リハビリテーション業界に限らず、仕事もしくは学校生活を送っていく上で「わからないこと」って誰しもあると思うんですね。
で、そんなときに取る行動はおそらく2つで、「自分で調べる」か「誰かに聞く」だと思います。
どちらのアクションも重要なのは、「分からないことがあったら素通りしないで必ずその時点で解決した方がいい」ということで、どっちの手段を取るにせよあなたの疑問が解決すればそれでOKなわけです。
そんな中で、実は先日InstagramのDMでこんなメッセージを頂きました。
勉強してても、『何がわからないかすら分からない』ことがあって、こういう場合にどうしたらいいでしょうか?質問の仕方にも悩んでいて…
これ、結構大事な問いだと思っていて、というのも多くの人が「何が分からないか分からない」という経験を一度はされたことがあるんじゃないかなと思ったからです。
そこで今回は、「何がわからないかわからない」場合を含め、『質問の仕方』というテーマで少しお話ししていきたいなと思います。
質問の仕方によっては、質問した側そしてされた側2人共の時間が無駄になってしまうことがあるので、ぜひここは押さえて頂きたいところです。
それじゃ、はじめていきますね。
「分からないことが分からない」時の質問の仕方
結論、「分からない」だけ投げると欲しい情報は手に入らない
まず、結論から言うと分からないことを質問する時は一旦ど滑りしても構わないので自分なりの解釈を伝えた方がいいです。
なぜなら、単に分からない事を抽象度が高いまま相手に全投げすると、おそらく返ってくる答えは質問者本人にとってストライクではない情報だったりするからです。
と言うのも、「分からない」とだけ投げる質問は答えるべき範囲が膨大すぎて、答える側もその膨大な範囲の中から質問者の知りたい的を予測して伝えなければなりません。
しかし実際問題これがめちゃめちゃ難しくって、質問に答える側としては、ストライクゾーンが広すぎてどこにボールを投げたら良いか分からないんですね。
その結果、こうした場合質問者に返ってくる答えのパターンとしては大きく2つあるかなと思ってます。
- 答える側の好きな(得意)情報だけが返ってくる
- 「このくらいは分かるよね」と言う前提で文脈が端折られた情報が返ってくる
抽象度の高い質問を投げるとまずい理由①
答える側の好きな(得意)情報だけが返ってくる
これは、例えばあなたが臨床で悩んでいて先輩にこのような質問をしました。
脳卒中の患者さんで歩行が困難です。どんな治療したら良いですか?
この質問の投げ方って一見よくあるんですが、結論この質問は情報量が少なすぎます。
じゃあ、仮にこのような質問をした場合どんな返答が返ってくるか?
というと、そのほとんどは“先輩が得意な方法”です。
要は、先輩の思想やバイアスがすごく色濃くでた返答が返ってくる可能性が極めて高くなりやすいんです。
ただ、その方法に関して事前知識がないあなたはその方法を聞いたものの「明日から再現できるかと?」言われたら到底実現可能性が低いです。
そうするとあなたは、「教えてくれてありがとうございます!」とはいうものの、行動に繋がらずモヤッと感や焦りだけが残ってしまう結果となることが多い。これが本当によくあるパターンです。
抽象度の高い質問を投げるとまずい理由②
「このくらいは分かるよね」と言う前提で文脈が端折られた情報が返ってくる
あなたが分からない事を質問した時、答える側はあなたがどのレベルの話しで躓いてるかが分かりません。
そして、これは高明な先生や経験豊富な先輩に相談するときほどありがちで、要するに「質問した側とされた側に圧倒的な知識の差」がそこにはあるわけです。
そうすると、質問された側はつい自分の中では当然のように知っている知識や文脈は端折ってしまうことがあります。
しかし、あなたはその端折られた部分の知識が欲しかったりするので、この時点で知識に差が生じせっかく時間を割いて教えてもらっても理解できなかったと言うような感じになってしまいます。
以上、2つのことから言えること。
それは、繰り返しですが「分からないという事実そのものを丸投げすると自分が知りたい情報が返ってくることはほとんどないかもしれない」ということです。
よほど親切な人なら、あなたが理解しているかどうか逐一確認しながら答えてくれるでしょうが、割合としては少ないと思います。
理想的な質問の仕方
では、ここからはそれらを踏まえた上で実際にどうやって質問したらいいか。
これについて解説します。
結論、先に「自分の解釈(考え)を伝える」ことです。 冒頭でいったように、一旦ど滑りしても構わないので自分なりの解釈を伝えた方がいいということですね。
自分の解釈を先に伝えるというのは、「相手にわからないことを丸投げするんじゃなくて、まずは自分で考えろよ!」という精神論的な話ではありません。
自分の解釈を先に相手に伝えることって、お互い良いことしかないからやったほうがいいんです。
なぜ最初に自分の解釈を伝えた方が良いのか?
まず、質問された側にとって何が良いかというと、分からない事を丸投げされると答える範囲が膨大になってしまいますが、質問者の解釈を先に聞くことができればある程度どの辺で躓いているのかが分かるので、そのゾーンに合わせた答えを返すことができます。
要は、ストライクゾーンをギュッと絞ることができるわけです。
そうすると、質問する側もより自分が抱いていた疑問を解決できそうな答えが返ってくるわけなので、これ非常に嬉しいですねよね。
とはいえ…
いや、何がわからないかすらわからないんだから、自分の解釈なんて伝えられないよ…
と思う方もいるかもしれません。おっけい。そいうときは事実だけを伝えてください。
兎にも角にもあなたが持ってる情報を渡せ
何が分からないか分からないから、解釈を伝えようがない。
という人は、ひとまず何かしらトライしてみてください。
例えば、「もう全然分かんないけどとりあえずAにチャレンジしてみました。案の定失敗しました。」という感じです。
ここで重要なのは「失敗した」という事実があることです。
これでいいんです
この「失敗した」という事実って質問に答える側からすると超有力な情報の一つなんです。
「なるほど、そこ失敗したってことは…」と思考の解像度を上げることができるので。
解釈は伝えられないけれど、「やってみた事実」というのはありのままを話せばいいだけのなので、トライして失敗すれば、「ここまでは試みたけど、上手くいきませんでした」という質問の仕方ができます。
この方が、まだ伝える難易度は下がると思います。
ぜひ、質問するときはこの点を意識してみてください。
質問の仕方まとめ
というわけで、もし今後誰かに質問する機会があった時は、「まずは自分なりの解釈を伝える」それが難しい場合は「自分が持っている情報を渡す」という点を意識してみましょう。
逆に質問をされる側の人たちが意識しておいた方が良いこと。
それは、漠然と抽象度の高い質問を投げられた時、相手がどこで躓いているかを掘り下げてみるという事をしてあげるととても親切かななんて思ったりします。
とにかく重要なのは、両者の意図にミスマッチが起きないこと。
そのためには、質問する側もされる側もできる限りストライクゾーンを絞るようなプロセスを踏めると、より前向きなコミュニケーションになるのではないかと思います。
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