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【イメージトレーニング】
スポーツを趣味でする人からアスリートまで、誰しも一度くらいこの言葉を聞いたことがあり、また実践された経験のある方っているのではないでしょうか。
実際に、イメージトレーニングとスポーツ競技力にどのような関係があるのか…といいますと
競技力と運動イメージの関係性を検討した研究では、高い競技力の選手ほど鮮明な運動イメージを想起でき(徳永.1984)、また運動イメージを想起する頻度が高い(Comming and Hall.2002)。
ということが報告されています。
では、『運動イメージ』と『パフォーマンス』、この両者の関係性には一体どのようなメカニズムが隠されているのだろうか。
運動イメージに関することは以前に書きましたが、今回はちょっと切り口を変えて書いていきたいと思います。
☆合わせて読みたい☆ 運動イメージは何で必要?またどうやって臨床に応用する? |
イメージトレーニングの脳科学
『実運動』と『運動イメージ』の脳活動
【内藤らによる研究】
研究内容を簡単に説明します。
被験者①
・右手指の屈曲伸展運動
・右足指の屈曲伸展運動
・舌を口内で水平運動
これらの運動を実際に行ってもらう群。
被験者②
上に示した運動を『イメージ』してもらうだけで、実運動は行わない。
※ただ、その運動イメージには条件があって、「あたかも自分が運動しているかのように」という一人称の運動イメージを行う。
この2群間の脳活動を機能的核磁気共鳴装置(fMRI)を用いて測定。
【結果】
被験者①(実際に運動した群)
一次運動野(対応する体部位再現領域)・背側運動前野・帯状回運動皮質・補足運動野の活動が見られた。
被験者②(運動をイメージした群)
実際に運動を行った群(被験者①)と変わらない脳領域の活動が見られた。
【結論】
実運動を伴わなくても、運動のイメージを行うだけで、実運動時に働く脳領域が活動する。
つまり、脳内で運動シュミレーションが遂行できているため、実運動を伴わなくても運動が習熟するプロセスを踏める。
その結果、実運動時のパフォーマンスにも良い影響をもたらすことが出来る。
以上のようなメカニズムが働くので、イメージトレーニングは運動パフォーマンスに強い正の相関性を持っていると考えられます。
イメージトレーニングのコツ
さて、ここまで運動イメージと実運動時の脳活動を見てきました。
しかし、、だからといって闇雲にイメージトレーニングをすればよいかと言うと、そういうわけではありません。
運動イメージの方法にもきちんとやり方があります。
次はそれを説明していきますね。
運動イメージには二種類あって、『一人称イメージ(筋感覚イメージ)』と『三人称イメージ(視覚的イメージ)』があります。
両者の特徴を以下に示します。
一人称イメージ:「あたかも自分が運動しているかのようにイメージする」
三人称イメージ:「自分が運動を行っている様子を第三者視点からみる」
三人称イメージの説明が分かりにくいと思うので、簡単にいうと「妄想」が一番近いかもしれません。
自分自身が活躍している姿を思い浮かべて、それを第三者の視点から見る。
試合前に自分自身を奮い立たせたり、気持ちを高めたりするときに、このようなイメージトレーニングをする人っていないでしょうか?
結論から先にいうと、先ほどの研究を見ても分かる様に実運動のパフォーマンスレベルの向上に直接かかわっているのは前者の『一人称イメージ』を行ったときです。
理由は、三人称イメージ(視覚イメージ)では、一人称イメージ(筋感覚イメージ)の時に働いた脳領域は活動しないことが分かっているからです。
また、自分が今までやったことがないような運動というのも、一人称でイメージすることは困難です。
そのため、一人称イメージはある程度実際の運動を反復して行い、動く感覚を鮮明にイメージできるレベルまでやっておく必要があります。
結論
☑実運動と運動イメージの脳活動は同等である
☑自分が運動しているところを第三者の目線からイメージすることは三人称イメージになる
☑イメージトレーニングのポイントは「あたかも自分が運動をしているような」という一人称的なイメージが必要。
最後に
僕は昔から野球をやっていたのですが、その時から「イメージトレーニング」は存在していました。
しかし、当時はイメージトレーニングと聞くとわりと精神論として捉えられていて、自分自身を鼓舞する一つのツールであり、まさかパフォーマンスに直接関わっているなんて考えていませんでした。
しかし、いま思うと『イメージトレーニング』は精神論でもなんでもなく、パフォーマンスを高めるためのツールの一つとしてあるのだなと今は感じています。
過去に行っていた僕のイメージトレーニングは自分自身が活躍している姿を想像して気持ちを高めていました。
しかし、それは三人称イメージで、もっとパフォーマンスにフォーカスするならばイメージトレーニングの方法も工夫出来ていたのかなと思うので、今後スポーツに関わる機会があれば取り入れていきたいと思っています。
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