今回は、痛みを伴う患者様のリハビリテーションを進めていく上で欠かせない痛みの種類の判別についてお話しします。
ここを誤ると、リハビリテーションがうまくいかないどころか、時にはセラピストが重篤なケースを見落としてしまう可能性もあるところなので、しっかり抑えていきましょう。
痛みの種類を鑑別する4つのフラッグ
患者様が訴える痛みの中には、療法士が対応出来るものもある一方で、療法士では対応できないオペ適応となるような痛みまで存在しており、一口に痛みと言ってもその原因は多岐にわたります。
実は、これら痛みの原因というのはガイドラインなどによって大きく4つに区分けされており、それぞれ以下のように色別のフラッグで示されています。
- レッドフラッグ
- イエローフラッグ
- ブルーフラッグ
- ブラックフラッグ
では、次にこれらフラッグの内容に関する詳細をお話ししていこうと思います。
レッドフラッグ
レッドフラッグは、重篤な疾患を示唆する症状や徴候のことを指しており(生物医学的因子)、もし介入中にこのレッドフラッグに引っ掛かるような症状がみられた場合は、早急に医師の判断を仰がなければなりません。
ここでは腰痛に関するものでレッドフラッグに指定されているものを以下に示します。
- 悪性腫瘍(癌など)
- 椎体骨折
- 炎症性疾患(強直性脊椎炎など)
- 膀胱直腸障害
- 重度の脊椎辷り症または分離症
- 馬尾神経損傷
イエローフラッグ
イエローフラッグは心理的因子が大きく関わるものになります。
例えば、病状に対する不安が強かったり、発生している痛みに対して固執傾向であった場合などで、これらの検査については主に以下のようなツールを用いて評価する場合が多いです。
後述しますが、基本的にイエローフラッグを含む、ブルーやブラックフラッグというのは痛みの原因が身体組織以外の部分を指しており、精神心理的側面や社会的側面といった因子を含むので、この3つのフラッグは基本的に混在している場合が多いです。
そして、このような側面が強い患者様に対しては、従来の運動療法に加えて精神-心理的介な介入が必要になってきます。
なぜ、イエローフラッグの因子が強い場合に精神-心理的介入が必要になってくるのか
これについてはこちらに詳細を載せているのでご覧ください。
ブルーフラッグ
先ほど述べた通り、ブルーフラッグは若干イエローフラッグと被る部分もあります。
特徴としては、ブルーフラッグは社会・経済的因子が強く関係しており、例えば金銭的な問題などが痛みの増悪に関与したりしています。
あとは、家族関係(社会的因子)もここに含まれるため、痛みを訴える患者様の問診を行う際には、単に身体機能面の聴取をするだけでなく、こういったバックグラウンドも理解する必要があります。
※ただ、このようなプライバシーにかかわる部分は十分に信頼関係を築いてから聴取しましょう。
ブラックフラッグ
ブラッグフラッグは、主に職業的因子との関連が強く、労働環境や仕事上の地位に対する不満、そもそもの仕事内容に対する満足感の欠落といったバックグラウンドによって痛みが慢性化する場合があります。
4つのフラッグまとめ
- 痛みの原因は大きく4つ(レッドフラッグ・イエローフラッグ・ブルーフラッグ・ブラックフラッグ)存在する。
- レッドフラッグは、重篤疾患である可能性が高いので早急に医師の診察を受ける必要がある。(リハの適応外)
- イエローフラッグ・ブルーフラッグ・ブラックフラッグは精神-心理、社会的(職業的)な背景が大きく関係しているので、問診などを通して把握し治療展開していく必要がある。
痛みに関するオススメ書籍
最後に、痛みに関して勉強したいとき間違いなく読んでおいた方がいい書籍を2冊ご紹介しておきます。
ぜひ、この機会に手に取ってみてください。
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