リハビリテーションに関わっていく中で最も多いのではないかとも思われる現象
それが「筋由来の疼痛」ではないでしょうか
ただ、これは必ずしも筋性疼痛かと言われればよく分からないのが実際で、なぜなら私達は自分の持っている知識の中でしか勝負できないので、患者様が痛いと言い、なおかつ痛いところをさすったりしていれば、「~~筋ですね」「~~筋かな?」と知っている幅の中での仮説しか思い浮かばないからです。
しかし、そこで筋性疼痛の原因を議論しようとすると意外とそのメカニズムや機序を説明できる人って少なくて、この筋由来の疼痛を考えるときにセラピストが最も発する言葉として
「硬い」
「短縮している」
「アライメントが悪い」
「代償している」
といった記述をすごくよく聞きます。
しかし、これというのはただの現象に過ぎなくて、硬くても痛みを訴えていない人もいれば短縮しているのに痛みを訴えていない人だってゴロゴロいますよね。
そういった場合、このような短絡的すぎると言っても良いkeywordばかりで筋性疼痛だと判断しても信ぴょう性に遥かに欠けると僕は感じています。
現象≠原因
ではないと思うのです。
こういった現象でイコール痛みとつなげてしまう背景には、セラピストの主観がかなりバイアスとしてかかっていると思うんです。
というのも人は、自分の生きてきた経験を他人に共有させてしまう部分が潜在的存在するので、例えば何かスポーツをしていた人で、筋が硬くて同時に痛いと感じたことのある人がいたとすると
筋が硬い=疼痛
といったように、痛みと現象を自身の過去の経験から結びつけようとしてしまいます。
その結果、そういった痛みを訴える患者様を診た時にも、痛みのある部位を触って硬ければ痛みの原因はこの筋であると推論を立ててしまう部分って少なからずあるのではないかと思うんです。
その結果、これに対する方法論として何をするかというと
「硬いところを揉みほぐす」
といった形で還元してしまうところって働いていて感じる部分ってないでしょうか?
そのくせ、口では
「マッサージ師ではありません」
なんていう人をたまに見かけますが、いやいややってること一緒じゃん(笑)
って思いますし、むしろこういった発言はマッサージを自分の仕事としてなさっている方に大変失礼です。
痛いと言ってるところ揉みほぐしてるなら、もうそんなもの「マッサージしてます!」で良くないですか?(笑)
むしろその方が気持ちがいいです個人的に(笑)
あと、もう一つ筋由来の疼痛と考えてしまいがちな理由。これは
養成校時代から筋肉に対してばかりフォーカスを向けてきた結果なのかな?
と僕は思っています。
あまりにも、筋肉ばかりに学問のフォーカスが当てられた教育を受けてきたゆえに、考えるキャパシティ自体がその方向性ばかりに常に偏ってしまうのではないかと思います。
正直痛みの原因というのはそんな短絡的に解決するような問題じゃありません。
なぜなら原因そのものが多角的過ぎるというのがあって、疼痛の種類を挙げるだけでもかなりあります。
炎症・関節・筋肉・精神機能(心因性)・内臓・結合組織・血管・神経性・脳機能不全(neglect)・・・etc
などなど、疼痛の原因というのは少なくともこれくらいは可能性として挙がってきます。
だからこそ最初から筋由来と考察づけるのではなく、これらの中から私達はあらゆる検査や評価を行っていき、仮説を立てていかなければならないと思うのです。
では、筋性疼痛をどうやって解明していくか。
これにはやはり、私達が正しい知識とメカニズムを自分で勉強して知っている幅を広げていくことが大事だと思うのです。
例えば、疼痛に関する基礎研究の論文を読んだり、疼痛学の勉強会に参加したり(事実に基づく)するといったようなことです。
このように、何かを結論づけるのであれば最低でもなぜそのように考えたのかの機序やメカニズムは持っておかないと、勘で患者様が治ればだれも苦労しません。
そのためにやっぱり私たちは常に勉強し続けていかないといけないのかぁ。
と僕は思います。
コメント