痛みに対する物理療法の生理学的作用とその効果5選

paciente

理学療法士や作業療法士、柔道整復師や鍼灸師の皆さんであれば、痛みのリハビリテーションないしは施術を行なっていく際『物理療法』を用いることがあると思います。

そこで、この記事では痛みの臨床でよく用いられる5つの物理療法の『生理学的作用』『効果』について一覧でまとめています。

ぜひ、最後までご覧いただき日々実施している物理療法の特徴を抑えていきましょう!

ちなみに、今回解説するにあたっては以下の書籍を参考にしています。

痛みのリハビリテーションに関して非常に分かりやすくまとめられているので、ぜひこの機会に手に取ってみてください。

目次

痛みに対する物理療法の生理学的作用とその効果5選

①寒冷療法

寒冷療法の生理学的作用

  • 神経伝導性の低下
  • 感覚受容器の閾値上昇
  • 血管収縮
  • 血管透過性の低下
  • 代謝抑制
  • 筋紡錘の活動性低下

寒冷療法の全体的な生理学的作用を一言で表すなら「機能を抑える」というイメージ。血管透過性や筋活動、代謝をあえて抑えることによって発生している炎症を抑えることができる。

寒冷療法で期待できる効果

  • 痛みの軽減
  • 炎症の軽減
  • 腫脹の軽減
  • 筋スパズムの軽減

②電気刺激療法

電気刺激療法の生理学的作用

  • 下降性疼痛抑制系の賦活化
  • 筋ポンプ作用の促進
  • 線維芽細胞の活性化・増殖促進
  • コラーゲン合成促進

電気刺激療法で期待できる効果

  • 痛みの軽減
  • 循環の改善
  • 創傷治癒の促進

③レーザー療法

レーザー療法の生理学的作用

  • 血管拡張
  • 血流増加
  • 血管新生
  • 炎症性サイトカインの産生抑制
  • 上皮化促進
  • 線維芽細胞の活性化・増殖促進
  • コラーゲン合成促進
炎症性サイトカインとは

炎症性サイトカインとは、炎症誘発物質の一つで組織における炎症を加速させる。

インターロイキン(IL)腫瘍壊死因子(TNF)などがある。

炎症性サイトカインは痛みの身体活動量とすごく関係の深い物質でして、特に慢性疼痛の理学療法や作業療法を進めていく際にとても重要になるので抑えておきましょう。

レーザー療法で期待できる効果

  • 炎症の軽減
  • 循環の改善
  • 痛みの軽減
  • 創傷治癒の促進

④超音波療法

超音波療法の生理学的作用

  • 炎症細胞の浸潤抑制
  • 炎症性サイトカインの産生抑制
  • 線維芽細胞の活性化・増殖促進
  • コラーゲン合成促進
  • キャビテーション効果

超音波に特徴的なキャビテーション(空洞現象)とは,液体や溶液中に周期的な高圧と低圧の密度勾配が生じた場合、負の圧力が液体を維持するのに必要な力に打ち勝ったときに空洞(cavity)を生じることを示す。

超音波の生物作用と治療応用-遺伝子応答に基づく知見-.近藤ら,2017

超音波療法で期待できる効果

  • 細胞膜の透過性亢進
  • 循環の改善
  • 痛みの軽減
  • 創傷治癒の促進

⑤温熱療法

温熱療法の生理学的作用

  • 血管拡張
  • 血流増加
  • 血管新生
  • 代謝促進
  • リラクゼーション

温熱療法で期待できる効果

  • 痛みの軽減
  • 循環の改善
  • 創傷治癒の促進
  • 筋スパズムの軽減

参考文献

1)ペインリハビリテーション入門.沖田実,松原貴子.2019

2)超音波の生物作用と治療応用-遺伝子応答に基づく知見-.近藤ら,2017

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次