こんにちわ!きんたろーブログ(@kintaroblog)です!(^^)!
今日のテーマはいつもの神経系とはちょっと視点を変えて、筋骨格系という視点からお話ししていこうかと思います。
内容としては、脊椎の安定性を担保する機構と、腰痛に関連した身体筋活動についてお話ししていきます。
【こんな人におすすめ】 ・脊椎に興味がある人 ・腰痛のリハビリテーションに関わる人 |
脊椎の安定化機構システムと腰痛の関係性
脊椎の安定化機構として、Panjabiは3つのシステムの存在を言っています。
① 受動システム
② 能動システム
③ 制御システム
① 受動システムとは
脊椎における受動システムとは、椎体・椎間関節・椎間板・靭帯・関節包などの組織により構成されていて、脊椎の運動性と安定性に貢献しています。
② 能動システムとは
能動システムとは『筋』による機能であり、その筋というのは主に体幹筋群の事を言います。
この能動システムで利用される体幹筋群は『アウターユニット』と『インナーユニット』という2つに大別されます。
アウターユニット
アウターユニットは主に身体表層にある筋肉で『前斜系』と『後斜系』の二つがあります。
前斜系 : 外腹斜筋と大内転筋
後斜系 : 広背筋と大殿筋
インナーユニット
インナーユニットには、横隔膜・腹横筋・多裂筋・骨盤底筋といった筋で構成されていて、主に身体の深層に存在する筋です。
③ 制御システム
制御システムというのは、先ほど述べた能動システムで用いる筋群に対して指令を送る神経制御機構のことです。
具体的には、以前お話しした腹内側系がこれに当たり、随意運動の開始直前に、予測的姿勢制御により体幹筋群を非随意的に収縮させ脊椎の安定化を図ります。
☆予測的姿勢制御とは?☆▶こちら |
以下に紹介する2つの研究はこの制御システムを実証した研究です。
Hodgesらの研究
立位で股関節運動(屈曲・外転・伸展)の際には、腹横筋・内外腹斜筋・腹直筋・多裂筋といった身体の中枢部の筋群が股関節の運動に先行して活動することが分かっています。 |
京都大学の建内先生の研究
「腰部・骨盤帯・股関節の神経筋コントロール 建内宏重」より引用
図のように股関節の伸展運動を行う課題を用いて、股関節周囲筋群(半腱様筋・大殿筋・大腿筋膜張筋)と体幹筋群(脊柱起立筋・多裂筋)の筋活動のタイミングを測定しました。
結果▷▷▷▷
個人差はあるものの股関節伸展運動時、運動側の多裂筋が下肢運動に先行して活動する傾向にあったようです。
加えて、その他の体幹筋群に関しても半腱様筋の活動開始よりも50ミリ秒以内には活動を開始していることが分かりました。
一方で逆に、大殿筋は他の筋に比べると、活動が生じるのが遅いということが分かりました。
これらの結果から、やはり身体の中枢部に存在する体幹筋群に関しては四肢運動に直接関与する筋群(半腱様筋・大殿筋)などに比べると先行的に作用することが分かります。
つまりこれは、制御システムによる予測的姿勢制御の機能を果たしているということです。
基本的に脊椎の安定化機構はこれら3つのシステムが相互的に関連しあって獲得することが出来ると言われています。
では次に、これを踏まえて腰痛患者の方で比較してみましょう。
腰痛と筋活動の関係
Hodgesらの研究課題と同様の課題を実施(股関節屈曲・外転・伸展)し、健常者と腰痛患者とで比較した研究があります。
結果▷▷▷▷
【健常者】
股関節周囲筋に先行して体幹筋群が活動し、特に腹横筋の筋活動が著しく早いことが分かりました。
【腰痛患者】
体幹筋群の筋活動が遅延し、さらに健常者では腹横筋が早期に活動するのに対して、腰痛患者では全ての下肢運動(屈曲・外転・伸展)にて、腹横筋の筋活動が遅い傾向にあることが分かりました。
また、仙腸関節痛における先行的な筋活動の遅延も報告されており、仙腸関節痛のある患者さんは、罹患側の下肢に荷重した時に、多裂筋や内外腹斜筋の筋活動が遅延することが報告されています。
このように、脊椎の安定化機構である3つのシステム、特に制御システムにおいては、破綻すると様々な脊椎疾患や腰部疾患に関わってくることから、非常に大事な側面であることがいえると思います。
さいごに
今回、脊椎の安定化機構として3つのシステムからお話しし、そしてこのシステムと腰痛との関連性について書いていきました。
様々な研究から四肢の運動に先行して体幹筋が収縮することが分かってきています。
これは、背外側系と腹内側系という神経学的な背景を肯定する事実であるともいえます。
☆合わせて読みたい☆
この背外側系と腹内側系のバランスやタイミングが崩れると腰痛などの様々な疾患が生じる可能性があるようです。
ただ、個人的に気をつけなければならないこととしては、今回腰痛の一つの要因を書いていきましたが、『これがすべてではない』ということは念頭に置いておかなければならないなと思いました。
確かに、腰部疾患などに関わってくる一側面ではありますが、全てをこのことありきで考えると、治療戦略がどの患者さんにも『腹式呼吸』や『体幹トレーニング』と一遍当の訓練しか考えられない思考になっちゃうからです。
だからこそ、きちんと評価を行い、そのうえで方法論を自分自身で吟味して意思決定出来れば良いのかなと思います。
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