皆さんは、日頃臨床で患者様の評価-治療を意思決定していく際、どのように思考し臨床展開を行っているでしょうか。
今日は、臨床推論を立てていく上で考えなければならない『確証バイアス』についてお話ししていきます。
【臨床推論上達法】確証バイアスと臨床推論
確証バイアスとは
確証バイアスとは、『自分の思い込みや、信じているものを強化する情報ばかりに目が行きがちになる一方で、それとは反対の情報を無視してしまう』事を言います。
要は、『自分にとって都合の良い情報ばかりを集める』という事ですね。
では、この確証バイアスが臨床上どのような時によく出てきてしまうのか、例を出しながらお伝えします。
臨床でよくある確証バイアスの例
①自分が信じている理論に当てはまるような情報のみを引っ張ってしまう
これは、臨床推論を行っていく過程で患者様の問題点を抽出する際よくあるケースです。
患者様の病態解釈を行っていく際、一般的に問題となり得る機能障害は1つ2つではなく、いくつもの機能障害が混在している場合が多いです。
その際に、自分自身が何かの理論や考え方にあまりにも強く偏った思考を抱いていると、いくつもある機能障害の中からその理論に当てはまるような情報しかピックアップできなくなります。
つまり、仮説の段階から、ある程度確証バイアスがかかった状態で思考し始めているので、ファクトを集める時もその思考に基いた情報しか目がいかなくなるわけです。
その結果、ある意味必然的にその患者様の問題点はセラピストの思った通りとなってしまい、セラピストもそれに満足してしまう。というような構図が出来上がります。
②手技を肯定するために良好ケースのみを抽出してしまう
これも、先ほどの例と似ていますが、いわゆる何らかの手技・手法にこだわるあまり、それらを用いて良好な結果が得られたケースのみを無意識に引っ張て来てしまう事です。
逆に上手くいかなかった場合は、例外として位置付けることでその事実をなかったことの様にしてしまいがちになってしまいます。
何らかの手技や手法団体のセミナーに行くと確証バイアスが強くかかているなあと思うことがよくあります。
確証バイアスを取り除くために必要な考え方
では、このような確証バイアスを取り除くためにはどうすれば良いのでしょうか。
その一つが、自分が信じているものに対して反対意見を述べている人の意見を聞いたり、論文に目を通すことです。
私達は、『自分が信じたいもの』や『思い込み』を強化したいという心理が働きやすく、どうしても自分を肯定してくれる情報ばかりを集めがちになってしまいます。
しかしそれでは、時として真実を歪めてしまう事が起きてしまう場合があります。
だからこそ、自分が信じている情報も集めて知識を養う一方で、それに対して反論している情報にも耳を傾ける勇気を持つ必要があります。
臨床に置き換えた場合だと…
自分にとって、都合の良い情報ばかりを集めるのではなく、患者様の病態を俯瞰的に観察しそれに基づいて情報収集を行っていく必要があると思います。
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