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歩行の神経機構を詳しく解説②~歩行誘発野~

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きんたろー

こんにちわ!理学療法士のきんたろー(@kintaroblog)です!

前回は歩行の神経機構①ということで、歩行を行う上で基本的な運動制御について解説しました。今日は、引き続き私たちヒトが歩行という動作を円滑に行うための神経機構をさらに深く掘り下げていこうと思います。

歩行の神経機構を詳しく解説②~歩行誘発野~

歩行のリズム生成機構

歩行を行う上で大切なのは下肢を交互に動かす「リズム運動」ですが、このリズム運動を司っている神経回路網は一体どこにあるのかというと・・・

脳幹と脊髄(頸髄と腰髄)と言われています。

脳幹の歩行誘発野

リズム運動を司る中枢として脳幹と脊髄を挙げましたが、脳幹(中脳・橋・延髄)の中でも一体どこなのか。それは…(╭☞´・ᴗ・`)╭☞

中脳と橋の移行部にある「中脳歩行誘発野(midbrain locomotor region:MLR)」と言われる部位です。

これは除脳ネコの実験で発見されており、除脳ネコのMLRに電気刺激を行うと、抗重力筋の発火に続いて、歩行運動が誘発されたという結果に由来しています。

そして、このMLRからの信号は前回話しました網様体脊髄路を介して、脊髄の歩行パターン生成器である「central pattern generator:CPG」を駆動します。

脊髄の歩行誘発野

脊髄の歩行誘発野と言えばおなじみの「central pattern generator:CPG」ですが、これも除脳ネコによる実験で検証されたものに由来していますが、このCPGにはどういった機能があるかというと、屈筋と伸筋を相互的に収縮させる役割を持っています。

そのため、歩行の際一方の下肢が伸展すると、一方の下肢は屈曲するといった交互運動が生じるのです。さて、このCPGですが、実は脊髄の中でも頸髄と腰髄に存在すると言われています。

なぜ頸髄と腰髄なの??

胸髄にはないの?

と思われる方もいると思いますのでご説明します。

なぜCPGは頸髄と腰髄なのか

その理由は、進化論にさかのぼるのですが、私達ヒトの祖先はかつてサルでありその歩行様式は四足歩行を行っていました。

その際は、前脚と後脚をリズムよく駆動しながら歩いており、そのリズム生成器は前脚は頸髄後脚は腰髄に存在しており、それぞれ駆動パターンを生成していました。しかし、サルからヒトへ私達は進化しその結果、四足から二足歩行へと変化を遂げました。

その四足歩行の名残として私たちヒトは上肢(前脚)を司る頸髄下肢(後脚)を司る腰髄にCPGが存在していると言われています。

では、このCPGの駆動は一体どのようにして生じるのか。次はここをみて行きましょう。

MLR・CPGの駆動原理

MLRやCPGと言われる歩行誘発野は一体どのようにして駆動するのかといいますと、それが以下の2つです。

①筋骨格系からの体性感覚Feedback

②上位中枢からの下行性入力

この2つがMLRやCPGを駆動させる要因と言われています。

筋骨格系からの体性感覚Feedbackとは?

一般的に、CPGを駆動するための筋骨格系からの体性感覚Feedbackとは・・・

●股関節伸展

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●荷重感覚

●上肢のbackswing

この3つが重要とされています。これら3つのFeedbackがCPGを駆動し下肢の相互的な運動を行っていると考えられています。

ここで疑問(余談です)

片麻痺患者様の歩行を再建していく場合によく「CPGを駆動させる目的でリズムよく歩かせる」といったことを聞くことがあり、後方からセラピストが介助し、確かに現象をみればリズムよく歩いているように見えるのですが、その下肢を見てみると…

「麻痺側の股関節伸展が生じていない」

なんてことってありませんか?
この時、常に股関節は屈曲固定されており、まるで股関節伸展なんて出ていません。

果たして本当にこれでCPGが駆動するのでしょうか?と少し疑問に感じています。

また、歩行を開始する場合よく麻痺側下肢から振り出している光景も見かけますが、これもどうでしょうか?

麻痺側下肢から振り出すということは、本来受動的に行われる股関節屈曲を随意的に行っているのですから、より股関節伸展を行いづらくしてしまうのではないかな?と感じます。

このように考えると、片麻痺患者様が本当にCPGを駆動しながら歩いているかというのはとても数多くの疑問を残すと言えるのではないでしょうか。

上位中枢からの下行性入力

MLR,CPGを駆動するための要素の2つ目が「上位中枢からの下行性入力」ですが、これは一体何でしょうか。

本来、MLRやCPGは決して勝手に駆動しているわけではありません。

基本的には先ほど述べた体性感覚Feedbackと上位中枢からの制御が同時に行われているわけですが、この上位中枢からの指令というのがMLRの時に少し触れました腹内側系に含まれる「網様体脊髄路」と言われています。

 

この網様体脊髄路の起始点は、大脳皮質の第6野:補足運動野』でしたね。

ということは、MLRなどの歩行誘発野を駆動するにも多少なりの大脳皮質の関与はあるということです。

ただ・・・・・

Qなぜ、除脳ネコは大脳皮質から切断されてるのに歩行ができたんでしょ??

と言う疑問が生まれますが・・・あの実験のポイントとしては

除脳ネコでの実験はハーネスで身体を吊った状態でなければ駆動出来ないという事実があります。

これが何を意味しているか分かりますか??

つまり、姿勢制御が行えないのです。

姿勢制御が行えないため、吊った状態でなければ身体を保持できず倒れてしまいます。

姿勢制御と言えば…?

そうです。繰り返すようですが、「腹内側系」です。

ですので、私達が重力に抗して歩くといった下肢の駆動を実現させるためにはやはり、上位中枢と下位からの感覚フィードバックが両立しなければならないのです。

むしろ、CPGの駆動に関していえばヒトにおいては上位中枢からの下行性制御の方が依存性が高いと言った報告もあるので、以前は歩行といえば『CPG』みたいな風潮が強かったですが、今後歩行機能の再建を考える上では両者の知識を統括して考えて行く必要がありそうですね(^^)

以上が、本日お伝えしたかった歩行の神経機構になります。

皆様の臨床のヒントになってくれたら嬉しいです。

最後に

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