これまでこのブログでも何度か書いてきた「身体所有感」や「運動主体感」といったような身体性の問題。
今日から少しいくつかにわけて、この身体性を著しく破壊された人物とその体験記を記していきたいと思います。
まずはじめに、その人物とは
「オリバー・サックス」
という方です。
彼は、1993年にロンドンで生まれ後に脳神経外科医になりました。
主に、知能障害・偏頭痛・脳炎後遺症などの治療にあたり有名な原作著書として「レナードの朝」という作品があります。
これは映画化にもされた名作ですね。
そんな医者として生きてきた彼が、ある出来事をきっかけに、「医者」であると同時に「患者」としての経験もしてゆくのです。
その経験が記された著書。
それが「左足をとりもどすまで」という作品です。
今日はこの本の中からサックス氏の体験記を皆様にお伝えしていこうと思います。
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左足をとりもどすまで
ノルウェイ山中の事故
x年24日、土曜日の早朝。
オリバー・サックス(以下サックス氏)は登山を始めた。
登山といえども、ロープなどを使ったような本格的なものではなく、山歩き程度のものでした。
さらに、サックス氏自身も体力に自信満々と自負しており、そういった理由もあり、道は険しいが問題など起きるはずがなかったのです。
しかし、標高600m程を過ぎたところで
「牝牛に注意!」
という看板があるのです。
ただ、彼はそんなもの気もしれずさらに山頂へと登っていきました。
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しかし、それからさらに進み山頂が見え始めたところで、大きな岩のような物体に遭遇したのです。
それは先程の看板に書かれていた牝牛だったのです。
彼はパニックになり、滑りやすい道を夢中で走り始めました。
しかし走っている途中で崖を踏み外し、崖下に転落してしまったのです。
気がつくと左足が体の下で酷く捻れてしまっているのが見え、痛みもとてつもないものでした。
しかし、彼は医者ですのでこういった状況にも関わらず、冷静に自分の身体が今どんな状況に見舞われたのかを分析しました。
結果出た答えは
「大腿四頭筋腱断裂」
「膝十字靭帯断裂」
「数箇所の骨折」
だったのです。
膝蓋骨付近で大腿四頭筋は完全に断裂していたため、膝蓋骨は容易に脱臼してしまうようなレベルでした。
こんな状態になってしまいましたが、ここは山の中です。
人なんていません。
連絡をしなければ助けなんて誰も来ないような状況です。
そこで彼は、持っていた傘を添え木代わりにし、奇跡的に両腕は問題なかったため、這いつくばって下山を始めました。
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そして、下山を始めて約7時間後。
サックス氏はトナカイ狩りをしていた親子に奇跡的に発見されたのです。
そして、彼らに助けを求めサックス氏は麓の病院に運び込まれることになったのです。
こうして彼は助かりました。おわり。
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と、言いたいところですがここまでというのはほんの序章に過ぎず、この上記までの内容というのは全250ページ超の中のたった40ページ程の内容です。
病院に着き、治療を始めたこれからがサックス氏が体験する世にも奇妙な物語へと発展していくことになるのです。
次回は今回の続き「患者になった医者」からまた書いていこうと思います。
なお、この本を読みたい方は書店やAmazonなどでも取り扱ってますので、是非ご覧になってみてください(^ ^)
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