いきなりですが脳卒中後、麻痺側の肩関節に疼痛が生じる人の割合ってどのくらいかご存知でしょうか?
ばらつきはありますが、ある報告では脳卒中後約85%の人に生じるとも言われています。(Bender and McKenna 2001, Turner-Stokes and Jackson 2002)
そう、実は案外多いんです。麻痺側の肩が痛い人。
そして、実際に「肩が痛いんです」と訴える患者様の担当をしたことがある療法士のみなさんならわかるかもしれませんが、この肩の痛みというのは、リハビリテーションを進めていく上でかなり大きな弊害になります。
何より患者様ご本人様のQOLがすごく下がり、常に肩の痛みに対して悲痛の顔を浮かべているというような状態になりやすいです。
その結果、うつ傾向になったり、リハビリに前向きに取り組めない場合が時としてあります。
だからこそ、私たちが知らなければいけないこと。
それは、「脳卒中後、肩関節が痛くなるきっかけとなるトリガーを知ること」です。
なぜならば、肩の痛み自体が脳卒中後必ず怒るものではなく、私たち療法士の関わり方によっては防ぐことができる可能性もあったりするからです。
そこで今回は、いくつかの論文で報告されている脳卒中後リハビリテーションを進めていく中で、どのような因子が肩の痛みを発生させやすいのか、ということについて解説していこうと思います。
この報告を通して、少しでも日々の臨床の中で肩の痛みを訴える患者様が減ると良いなと思っていますので、ぜひ最後までご覧ください。
本記事は、オンラインサロン『はじまりのまち』で投稿されているコンテンツであるため閲覧可能な範囲は一部のみとなっています。
【脳卒中リハビリ】脳卒中後、麻痺側肩の痛みが生じる原因は◯◯
対象者と肩の痛みの発生割合
知見①
まず、研究で対象となった患者様の人数と内訳についてざっくり抑えておきます。
対象となった人数は全員で94人であり、そのうち入院した段階で肩の痛みを発症したのが22人でした。
つまり、リハビリ開始直後4人に1人は肩の痛みが生じ始めたということですね。(全然稀な話しはなさそう…)
その後、リハビリテーションを進めていく中で肩の痛みが発生したのが11人でした。
これらを踏まえると、リハビリテーション中に肩の痛みが発生したトータル割合は3〜4割ほどになります。
知見②
これはトルコのリハビリテーション病院で行われた研究で、対象者となったのは脳卒中患者85人です。
そのうち、麻痺側肩の痛みを訴えた人は54人いました。
つまり、約6割もの患者様がリハビリテーション中に麻痺側の肩が痛みを発症したのです。
知見③
この研究では、当初152人ほど研究に参加していましたが、スクリーニングによって最終的に対象となった脳卒中患者様は123人でした。
このうち、肩の痛みを訴えた人の割合は52人でした。
これは、約4割にあたります。
肩の痛みを生み出すリスクファクター
いかがでしょうか?
3つの研究を見てみると、少なくとも4人に1人は肩の痛みを訴えてもおかしくないという状況だということがわかります。
そこで次は、このような肩の痛みを引き起こす要因となっているリスクファクターについて、また上記3つの研究から解き明かしていこうと思います。
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