【論理的思考力の落とし穴】論理的思考力が最強だと考えている人に知ってほしい3つのこと

論理的思考力

さて、僕は普段からこのブログで「療法士に必須なスキルの一つって論理的思考力だよね」とか「臨床推論はできる限り論理的に抑える必要があるよね」と言い続けていますが、これには理由がありまして…

それは、まず論理的に自分の臨床を説明できるということは、普段曖昧な状態で理解した“つもり”になっている思考を言語化できるようになります。

これはどういう状態かというと、自分自身の思考の解像度が上がり自信を持って推論が行えた(考え尽くした)状態と言えるのではないかと僕は思っています。

そのためにも、「臨床推論は論理的に行いましょう」というのが僕の臨床観なんですが、今回は一方でその負の側面と言いますか…

『論理的に考える』ことのデメリットについて少し触れてみたいと思います。

周囲から「あの人論理的だよね」と言われる人ほどここは注意していた方が良いかなという落とし穴があるので、心当たりのある方はぜひ最後までご覧ください。

目次

【論理的思考力の落とし穴】論理的思考力が最強だと考えている人に知ってほしい3つのこと

①論理バカになっている

これは、臨床推論というよりも他者とのコミュニケーションを行う際によく陥りがちなことなんですが、普段から論理的に物事を捉える人の中には一定数この『論理バカ』な人がいたりします。

『論理バカ』とは、自分の考えが論理的に正しければ相手も納得してくれるはずだ。と、まさに「論理的思考力しか勝たん」というそんな状態になっていることです。

しかし、少なからずご経験があると思うのでお分かりかもしれませんが…

「論理だけ、正しさだけで人の心は動きません。」

これはもう避けては通れない事実です。

人の行動を変える、もしくは好印象を持ってもらえるようにするには「正しいことをそのまま伝えてもダメ」です。

なぜならば、人には誰しも感情があり、感覚で物事を決めることが往々にしてあるからです。

「直感で決めました!」とかっていうのは、はまさにその典型例だったりします。要は、決めた理由を言葉で説明できないんですね。

論理的思考力というのは、ある種その意思決定の理由を言葉で説明できるようになるスキルなんですが、多くの人は直感をはじめ全てのことを言語化できるわけではないです。

つまり、意思決定の全てを論理的に行っているわけではないのです。

論理的には誤っているかもしれないけれど、逆張りの方を意思決定する場面だってこの世の中ごまんとあります。

特に、相手が不機嫌な状態だったり、ネガティブな感情を抱いているときに論理でマウントを取りに行くのはもう最悪です。

「あなたの言いたいことはわかるけど、あなたの方が間違っていると思うよ。なぜならば①〜〜〜、②〜〜〜、③〜〜〜。…」 というふうに畳み掛けられたらムカつきませんか?

言っていることは正しいのかもしれませんが、相手がネガティブな感情になっているときに論理で攻略するのはもう地雷を踏みに行っているようなもんです。

こういう場合はきちんと相手の感情も配慮しつつコミュニケーションを取ることが重要です。(当たり前と言えば当たり前ですが)

②論理的に説明できない事象は全拒否

もう一つ、論理的に考えることが得意な人が踏みやすい地雷。

これは、論理的思考力に傾倒しまくっている人によくありがちな話でして結論、「論理的に説明できないことには手を出さない」というやつです。

例えばなんらか新しいことを始めようと思った時に、それがヒットする理由を論理的に説明できないと一歩踏み出せない。みたいなそんな状態です。

つまり、右脳を使ったクリエイティブな発想だけでは自分の背中を押す材料にならないんですね。

「いや、根拠がないからできないよ…」と、こんな感じ。

ただ、ちょっと考えて頂きたいんですが世の中のあらゆる出来事なんて最初から戦略通りに「こうなって、こうなるから、こんな感じで成功する」というようにスイスイ進むことなんて正直むしろ稀です。

もちろん、なんらかの確証を持って戦略を組み立てると言う準備は大事なんですが、最後に背中を押すのは不確定要素はまだあるものの「自分を信じれるか」とか「仲間を信じれるか」などそういう感情だったり感覚的な部分になってきます。

意思決定をするときに、常に明確な根拠がなければスタートが切れない状態だとどうしてもスピード感が落ちるので、ここはやはり“バランス”が重要だと思っています。

ちょっとビジネス系に話しが寄りましたが、これは療法士が臨床推論を行っていくときにも同じことが言えます。

実際の臨床というのは、全ての事象を定量的に評価できることって中々ないのですが、論理的に推論を詰めていくとどうしても定量的なデータを求めたくなります。

もちろん、病態をできる限り定量化する姿勢は大切なんですが、その一方で私たちが対象としているのは『人』なので、数値化できない部分(感情の変化や価値観など)も沢山あります。

そして、実はそこにブレイクスルーするためのヒントが隠れていたりする場面も多々あったりするので、やはりここもバランスが大事ではないかと僕は考えています。

無数に選択肢がある中で、「これだ!」と意思決定してしまうのはギャンブルですが、数ある選択肢や可能性を検証するためには論理的に考える必要があって、一方で最後の最後「これとこれ、どちらも良さそうだけど決め手に欠ける…」みたいな状況の時には、患者様とコミュニケーションをとっていく中で、「この人にはこちらの方法が合ってるかも」というように論理的には説明できないところで意思決定していくのも臨床ではとても大事なことであると思います。

③ありきたりなアウトプットしか出ない

これは②の『論理的に説明できない事象は全拒否』に近いですが、論理的思考力に意思決定の全てを委ねると「論理的に説明できないものはダメだ」となってしまうことがあり、そうすると出てくるアウトプットが全て「その人の頭の中でしか想像されないもの」に限られてしまう可能性があります。

ビジネスの場でも、臨床においても常に世界中で知見はアップデートされていて答えの質というのも上がってきています。

ということは、仮に何らかのソリューションがあったとして、それは現時点において論理的に説明できないことであっても、近い将来患者様に大いに役立つことだって起きる可能性があるわけです。

答えとなるものが全て自分自身の頭の中で組み立てられるものに限定してしまうと、大きなブレイクスルーポイントを見逃す可能性があったり、ありきたりな答えしか出せないというケースがあったりします。

よって、論理的に考えることは大事だがその一方で「いま自分が考えている思考の外側に、まだ見えていない景色はないか?」という自分自身の思考の外側に思いを馳せてみるというのもすごく重要なことかもしれません。

論理的思考力の落とし穴まとめ

というわけで、今回は『論理的思考力の落とし穴』というテーマで、普段論理的思考力は大事と言いつつも「こういう負の側面もあるから気をつけてね」という話しをしました。

このあたりは、臨床のみではなく人間関係を構築していく場面でよく起こりやすい問題なので、もし自分が「論破しちゃう癖がありそう…」と感じる方がいれば今回紹介した3つを意識していた方がいいかもしれないです。

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