皆さんが所属する会社は、社員が大切にされていますか?
日々仕事を行っていると、目に見えてくるものは『お客様』ばかりで意外と蔑ろにされがちなのが『社員』です。
しかし、より会社を伸ばしていこうと考えたとき実は大切なのって社員で、これに気づき『従業員第一・顧客第二』というスローガンを掲げ業績を大きく伸ばした会社があります。
今回は、その会社の社長であるヴィニート・ナイアーが著者である本のご紹介です。
社員を大切にする会社~5万人と歩んだ企業変革のストーリー~
どんな内容?
低迷している会社を復活させたCEO
この本の中で一貫して特徴づけられているポイント。
それは、会社の組織構造の変革です。
主人公は、インドのIT企業(HCLテクノロジーズ)のCEOであるヴィニート・ナイアー。
最高経営責任者のこと(要は代表取締役)
彼は、HCLの業績が低迷している時にCEOに就任し、当会社をV字回復させた人物です。
どうやって、業績を回復させたのか。
それは彼が、CEO就任後ある理念を掲げたところからスタートしました。
それが『従業員第一・顧客第二』というものです。
経営サイドの人間ではなく従業員を一番にする会社へ
会社などの組織における従来の組織構造というのは、社長がトップに君臨しその下に中間管理職、そして一般社員がいるという構造となっている会社が多いです。
従来の組織構造
加えて、このピラミッドが上に行くほど意思決定のボタンを握っている人物が多くなるため、最も下にいる一般社員は常に上の指示に従いながら動くという構図になっています。
上に行くほど権力や意思決定権を持っている
しかし、ヴィニートCEOはある時思いました。
「この会社の中で最も顧客に対して価値を生み出す場所、つまりバリューゾーンというのはどこなのか。」
会社が業績を上げるためには、当然ですが「お客さん」が必要です。
では、その業績のカギを握っている客さんに我が社(HCL)の価値を直接提供するのは一体誰か。
というとそれは、階層構造の一番下にいる一般社員であるいうことが分かりました。
実際に会社に“価値(バリュー)”を生み出しているのは一般社員である
先ほども述べましたが、従来の組織構造ではバリューゾーンにいないはずの管理職や経営者に意思決定権が集中し、評価も常に上の立場の人間が部下にあたる一般社員に対して行うという現状がありました。
しかし、実際に顧客に価値を生み出すのは‟一般社員”であるにも関わらず、それを大切にしないということは結果的に顧客が離れていくことは一目瞭然だろう。
そう、ヴィニートCEOは考えたわけです。
そこで、彼が行った取り組みというのが従来の組織構造ピラミッドをひっくり返して、バリューゾーンに最も近い従業員を第一に考えた組織構造へと変革することでした。
一般社員を組織構造の一番上へ
実際にどのような政策を実施したのか。
その一つが、『従業員側が管理職(つまり上司)を評価する』という仕組みです。
人事評価というと、一般的には上の立場の人間が下を評価するというものですが、この『従業員第一主義』ではその逆で、いつも評価されるはずの従業員が上司を評価し、かつその評価結果も全従業員がみられるように公表するという斬新なものでした。
ちなみに、HCLの社員数は5万人越えの大企業です。
その人数に評価結果が公表されるって、上司からすると身が引き締まるどころじゃありませんよね(笑)
これは、この本で述べられている一例にすぎませんが、ただ実際のところ組織構造をひっくり返すと言ってもそう簡単に出来ることではありません。
なぜなら、そこで生じる問題が山ほど起こるからです。
今ご紹介した政策も普通に考えたら正直批判殺到の案件だと思います(笑)
しかし、彼はこのように生じた問題についても様々な考えを用いて乗り越えていったのです。
どんな人にオススメ?
まず、組織が大きい小さい問わず今‟リーダー”といわれる立場にいる人は例外なく一度読んでおいて損はないと思います。
会社の社長や管理職の人だけでなく、部活動におけるキャプテンや部長の人も含めてです。
この本はヴィニートCEOが…
- なぜ、従業員第一を理念に置くのか
- 従業員第一を実現するためにどのようなことを行ったのか(批判に対する対応も含む)
- 従業員第一によって、HCLがどのように変わっていったのか
というのが、鮮明に描かれておりリーダーシップの本質というのがよく分かります。
だからこそ、組織のリーダーの立場にいる人や、またこの先起業を考えている人は是非一度読んでほしいです。
ワンマン経営というのは意思決定が素早く行えるため、スピード感をもって打ち手を講じることが出来る一方で、不況など思わぬ外部環境の変化によって窮地に立たされた時、会社をどのように立て直すかというのは非常に重要な問題です。(自分がいる組織の雰囲気や状態が芳しくない、もしくは劣性に立たされている時も同様)
この本は、それを考える際の大きなヒントになると思います。
気になる人は、是非ご一読を。
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