感覚入力って何を意識すればよいの?

皆さんこんにちわ!

 

さあ。今日はタイトルにも書いています『感覚入力』ということなんですが・・・

 

この言葉の意味性って皆さん考えたことがありますか?

 

例えば臨床や実習中に、よく「感覚を入れる」なんて言葉を聞くことがあります。

 

多くの人が簡単に「まず感覚入力をしてその後立ち上がり練習や・・・etc」と言っていますが

 

僕は正直いつもここで疑問を感じます。

 

「いやいや本当に入ってんのかよ(笑)」と。

 

まるでロボットについているボタンを押したら、電源が入るのと同じような体で、簡単に「感覚入力」と言っているような気がしてなりません。

 

が・・・

 

それって言ったもん勝ちになっちゃいませんか?(笑)

 

「感覚を私は入れたつもり。だから入ってる。」と・・・

 

おそらく、こう言い切れる背景には何らかの勉強会などで講師の人が

「ここをこんな風にすれば感覚が入るから・・・」

とか

「まず~筋に刺激を入れて感覚入力をしていきます・・・」

というふうに、講師の人が行っている方法論を見て

「あぁ。こんな風にすれば感覚が入るのか・・・」

と理解して行っている人もいるのではないかと思います。

 

しかし僕は、このようなスイッチを入れれば(刺激を入れれば)電源が入る(感覚が入る)といった手続きは、あまりにも人間を機械論として捉えすぎではないかと思うのです。

 

ヒトはそんなにも単純なシステムなのでしょうか?

 

というわけで、今日は『感覚入力』というものを行っていく上で僕が思う、最低限考えておかなければならないものを、お伝えできればと思います。

ではまずはじめに、以下の実験をご覧ください

 

ゴンドラのネコ実験

ゴンドラのネコ実験をご存知でしょうか?

 

この実験は生後間もない二匹の猫をゴンドラの中に10日間おいた後に、二匹の視覚的行動を分析しました。

 

この図で注目していただきたい所として、向かって左側のネコはゴンドラに乗っており、床に脚がついていませんが、一方で向かって右のネコは床に脚が接地しています。

 

両方のネコに共通していることは、ゴンドラが動くたびに視空間情報は両者同じものを見ているので共通しています。

 

つまり視覚情報という感覚入力は両者同じということです。

 

一方でこの両者の違いはというと。

 

それは向かって左のネコは右のネコの歩くという能動的な動きによって受動的に動かされているのです。

 

その結果何が起きたでしょうか。

 

2匹とも同じ視覚情報の入力を受けていたにも関わらず、ゴンドラに乗せられた左のネコは視空間認知危険回避能力に障害が生じ、視知覚の発達がみられませんでした。

 

この実験からお伝えしたいことは、私達生物は沢山の環境の中で、自分の身体を使って能動的に知覚をしていくことが運動や認知機能の発達にとって重要であるということです。

 

ということは、です。

 

大事なのは

『セラピストがどのような感覚を与えるか。ということよりも、患者様自身がどのように感覚情報を受け止めたか。』ということだと僕は思うんです。

 

例えば臨床の中で、セラピストは必死に患者様の身体に触れ感覚を入れているつもりでも、その患者様自身が全く何をされているかもわからず、志向性が治療に向いていなければセラピストが意図する感覚というのが受容できていないのではないかと思うのです。

 

だから、リハビリテーションを行う上で・・・

セラピストがひたすら他動的に動かすのではなくって、患者様自身が能動的に動いていけるような環境設定や課題指向型訓練が必要になってくるのではないかと僕は思っています。

まとめ

確かに、自分(セラピスト)の手で患者様が変化することはすごく嬉しいですし、やりがいも生まれるかと思います。

 

しかし、最近思うのはあまりにもいわゆるゴッドハンドを求めているセラピストが増えてきている気がしてなりません。

 

正直、僕も元々そっち側になりたい人間だったのでそこを求める気持ちはすごくわかりますし、自分自身のステータスにもなるじゃん!と一時期考えていました。

 

しかし一方で、その際に気を付けなければならないのは、その方法論に果たして信ぴょう性があるかどうかをきちんと自分で考えたり、またリハ中に患者様が思考することなく自分だけが必死に感覚を入れているつもりになっていないかをしっかり吟味する必要があると思うのです。

 

では最後に。

人はロボットじゃありません。

目には見えませんが、心があって意図があります。

刺激を入れたら無条件に思い通りの結果になるとは限りません。

そこをどうか考慮して僕も臨床をしていきたいと思っています。

 

 

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