日々、リハビリテーションに携わるみなさんであれば、『論文を読む』という行為は日常茶飯事ではないかと思います。
しかし、このように日頃から沢山の論文を読んでいると恐らく多くの方に共通する悩みとして…
一度読んだ論文って日が経つと忘れちゃってもう一度見たい時に見返せない…
読んだ論文どこに保管したっけ…
というような悩みをご経験したことはないでしょうか?(特に、症例発表とかで参考文献を探すときなど)
そこで本記事では、理学療法士として毎年500本以上の論文を読んでいる僕きんたろーが実践している『一度読んだ論文の保管方法』について解説したいと思います。
この記事を読めば、一度読んだ論文を決して忘れることなく、そして読み返したい時に簡単に読み返せる状態を作れると思います。
日頃から論文を沢山読んでいるセラピストのみなさん。ぜひ、最後まで読んで日々の知識のインプットにお役立てください。
それでは、はじめます。
これから論文を読もうと思っている方はこちら
【論文の保管方法】一度読んだ論文を忘れないように保存する方法
論文の保管はエクセルで!
僕が論文を保管する際に用いているのは、『Numbers』というMacBookに搭載されているアプリケーションです。
仕様自体は、マイクロソフトの『Excel』とほぼ同じなので、Excelに使い慣れている人はこれで全然OKです。
それでは、論文の保管方法について手順を追って説明していきます。
論文の保管方法の手順とその詳細
この写真は、実際に僕がNumbersに論文を保管している画面になります。
保管のポイントは、自分なりのアブストラクトを作ることです。
アブストラクトとは『要約』のことで、「その論文のポイントをまとめると大切なのってここだよね」というのを短文で記載していくことです。
こうすることで、全文覚えていなくても保管フォルダを見返せば、「あ、確かにこんな論文あったな。」というのをサッと思い返すことが可能となります。
全ての論文を一言一句覚えておくのは到底無理です。しかし、ポイントを抑えることができれば汎用は可能なので自分自身にとって大事な点を見出しにしてまとめていきましょう。
また、要約する時の『見出し』に関しては人それぞれアレンジしてもらって良いと思いますが、一旦僕が用いている見出しをご紹介しておきます。
- 論文タイトル
- タグ
- どんな問題を解決するための論文か?
- 研究を行うにあたっての仮説は何か?
- 研究の対象者は?
- 研究のポイントはどこか?
- 臨床的解釈は?
- サイトURL
ちょっとだけ、上記で列挙している見出しの詳細をご説明していきます。
タグの必要性について
論文のタイトルをつける必要性は云わずもがなと思いますが、僕はその横に必ず『タグ』項目を設けています。
理由としては、読んだ論文がどんどん溜まっていくと「このテーマについての論文を読み返したい」と思ったときに、見つけるのが容易になるからです。
例えば、『脳卒中』というテーマのフォルダで論文を保管していっても、その中身は色々あると思います。
例えば、『バランス訓練』についてだったり、『運動制御』だったり、『脳活動』だったり…
そういう時に、これをタグなしごちゃ混ぜで保管してしまうと、その中からピンポイントで読みたいものにパッと出会うことができません。
こういった事態を防ぐために、有効なのが『タグ付け』です。
論文タイトルの横に『#立位バランス』などと付けておくと、詳細を見ずとも「あ、この論文は立位バランスについて書かれた論文だな」というのが瞬時にわかります。
このタグは複数あってもOKです。大切なことは、付いているタグをみるだけで「何について書かれた論文なのか」が分かれば良いのです。
対象者は絶対に必要
見出しは、人それぞれ好みに合わせて変えて良いと先ほど言いましたが、このうちいくつかは絶対に外せないものがあります。
その一つがこの『対象者』についてです。見出しの中には必ず対象者の項目を作ってください。
理由としては、その研究結果を誤って引用してしまうのを防ぐためです。
仮に、見出しの中に『結果』や『考察』の部分しかないとどうなるかというと…
極端な例ではありますがちょっと説明すると、仮にあなたが臨床で脳卒中の患者さんを担当しているとします。
そして、実際の臨床で得られた結果を考察するとき根拠の補填として論文を用いることがありますが、この時『対象者』なしに結果のみを引用してしまうと、それは根拠の補填として成り立たない場合があります。
なぜならば、用いている論文と実際の臨床における対象者が異なるからです。
加えて、対象者が分からなければ「そもそも自分が担当する患者さんにこの方法って適応するんだっけ?」というのも比較することができません。
よって、見出しには必ず対象者を記載するようにしましょう!
臨床的解釈とは、論文と臨床を紐づけること!
僕は、見出しの中に必ず『臨床的解釈』という項目を設けていますが、その理由は…
知識を知識のまま終わらせないようにするためです。
僕たちが日々論文を読み知識を入手する理由は、それら知見を患者様に還元するためです。
だからこそ、論文を読んで得た知識というのは「なるほど」で終わらせずに、「実際の臨床でどのように活きるのか?」というところまで昇華させておく必要があります。
知識と臨床の紐付け
簡単ではありませんが頑張ってトライしてみましょう!
サイトURLがあると原著を見返す時に便利!
また、「あると便利だよ!」という項目について一点だけお伝えすると…
僕は、見出しのラストには必ず『サイトURL』を付けています。
というのも、Excelの論文保管フォルダにまとめてあるのはあくまでも要約なので、仮にもう一度全文を読みたくなった時には、ここから論文サイトに飛ぶことができます。
こうすることで、「あの論文どこいったっけ…」という、論文読むときあるあるを解決することができるかと思います。
\おまけ/読みたい論文を調べる方法
それでは、最後にこれまでの話しとは少し視点を変えたお話しをして終わりたいと思います。
皆さんもご経験があるかもしれませんが、いざ論文を読み始めようと思っても「読みたい論文の調べ方が分からない…」という壁にぶつかったことってないですか?
実は、この問題を解決するためには『論文の検索方法』を知らないといけません。
『論文の検索方法』と聞くと「どうせ難しいんでしょ…?」と思われるかもしれません。
が、安心してください。論文の検索方法はポイントを押さえるだけで、 遠回りをせずきちんと欲しい論文にたどり着くことができるようになります。
この論文検索のポイントの一つに『検索式』というのがあります。
『検索式』とは、pubmedやGoogle scalarといった論文検索サイトにて論文を調べるとき検索窓にキーワードを打ち込むと思うのですが、この時の「キーワードを打ち込み方」が検索式になります。
検索式にはいくつか種類があって代表的なものだと『AND検索』、『OR検索』、『NOT検索』などがあります。
大きくはこの3つの検索式を上手に活用することによって、読みたい論文を最初から厳選しチョイスすることが可能になります。
で、この論文検索の詳しいやり方についてはオンラインサロン『はじまりのまち』で解説していますので興味がある方は、ぜひこちらから(↓)ご参加ください。
論文保管の解説まとめ
以上が、現在僕が実践している『一度読んだ論文を忘れないようにする方法』です。
このように、Excelで見出しを作ってまとめれば読んだ論文を忘れないように保管することができます。
また、この保管方法を実践する際にもう一つやって欲しいのが『シート別で分ける』ことです。
例えば『CI療法』や『電気刺激療法』など各種方法論はそれだけでも相当の量があります。
これを『脳卒中』というワードでまとめてしまうと、シート内の論文数が膨大になり過ぎてしまいます。
よって、あるテーマだけでかなりの量ある論文を保管するときはそれを一つのシートに分けて保管することをオススメします。
最後に、論文の読み方という点において僕が超絶おすすめしたい書籍がこちらの本です。
「これから論文を読んでいこう!」と考えている方や、「正しく論文を読めているか不安だ…」と感じている方にとっては、もう最強クラスでおすすめの書籍です。
ご興味ありましたら、この機会にぜひお手にとってみてください。
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