みなさんは、臨床で一番必要なことは何かと聞かれたら何と答えますか?
「治療技術?」、「知識?」、「人間力?」
もちろん、どれもとても重要です。
かつ、これ以外にもセラピストの皆さんにとって大切にしていることはあるかと思いますが、あえて僕は明確に「これが必要だ!」と断言できるものが一つだけあります。
それは、『臨床思考力』です。
臨床思考力とは何かを一言で表現するなら…
知識を臨床に生かすために必要な頭の使い方
要するに、臨床推論ですね。
昨今、SNSやウェブコンテンツの普及によって知識をインプットすることが数年前よりもはるかに容易になりました。
だからこそ、手元にある武器(知識)はそこそこラインナップが揃ってきているはずなのですが、だからと言って臨床が毎度うまく進んでいるかというとそうでもなかったりします。
その原因の多くは、手元にあるふんだんな知識を必要なときに引き出せないという問題が起こっているからです。
その結果として、「いくらインプット量を増やしても実際の臨床現場で思うように活かせない。」という状況に陥っているケースが多いのではないかと僕は考えています。
そこで、全てのセラピストのみなさんにこれから必ず身に付けていただきたいスキルの一つが『臨床思考力』です。
膨大な知識を臨床現場で”正しく”活かすには、使いこなすための考える力が欠かせません。
そのため現在僕は、セラピストの皆さんの臨床思考力を高められるよう『はじまりのまち』内で定期的に臨床推論の進め方についてパート分けして細かく解説しています。
そこでこの記事では、実際にはじまりのまち内で(臨床思考力について)どのようなノウハウを提供しているのか、その内容について簡単にご紹介していきます。
臨床推論力を高めるためのロードマップ
①臨床推論力を高めるために必要な考え方〜序論〜
この記事では、臨床において必要な思考力の必要性や、それがないことで臨床においてどのような問題が生じているか解説しています。
代表的な問題を一つ挙げると…
患者様が示す症状が、全て重要そうに見えてどこから考えればいいか分からなくなる。
というものがあります。
これは、臨床推論のスタート地点である『イシュー』がきちんと定まっていないために生じる典型的な問題です。
これ以外にも、臨床思考力が弱いことで生じる問題はあるので、その辺りについても詳しく解説しています。
なお、この記事は以下の項目のうちどれか一つでも当てはまる人には必ず見ていただきたい内容となっています。
- 臨床で思考がフリーズし、ぼーっとしてしまう時間がある。
- 筋道を立てて考えることが苦手。
- 頭の中で情報がごちゃ混ぜになり、思考がまとまらない。
- 自分の考え(推論)を上手に伝えることができない。
- 症例発表会が苦手。
②臨床推論力を高めるために必要な考え方〜イシューの設定前編〜
臨床推論のスタートは必ずイシューを設定するところからです。
イシューというのは、臨床を行っていく上で“考えるべき”テーマとなるものです。
このイシューを外したまま臨床を進めてしまうと、思考があっちこっちに転がり、結局何を考えれば良いのかが分からなくなってしまいます。
特に、上記で赤字で示しているように『考えるべき』という部分が非常に大切であり、多くのケースでこのイシューの部分に『自分が考えたいこと』がきてしまうケースがあります。
自分が考えたいことというのは…
- 最近セミナーで習った手技を試したい
- 教科書に書いてあったからやってみたい
などなど、こういった自分の興味関心を試すことが主目的になってしまうケースです。
臨床はセラピストが知的好奇心を満たすためのものじゃありません。
あなたがやりたいリハビリではなく、患者様に必要なリハビリを提供することが私たちの仕事です。
この記事では、こういった状態にならないようにイシューの大切さなどについて解説しています。
③臨床推論力を高めるために必要な考え方〜イシューの設定後編〜
イシューの設定後編の本記事では、実際にイシューをつくっていくときのポイントや注意点についてかなり細かく解説しています。
イシューの設定を行うとき、「これって実習の頃などに行う問題点を列挙するあれと同じじゃないの?」と言われることがあるのですが、誤解を招かないようにするためにもはっきり言わせて頂くと、、、「全然違います」。
以下のテキストは、実際に本記事の中でお伝えしている内容です。
このように、イシューの設定は単なる問題を列挙していくことではなく、その問題の質だったり立て方も非常に重要になるのです。
④臨床推論力を高めるために必要な考え方〜仮説の立案〜
イシューを設定し終えた後に実施するのが、『仮説の立案』です。
この仮説を立てる際にもいくつかポイントが実はあって、例えば一番やりがちなのは、『目に付いた問題が原因であると決め打ちしちゃうこと』ですね。
これをやっちゃうと先ほど述べたように、結局は自分のやりたい臨床まっしぐらになっちゃうので、仮説を立てるときもできる限り網羅的に抑えていく必要があります。
そのためには、仮説をいきなり立てるのではなく『フレームワーク』という考え方を取り入れることが重要で、その点についてもこのパートで丁寧に解説しています。
僕自身、この臨床思考力を高めるための記事を多くのセラピストの皆さんに読んでもらい、最終的になっていただきたい姿としては…
というところを目指しています。
ここに至ことで得られるメリット。それは「臨床で思考がフリーズしなくなる」ということももちろんありますが、もう一つ重要なことは、「症例発表に自信が持てるようになる」ということです。
なぜならば、思考を構造化する営みが“普通”になると、「なんとなく」や勘でリハビリテーションを展開しなくなるので、日々の臨床それ自体が症例発表を行うときの頭の使い方(論理的に考えるということ)に切り替わっているからです。
さて、以上の点を踏まえ思考を構造化することができると、自然と以下の点がクリアになっていきます。
- 思考に抜け漏れがないか?
- バイアスが強くかかった臨床になっていないか?
- 自分がやりたい臨床になっていないか?
- 他に考えるべきことはないか?
こういった問いに対して自分の思考の解像度がとても高くなるため、臨床そして症例発表に対する苦手意識はグッと減るかと思います。
⑤臨床推論力を高めるために必要な考え方〜仮説を量産するための練習方法〜
仮説を立てることが大事なのは分かったけど、どうしても苦手なんだよなぁ…
という方、少なからずいらっしゃるんです。
具体的に言うならば、イシューをトップダウン的に分解して考えていくことですね。
思考を構造化した『ロジックツリー』は、基本的にトップダウン的に展開する方法ですがこれを可能にするためには、どうしても一定数の『知識』が必要になってきます。
だからこそ、手元に知識がない、もしくは手元に知識をうまいこと活かせない場合には一つ有効な練習方法があって、それが『ファクトを抽象化する』という方法ですね。
これを行うと、臨床と知識の紐付けがかなりやりやすくなるので、「知識を知識で終わらせない頭の使い方」と言うのができてきます。
シリーズ第5段ではこの辺りに進め方について解説しているので、ご興味ある方はぜひご覧になって頂き臨床推論のトレーニングに活かしてもらえたらと思います。
実際に思考を構造化し始めた皆さん
最近は、これら記事を読んで実際に思考を構造化してくださる人が増えてきました。
これは僕自身とっても嬉しく、こうやって思考の解像度を高くしてくださる人が今後もっと増えたら良いなぁ、というよりまだまだこれからそういった人を増やせるように伝え続けます。
さらに、中には後輩の指導の際にもこの考えを取り入れてくださる人が増えてきており、フィードバックのやりやすさであったり、後輩からの反応もよかったとのメッセージを頂きました。
こういった、皆さんの言葉を力に変えて今後も『セラピストの臨床思考力の向上』というのを一つのテーマにして発信を続けていきたいと思います。
もし、最後まで読んで「はじまりのまちに興味があります!」と感じた方は、ぜひ以下のリンクから詳細をご確認ください。
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