【必読】自分の意見が言えない4つの原因

さて、いきなりですが以下の場面を想像してみてください。

あなたは今年度4月に入職したばかりの新人理学療法士です。今日は、就職してから初となる院内の症例発表会が開催されており、最初の発表者はプリセプターでもある3年目の先輩理学療法士です。先輩の発表は無事終わり、質疑応答に入っていきました。多くのセラピストから質問や意見が出ていて、内容においてもこの演題に対しては概ね好意的な意見が多く、なんとなく和やかな雰囲気で進んでいました。

そんな中ただ一人、少しモヤモヤが残っている人物が一人いました。そう、その人物とはあなたです。

「もし僕(私)が質問した場合、この流れで行くと自分の意見は反対意見になるだろう。でも、新人だし…」

さて、もしあなたが実際にこのような立場になったとしたら自分の『意見』を発表できますか?

というこんな感じの入りですが、なぜ今回このような内容からスタートしたかというと、『意見を言いやすい環境ってどうやったらデザインできるのかな?』というのが僕の悩みというか一つのテーマだからです。

僕は現在、Instagramや自社のセミナーを介して勉強会を企画していますが、そこで毎回思うのは『もっと聴衆を巻き込んだ議論を展開したい』というものなんです。

勉強会といえば、なんとなく「発表者が聴講者に教える」みたいな構図になりがちですが、僕がつくりたい構造はこのような形ではなく、発表者はファシリテーター的な役に回って出来るだけ来てくださった人が主体的に自分の意見をアウトプットして、終わる時には聴衆者が『喋り疲れた』と感じてもらえるようなものを創り上げたいわけです。

そうなると大切なのは、‟いかにして聴衆の方が意見を言いやすい環境をデザインするか”というもので、これはマストになってきます。

そこで、今回はその前提として『そもそも、人が意見を言えない原因って何だろう』というのを実体験も含めて、まとめてみることにしました。

目次

自分の意見が言えない原因を探る

集団思考による抑圧

さて、冒頭の例に話しを戻します。

いかがでしたか?

もし、あなたが主人公の立場だったら、あの場面で発言することが出来ますか?

恐らく、多くの方が「ちょっと意見しづらいかも…」と感じるのではないでしょうか?

では、それはなぜでしょう?

なぜ、意見って言いづらいのでしょうか。

今回、冒頭の例で挙げたのはいわゆる『集団思考』といわれるものです。

集団思考とは

一見結束力があるチームの多くは、見かけ上みんなの意見が一致している場合が多く、仮にその中の一人が異なる意見を抱いたとしても、調和を乱したくないという心理から意見が出しづらくなってしまうことです。

冒頭の例文から『意見しづらい』と感じた人も、このような心理状態になったのではないでしょうか?

このように、特にチームや組織の『規模』や『結束力』が強く大きくなるほど、時として集団思考により反対意見を唱えようとする積極的な姿勢を弱めてしまうことがあります。

また同時にこれは、症例発表会に限らず集団やチームの中で様々な意思決定を行っていく際にも当てはまり、このような集団思考は間違った意思決定をしてしまう要因の1つになる場合もあります。

実際に、個人よりも集団の方がリスクのある方を意思決定しやすいと言われていて、これをリスキーシフトなんていったりします。

要は、三人寄れば文殊の知恵』というは本当か?ということですね。

では、この集団思考ってなぜ生まれるのでしょうか?

実は、結局の所この集団思考というのも自分の意見が言えない(言わない)ことに端を発していると僕は思っています。

結論が正しいか否かは置いといて、全員の意見が一致した方がなんとなく安心感があるし、何より自分の意見を言わず意思決定を人に委ねた方が楽だからです。

ただ、その部分をもう少し深く掘り下げて、原因を考えてみると、『意見を言えない(言わない)』一番の原因は“不安の存在”であると僕は思っています。

つまるところ、意見を言うということは手に入るものと失うかもしれないものを天秤にかけることになります。

ただ、その失うかもしれないものというのは何も物理的なものではなく、その多くは『プライド』『自信』といったもので、多くの人は得るものよりも、以下のような失う可能性のあるものを真っ先に連想してしまいます。

恥をかくかもしれない…

怒られたらどうしよう…

頭が悪いと思われたらどうしよう…

意見を発する場合、多くの方がこのように発言した後の事を考え不安となり「こんなリスクを負うくらいなら…」と、『沈黙』を選択するのではないかと思います。

同様に、先ほどの集団思考における、『調和を乱したくない』というのも一つの不安の側面だと思います。

このように、『意見が言えない(言わない)』背景には必ず、何らかの不安があることが考えられますが、実はこの不安の種類も一つではありません。

そこで次に、意見を出しづらい時の人の心理にフォーカスを当てて、4つの不安という観点から意見が出しづらい時に抱えやすい不安について解説していこうと思います。

意見や質問する際の阻害する4つの不安

自分の意見を発信する場合、それを阻害する『不安』はおおよそ、この4つが考えられます。

無知だと思われる不安

あなたは、質問や意見を行う際、頭をよぎることは何ですか?

例えば、自分が思いついた意見を仮に誰も言わなかった場合こんなことを思う方がいるかもしれません。

セラピスト

この情報は知っていて当然の情報だから、誰も質問しないのだろうか…

セラピスト

質問が低レベルで、『勉強してない奴』と思われたらどうしよう…

このように、質問や意見を行う場合、『無知である』と他者から思われるリスクは十二分にあり、結果的にこのような不安を抱いた経験がある人っているのではないでしょうか。

実は僕もこの不安をいつも抱えていた一人です。

ただ、ここで断言したいことが一点あります。

それは、少なからず多くの人はそんな思いを抱いています。

つまり、大多数は『無知だと思われたらどうしよう…』という不安を抱えているのです。

だからこそ、あなたが考えているその質問や意見というのは全然アウトプットして良いのです。

むしろ、その意見によって『よく言ってくれた!!』と思っている人がその場に必ずいます。

無能だと思われる不安

例えば、誰かに『手伝ってほしい』と助けを求めたり、自分のミスを認めたりすると、『無能な人だと思われたらどうしよう…』『仕事が出来ない人だと思われたらどうしよう…』と、このようなレッテルを貼られてしまうのではないだろうかという不安を抱く人がいます。

その結果、中々自分の意見を言えず、もやもやしたままその場をやり過ごしてしまう事ってありませんか?

これも重要な不安の一つで、『失敗できない自分』や『完璧でいなければならない』と強く思うほどこの不安は一層強くなってしまいます。

ネガティブだと思われる不安

これは、冒頭の例に当てはまることですが、その場の雰囲気が良い感じな時ほど反対意見って出しづらくなってきます。

なぜなら、批判的な意見を言ったり、後ろ向きな意見を言ってしまうと、『おいおい雰囲気ぶち壊すなよ』とか、『この人は批判する人』なんて思われたらどうしようと考えるからです。

しかし、よく考えてほしいのですが、例えば何か新しいものを生み出したり、今やっていることが通用しなくなった時というのは、場合によっては今あるものを批判的に吟味して一度崩さなければならないこともあります。

そんな時に、「あいつはいつもネガティブな発言ばっかりだ」と周囲が仮に言っていたとしてら、それは単純に居心地のいい空気感を味わっていたいだけです。

そうなると、あなたが取る行動は、同調圧力に屈するか、それとも勇気を出して異を唱えるか。

この2つになってしまうわけですが、僕個人の意見としては、そもそもこのような反論を唱えられない雰囲気をつくっておくことがまずいと思っています。

空気を読めない人だと思われる不安

これのよくある例としては、忙しそうな上司や先輩に質問する時ですね。

例えば、上司や先輩に質問した時に、『何で今なの?忙しいから後にして』的なことを上司や先輩から言われると、それ以降質問することが億劫になってしまいます。

要は、『空気読めないやつと思われたらどうしよう…』という不安が沸き起こるからです。

一度、このような不安を抱えてしまうと、結構質問しづらくなっちゃいますよね。

そのため、質問や意見を受ける立場の人間は、この辺りをきちんと考慮して相手の話しを聞く必要性がありそうです。

おわりに

さて、以上が意見を言い出しづらくなっている4つの不安でした。

今後、勉強会を企画していく上で意見を出しやすい環境をつくるというのは大きな課題でありテーマですが、その際にただ単純に『質問や意見はありませんかー?』と投げても恐らくダメでしょう。

なぜなら、意見や質問を発信する側(聴衆者)は必ず何らかの不安を持っているからです。

日頃から顔見知りの友人同士の集まりならまだしも、そこにいるのは色んな場所から集まった初めましての方達ばかりですからなおさらです。

つまり、スタートラインから『不安』がドカドカ生まれる雰囲気が出来上がってしまっているわけです。

勉強会やセミナーを企画・運営する立場の人間は、この『不安』があることを前提に、いかにしてそれを払拭するような環境をつくるかが重要なポイントになりそうです。

さて、僕も考えます。

そして、勉強会に来てくれた皆様には喋り疲れて帰宅して頂けるよう企画して参ります。

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