先日海外のこちらの論文で大変興味深い内容の記事がありました。
テーマは
「post-stroke depression(PSD)」:脳卒中後うつ病
に関する内容でした。
その文中では、脳卒中患者様は自発的な回復を達成したとしてもPSDに関しては永久的な障害として残る可能性のある要因の一つであるということでした。
さらに、身体機能の回復における悪影響を与える要因としてもPSDが挙がっていました。
つまり、重篤な精神疾患であるうつ病が脳卒中の後遺症として現在強く問題視されていて、その理由としては「長い期間残ってしまう可能性がある」という点、それから「身体機能回復に悪影響を与える」といった点があるからです。
そして、この論文の中では発症時期についても述べられていました。
PSDは脳卒中後、かなり早い時期には発症せず、時間的経過の中で緩やかに発症するとの事であり、時には6カ月以上経過して発症する可能性もあるとの事でした。
また上記論文とは別に2007年に長田氏が発表したPSDに関する論文にも、発症時期が述べられており
「PSDは脳卒中発症から半年以内のリハを行う時期に効率に見られる」
との事でした。
このように、脳卒中に関わる回復期病院であればPSDはかなりリハビリテーションに緻密に関わるファクターになります。
私達セラピストは身体を診て良し悪しを判断しがちですが、こういった患者様の内部で起こる精神的問題というのは軽視されるべきではないと感じます。
なぜなら、私達でもうつ傾向であるときに積極的に「何かを学ぼう」だとか「運動しよう」といったモチベーションになるでしょうか?
脳卒中の患者様が回復期病棟にいる時というのは、これからの自分の生き方や希望や不安など僕らでは想像できないくらいの、計り知れないものとたった一人で戦っています。
僕たちは理学療法士だけど、どうにかここに少しでも寄り添えないだろうか。
身体を診ることが仕事だと、学校教育を通じて習ってきたことですが
しかし人と関わる上で「心」は間違いなく外せません。
この現状を少しでも変えるために。
そして、理学療法士という職業がもっともっと僕らにしかできない仕事であると、多くの人に知ってもらうために僕らは必死に考えて学び続けなければならないと思うのです。
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