皆さん臨床において、『身体イメージ(ボディイメージ)』というワードを使うことって多くないですか?
特に、脳卒中をはじめとするようは神経疾患系のリハビリテーションに携わっている方であれば、この言葉は結構な頻度で用いるもしくは耳にすることが多いのではないかと思います。
しかし一方で…
この『身体イメージ』って臨床においてどのように評価するか、それをご存知の方ってどれくらいいらっしゃるでしょうか?
おそらく、推論上は「身体イメージが〜」ということはあっても、実際にこれを評価するということを実施している方ってかなり少数ではないかと思います。
そこで、本記事では…
海外の知見を参考に『身体イメージ』の評価方法を理解する
ということを目的に、これまでブラックボックスだった『身体イメージ』の評価の方法や考え方について解説していきたいと思います。
身体イメージの評価方法について解説します
はじめに、今回本記事を書くにあたって参考にさせて頂いたのは、オーストラリアのPTで『痛み』に関する知見を凄まじいほど発表されているMoseley氏の論文です。
僕自身、『痛み』は非常に興味関心の強い分野でして…そのため彼の論文は毎回ワクワクしながら拝見させて頂いています。
今回紹介する知見は、2008年に発表された「I can’t find it! Distorted body image and tactile dysfunction in patients with chronic back pain」というタイトルで、翻訳すると…『慢性腰痛の歪んだ身体イメージと触覚障害』となっています。
身体イメージの障害というと、神経疾患による後遺症の一つとして生じるのが一般的な発想で想像もしやすいですが、実際は今回のタイトルにもなっているように慢性疼痛患者さんのように『痛み』を患う方であっても生じる問題の一つだったりします。
特に、複雑性局所疼痛症候群(CRPS)や幻肢痛のメカニズムにはこの身体イメージが大きく関わってくるため、案外『痛み』と『脳卒中』のリハビリテーションは関連性が強かったりします。
この研究は、「慢性腰痛を持つ患者さんを対象に彼らの身体イメージがどうなっているのか?」と、この仮説を調べるために行われました。
慢性腰痛をもつ患者さんの身体イメージ低下仮説
慢性的な痛みを伴う疾患で最も多いのが腰痛ですが、現在のところ…①慢性腰痛患者さんは患部である腰の知覚機能が低下しているということと、②腰部に対応する大脳皮質表現が健常者とは異なるということが明らかになっています。
そして、CRPS患者様や幻肢痛を持つ患者様では、これらに加えて『身体イメージの低下』というのが同じく重要な因子として存在することも明らかになっています。
だとした場合、先ほどちらっと話した通り仮説として…
「慢性腰痛患者さんも身体イメージに何らかの問題があるんじゃなかろうか?」
というのが挙げられ、それを検証するためにMoseley氏はこの研究を行いました。
対象となった慢性疼痛患者さん
今回本研究で対象となった方について簡単に整理しておきたいと思います。
- 12ヶ月以上腰痛を患っている方のうち脊柱などに構造的な問題がない方
- 『非特異的腰痛』と診断された男女6名
まずは、結論から…
はじめに結論を先に言いますと…
ここまでの展開的にお察しの方もいるかと思いますが、この研究によって慢性腰痛患者さんの腰部の身体イメージは歪んでいる(低下している)ことがわかりました。
ここに関しては、検証を行った結果得られたファクトなので「そうなんだ!」でOKです。
僕がこの記事を読んで持ち帰って頂きたいものは『どうやってそれを判断したのか?』という部分ですので、以降は「果たして身体イメージの障害をどのように評価したのか?」ということに対する2つの方法論的な話しをしていきます。
身体イメージの評価方法
ここから先は、僕が関わらせていただいているオンラインサロン『はじまりのまち』で解説しています。
ご興味ありましたら、ぜひご参加お待ちしております!
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