の入棟患者の3割以下の範囲で除外出来る患者(以下に示す)

 

・入棟時のFIM(運動項目)の得点が20点以下の患者

・入棟時のFIM(認知項目)の得点が24点以下の患者

・入棟時のFIM(運動項目)の得点が76点以上の患者

・入棟時の年齢が80歳以上の患者

 

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