【保存版】痛みがある時に処方されやすい薬剤一覧

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痛みのリハビリテーションを進めていく上で、必ず抑えておきたいこと。

それが、投薬情報です。

そこで、今回は痛みを伴う患者様に対してよく処方される薬を一覧でまとめてみました。

それぞれの薬がどのような作用機序で鎮痛効果を発揮しているのかについても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

【保存版】痛みがある時に処方されやすい薬剤一覧

鎮痛を目的に処方される薬の種類は大きく8つ

痛みを患っている場合に処方される薬は大きく8種類です。

鎮痛を目的に処方されやすい薬剤一覧

  1. 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
  2. ステロイド性抗炎症薬
  3. アセトアミノフェン
  4. 抗てんかん薬
  5. 抗うつ薬
  6. 抗不安薬
  7. オピオイド鎮痛薬
  8. その他

一つずつ解説していきます。

① 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)一覧
  1. 一般名:アスピリン
    商品名:アスピリン
  2. 一般名:ロキソプロフェンナトリウム水和物
    商品名:ロキソニン、オロロックス
  3. 一般名:ジクロフェナクナトリウム
    商品名:ボルタレン、ナポールSR
  4. 一般名:インドメタシン
    商品名:イドメシン、インテバン
  5. 一般名:セレコキシブ
    商品名:セレコックス
  6. 一般名:メロキシカム
    商品名:モービック

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の特徴

「痛み止めといえばロキソニン」と思い浮かべる人が多いほど、鎮痛薬NSAIDs

基本的に鎮痛薬というのは、痛みの伝導路のどこかのプロセスに作用して鎮痛を図ります。

では、「NSAIDs系の薬はいったいどこに作用しているのか?」というと、これは組織損傷後に発生する炎症メディエーター、プロスタグランジンの発生を抑えているのです。

つまり、痛みが発生した部分の元になるところですね。ここに著効するわけです。

よって、NSAIDs系の薬というのは主に侵害受容性疼痛による痛みに対して有効とされています。

実際、本邦の腰痛診療ガイドラインでは、急性及び慢性の腰痛症に対する第一選択としてNSAIDs系鎮痛薬が選ばれるようになっています。

② ステロイド性抗炎症薬

ステロイド性抗炎症薬一覧
  1. 一般名:プレドニゾロン
    商品名:プレドニン、プレドニゾロン、プレドバン
  2. 一般名:デキサメタゾン
    商品名:デカドロン

ステロイド性抗炎症薬の特徴

ステロイド系鎮痛薬の作用機序は、プロスタグランジンが産生される前に作られるアラキドン酸の働きを弱めることで鎮痛効果を図ります。

よって、NSAIDs系鎮痛薬よりもその効果が強いことがステロイド系鎮痛薬の特徴です。

ステロイドは抗炎症作用がNSAIDs系の薬よりも強い分、副作用も強いので使用には注意が必要です。

③ アセトアミノフェン

アセトアミノフェン一覧
  1. 一般名:アセトアミノフェン
    商品名:カロナール、ピリナジン

アセトアミノフェンの特徴

アセトアミノフェン系で最も有名な鎮痛薬といえば『カロナール』ではないかと思います。

アセトアミノフェン系の薬も疼痛に対して非常に有効とされており、腰痛診療ガイドラインにおいても第一選択薬となっています。

アセトアミノフェンの作用機序は、現在まで明らかになっていません。

ただ、末梢部(侵害刺激が発生した場所)というよりは中枢神経系に対して何らか作用していると考えられているようです。

④ 抗てんかん薬

抗てんかん薬一覧
  1. 一般名:ガバペンチン
    商品名:ガバペン
  2. 一般名:バルプロ酸ナトリウム
    商品名:デパケン、セレニカ

抗てんかん薬の特徴

セラピスト

鎮痛薬に抗てんかん薬?

と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそうなんです。

抗てんかん薬は神経障害性疼痛の第一選択薬にもなっているくらい、痛みに対して処方されるケースがあります。

どのような作用機序で鎮痛を図るのか?

という部分ですが、抗てんかん薬には一次侵害受容ニューロンであるAδ線維から分泌される神経伝達物質(グルタミン酸)を抑制させる働きがあり、これにより痛み情報を大脳皮質に投射させないようにしていると考えられています。

⑤ 抗うつ薬

抗うつ薬一覧
  1. 三環系抗うつ薬
    一般名:イミプラミン塩酸塩
    商品名:トラフニール、イミドール
  2. 三環系抗うつ薬
    一般名:アミトリプチリン塩酸塩
    商品名:トリプタノール
  3. SSRI
    一般名:パロキセチン塩酸塩水和物
    商品名:パキシル
  4. SNRI
    一般名:ミルナシプラン塩酸塩
    商品名:トレドミン
  5. SNRI
    一般名:デュロキセチン塩酸塩
    商品名:サインバルタ

抗うつ薬の特徴

意外かもしれませんが、抗うつ薬も痛みの治療薬として用いられるケースがあります。

特に慢性疼痛に対してよく用いられており、ガイドラインにおいても第一選択薬に位置付けられています。

抗うつ薬による鎮痛メカニズムですが、これは一言でいうならば「下降性疼痛抑制系の作用を高める」です。

下降性疼痛抑制系とは

https://www.instagram.com/p/B-pNBo0HTC2/

抗うつ薬には、下降性疼痛抑制系に関わっているセロトニンやノルアドレナリンといった物質の働きを助ける効果があり、その結果としてトップダウン鎮痛メカニズムである下降性疼痛抑制系の機能を高めることができるわけです。

⑥ 抗不安薬

抗不安薬一覧
  1. 一般名:ジアゼパム
    商品名:セルシン、ダイアップ

抗不安薬の特徴

まず、抗不安薬自体に鎮痛効果というのはほとんどありません。

ただし、以下の記事で解説している通り痛みには3つの側面(感覚・情動・認知)があり、中でも不安や抑うつなどをはじめとする情動的側面は痛みそのものを拗らせてしまうことが多いです。

そんな中、抗不安薬は痛みの情動的側面に関わる脳領域である前帯状回や島皮質に作用することが分かっており、その結果として不安が抑制され痛みが緩和する方向へ向かっていくと考えられます。

⑦ オピオイド鎮痛薬

オピオイド鎮痛薬一覧
  1. 一般名:トラマドール
    商品名:トラムセット、トラマール、ワントラム
  2. 一般名:ブプレノフフェン
    商品名:ノルスパンテープ
  3. 一般名:コデイン
    商品名:リン酸コデイン
  4. 一般名:モルヒネ
    商品名:塩酸モルヒネ
  5. 一般名:フェンタニル
    商品名:デュロテップMTパッチ、ワデュロパッチ、フェントステープ
  6. 一般名:塩酸ペンタゾシン
    商品名:ペンタゾシン

オピオイド鎮痛薬の特徴

オピオイド鎮痛の作用機序は多岐に渡ります。

末梢神経系における一次侵害受容ニューロンにあるオピオイド受容体に作用したり、その他上位中枢(下降性疼痛抑制系など)にも影響を及ぼします。

つまり、オピオイドは特定の部分に対して鎮痛効果を発揮するというよりも、脊髄から大脳皮質の広い範囲にわたって作用すると考えられています。

⑧ その他

その他鎮痛薬一覧
  1. 一般名:プレガバリン
    商品名:リリカプセル

プレガバリン(リリカ)の特徴

リリカはNSAIDs系の薬が効かない場合に処方されることが多いです。

リリカの鎮痛メカニズムは、脊髄後角にて一次侵害受容ニューロンと二次侵害受容ニューロンの神経伝達をシャットアウトすると考えられています。

つまり、神経系に作用して痛みの情報を大脳皮質に投射させない役割があることから、リリカは神経障害疼痛の第一選択薬となっています。

脳卒中後やCRPSをはじめとする神経障害性疼痛の患者様に処方されることが多いため、現在脳卒中のリハビリテーションに携わられている方は、リリカが処方されている方を目にする機会がよくあるのではないかと思います。

慢性疼痛患者に対して鎮痛薬が著効しない理由はこちらで解説

参考文献

1) ペインリハビリテーション入門.沖田実,松原貴子 2019

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