こんにちわ!きんたろーブログ(@kintaroblog)です!(^^)!
さて以前まで歩行の神経機構ということで、歩行誘発野である「MLR」や「CPG」の説明を行っていきました。
☆合わせて読みたい☆
これまでの歩行の考え方は基本的にこのような歩行生成機構を賦活させようとする傾向が強く、そのため大脳皮質などによる高次脳的側面は歩行にあまり関与しないのではないかといったような印象でした。
そのためか、歩行自体を意識化させてしまうと大脳皮質が関与してくるため、歩行訓練の中ではあまり「歩行を意識させない」といった手続きを踏んでいる場面が多いように感じます。
その背景としては、先ほど述べたように
歩行自体は、大脳皮質以下のMLRやCPGなどの誘発野が存在しており本来意識の外で行う運動だからである。
といったことや、昔の研究では動物の大脳皮質運動野や錐体路の破壊実験において、仮にそれらを破壊しても歩行動作にはあまり影響を受けない。
といったような知見が存在しているからです。
ですので、それらの結果として現在に至るまで私達の世界ではより無意識下の中で歩行を行いCPGなどを賦活していくことが望ましいのではないかとされています。
よって、歩行は意識させるべきか否かという問題については、おそらく「意識させない」といった方が多数を占めるのではないかと思います。
ちなみに僕の個人的な意見としても、後者の「意識させない」といった方の考え方を支持しています。
その理由としては、やはり「歩く」ことに対して意識をずっと向けていたら、歩くだけで患者様の精神的負荷が大きくなるからです。
本来、「歩行」というのは手段であって目的ではありません。
移動手段というのは、目的に対する過程なのでここばかりに意識を向けてしまうと歩くだけでデュアルタスクにもトリプルタスクにもなってしまいます。
なので、歩行を行う上では最終的には「無意識」というのが良いと僕は考えています。
しかし・・・
それはあくまで最終的なところであって、歩行を再構築していくためには少なからず意識は必要なのかな?と考えています。
それはよく論文などで言われますが、「歩行機能が向上した」といったように言葉だけを聞けば歩ける様になったのだろうと思えますが、その際に用いられるスケールとしては、10m歩行やFACなどです。
これらのスケールではもちろん点数が向上すれば一見歩行機能が向上した様に見えますが、その質的側面というのは案外触れられていません。
要は分回しで歩いていようが、共同運動パターンを顕著に出現させていようが歩けていればそれは「歩行機能の向上」と言えるからです。
患者様が全く立てない状態から歩行というタスクに急に変化すると、直立二足での立位だけでもかなり高い難易度であるのに、それに続いて歩行となると、その基底面の中で重心移動を行わなければならなくなります。
そうなると、筋の剛性を増強させ支持性を高めるしかないため、共同運動パターンは増強されていくのは必然で、要は歩行を行うまでの難易度が高すぎるのではないかと感じるのです。
運動学習の手続きも最初は必ず意識しながら行われ、その後だんだんと無意識下に落とし込んでいくものです。
この流れは不変であるため、やはり歩行を獲得する際でも、そもそもの下肢のセグメントの動きを患者様が体性感覚レベルで知覚し自分の意図と帰結するフィードバックに不一致が起きないような手続きを踏んでいくことが大切なのかなと思います。
急にただ歩かされるのでは、患者様はこういった照合作業を行う手続きがなされずとにかく必死に自分の数少ないモダリティを利用して自己の身体を組織化していきます。
ただ、これだときっと歩けるようにはなると思うんです。
今の障害を受けた身体で新たに自己組織化していきますから、この身体での姿勢制御などを獲得できると思います。
しかし、一方でバリエーションに富んだ動きというのは果たしてどうでしょうか。
ですから今回のまとめとしては
「意識下から無意識下へ。」
というのが僕の考えている歩行の際意識を利用するか否かの答えになります。
現在では、歩行を行う際に大脳皮質の関与もあることが証明されてきています。
特に補足運動野を含めた運動関連領域というのが特に活動しているようです。
そのため、現在の取り組みとしては、どのような課題や訓練でこの運動関連領域が賦活するかを考えながら日々臨床に励んでいます。
脳活動なんて決して目には見えないところですので、日々論文を読み漁りながら試行錯誤しています。
片麻痺患者の歩行の再建
脳卒中に関わるなら誰しもが、悩み挑戦する分野であると思います。
もっと良い訓練が提供できると信じ何か良い案がありましたら是非アドバイスいただけたら幸いです。
また、今回この記事を見て「それは違うだろ」と思われる方もきっといらっしゃると思います。
しかし、これがすごく大事なことだと僕は思っていて、やはり沢山議論した方が良いと思うんです。
沢山意見を戦わせてより知識を洗練させていく。
これが患者様にもっと良い理学療法を提供できる一つの武器になっていくと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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