【慢性疼痛リハビリ】運動恐怖と自己効力感どっちがより重要?

慢性疼痛に対するリハビリを進めていく際に、近年頻繁に出てくるキーワード。

それが、『運動恐怖』『自己効力感』です。

この2つのファクトと痛みの関連性については世界中で多数報告されていることから、今後慢性疼痛のリハビリテーションを進めていく上でこれらは考慮すべき重要なポイントになりそうです。

とはいえ、ここで一つの疑問が生まれます。

それが、2つのファクトのうち「果たしてどちらがより慢性疼痛に関連しているのだろうか?」ということです。

きんたろーのInstagramより引用

そこで本記事では、海外で実際に行われた知見を参考にこの問いに対する答えをお伝えしたいと思います。

この記事でわかること

・急性期と慢性期において腰痛と運動恐怖感&自己効力感の関連性がわかる。
・慢性疼痛に対する運動恐怖と自己効力感、どちらがより重要な因子なのかがわかる。

 

【慢性疼痛リハビリ】運動恐怖と自己効力感どっちがより重要?

きんたろーのInstagramより引用

運動恐怖と自己効力感に関する研究の概要

はじめに、今回参考にさせていただいたのはこちらの論文です。

Self-efficacy is more important than fear of movement in mediating the relationship between pain and disability in chronic low back pain.Costa Lda C,2011

まず、この研究において明らかにしたい論点は大きく2つです。

明らかにしたいこと①

明らかにしたいことの一つ目、それは腰痛が発生した時の痛みの強さとパフォーマンスに、『運動恐怖感』と『自己効力感』がどの程度関与しているのかということです。

つまり、急性期の痛みの強さとパフォーマンス低下に情動的な要素(運動恐怖&自己効力感)がどれくらい反映されているのかを確認するわけですね。

明らかにしたいこと②

明らかにしたいことの二つ目は、上記で生じた腰痛発症から12ヶ月後の痛みの強さとパフォーマンスに『運動恐怖感』と『自己効力感』がどれだけ関与しているのかということです。

つまり、これは先ほどと対称的に慢性期の痛みの強さとパフォーマンス低下に情動的要素がどれくらい反映されているかを見ていくわけです。

きんたろーのInstagramより引用

結果① 急性期の腰痛と運動恐怖&自己効力感の関係

明らかにしたいこと①の部分ですが、結論から言うと腰痛発症初期においては痛みの強さ&パフォーマンスと運動恐怖感&自己効力感は部分的に関係があるのみで、強い相関はありませんでした。

つまり、急性期の痛みに関しては情動的な部分というより身体機能や構造に何らか問題が存在している可能性が高いと言えるかもしれません。

きんたろーのInstagramより引用

結果② 慢性期の腰痛と運動恐怖&自己効力感の関係

次は、明らかにしたいこと2つ目の部分の話しです。

腰痛が発生して12ヶ月経過しても痛みが治らない患者様を対象に、『運動恐怖感』と『自己効力感』の関連性を調べてみると…

『痛みの強さ』と『運動パフォーマンス』という2つのファクトと『運動恐怖感』&『自己効力感』の両者に強い相関が見られたのです。

つまり、慢性期においての腰痛は情動や心理的な要素というのが痛みを拗らせている可能性が強いということが以上の結果から明らかになりました。

ただ、ここまでというのはこれまでも数々の研究で明らかにされており、要は“痛みには『情動・認知的側面』がある”という、そんな話しです。

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では、ここからがこの記事の本題です。

「慢性期においては、運動恐怖感と自己効力感が強く影響している。」というのがここまでの結果で明らかになりましたが、この記事をご覧になって下さっている皆さんが知りたいのは…

「運動恐怖感と自己効力感はどちらがより慢性疼痛に影響を出しているのか?」ということだったはずです。

事項からは、この点について解説していきます。

運動恐怖<自己効力感

結論から言うと…

慢性疼痛を拗らせる因子としては、運動恐怖感よりも自己効力感の方が要素としては強いと言うことがこの研究によって明らかになりました。

繰り返しですが、大前提として…

慢性疼痛を拗らせる因子としてこの2つ(運動恐怖感&自己効力感)がとても重要な要素であるというのはマストです。なので、今後慢性疼痛のリハビリテーションに携わっていく際にはこの両者をきちんと追う姿勢というのは持っておいた方が良いかと思います。

ただ、どちらが“より”重要な因子として影響を与えるかという問いに答えるとするならば『運動恐怖感を持つ患者様よりも、自己効力感が低下している患者様になりそうだ。』ということになります。

というのも、本研究において腰痛発症から12ヶ月後の状態を追った際に、運動恐怖感については『痛みの強さ』&『パフォーマンス』と関連はあったものの、自己効力感のそれに比べると低いことが分かったからです。

 

きんたろーのInstagramより引用

まとめ

それでは最後に、ここまで述べてきた内容の振り返りと今後のリハビリテーションを進めていく上でのポイントをまとめていきたいと思います。

急性期の痛みの強さ&運動パフォーマンスの程度と『運動恐怖感』&『自己効力感』に関連性は低い

慢性期の痛みの強さ&運動パフォーマンスの程度と『運動恐怖感』&『自己効力感』に関連性は強い

慢性期の痛みの強さ&運動パフォーマンスの程度により関連性が強い因子は『自己効力感』である

慢性疼痛の患者様のリハビリテーションを行っていく際は『自己効力感が低下してないだろうか?」という点の観察&評価が必要である

運動恐怖感の評価ツールは『Tampa Scale for Kinesiophobia(TSK)』がある

自己効力感の評価ツールは『Pain self-efficacy Questionnaire(PSEQ)』がある

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きんたろー こんにちわ!理学療法士のきんたろーです! 前回、痛みのリハビリテーションにおける『身体活動』に絞った評価をご紹介しました。

 

さて、本日の内容は以上となりますがいかがでしたでしょうか?

この記事が皆さんの明日の臨床の一助になれば幸いです。

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