学生の頃において『頭がいい人』といえば、みなさんどんな人を思い浮かべますか?
一言で『頭が良い』と言ってもこれは定義が曖昧なので、前提に何を置くのかによって答えはだいぶ変わってきちゃうんですが、おそらく多くの人が『成績が良い』というのを一つの基準にしているのではないでしょうか。
成績というのはもっとも分かりやすく点数化されたものであることから、判断基準として用いやすいというのが背景にあるんだと思います。
一方、僕らが属するリハビリテーション業界は『患者様に対してより良いリハビリテーションを提供すること』がある種至上命題です。
で、直感的に考えると「学生の頃の成績が良いなら臨床力も総じて高そうだ」と思いがちですが、現実この《成績=臨床力》の方程式が成り立たない場面が結構多いと感じています。
じゃあ、それはなぜなのか?
ということで、今日はこの辺りの話しを少し深ぼりたいなと思います。
ゴリゴリに私きんたろーの持論を展開して参りますが、ぜひ最後までご覧いただけると嬉しいです。
【知識持ち=臨床力?】頭が良い人の条件が変わってきた感あるよね。という話し
学生の頃の成績と臨床力がなぜズレるのか?
これ、もう結論を言いますと…
「用意された範囲の知識をただひたすら暗記してアウトプットを出す定期テストと違って、臨床はその知識の使い所を吟味し、適切な時にそれを引き出す力が必要になるからだ」と僕は考えています。
しかも臨床の場合、先生らしき人が「この患者さんは運動学的な側面で答えを出してねー」なんていうアウトプットの求められ方をしません。
答えは患者様が持っていて、加えて当然そこには『解剖学』もあるし『生理学』もある、なんなら『心理学』や『神経科学』、『脳科学』なんかの問題も孕んだりしているわけです。
ですから用意された答えなんてのはなく、まさに色んな学問がぐちゃっと混ざり合ったカオス状態の問題を紐解いて、『自分なりの解』を導き出すというのが僕らセラピストには求められます。
そうすると、『知識を豊富に知っている』だけじゃダメで、さまざまな知識を組み合わせ解釈し一本のストーリーとして組み立てていく論理的思考力や問題解決能力といった考える力が必要です。 ここが、いわゆる知識だけじゃ超えられない壁ですね。
考える力が欠如しているとどうなるか?
様々な学問の問題が複雑に絡み合った患者様の病態解釈を行っていく際に、上記で述べたような『考える力』が欠如しているとどうなるか。
まず、起きてくるのは…
- そもそも何を考えるべきかが分からない
ということです。これは、仮に手元に知識があったとしても起こり得る問題です。
そして、何を考えるべきかは大方検討がついたとしても、その次に出てくるのが…
- どのように考えたら良いかわからない
です。これも先ほど同様手元に知識があったとしても起こり得るんです。
その結果、最後に待っているのは何かというと「思考がフリーズする」です。
つまり、ぼーっとしながらリハビリテーションを展開しやすくなるということですね。
「頭が良い」は知識持ちのことじゃない
臨床って『総合格闘技』みたいなもんなので、自分の手元に準備されている武器というのは色々あるわけです。
ただここで大事な論点になってくるのは、その武器をどう使うか(使いこなせるか)です。
「学生の頃の成績は良かったが臨床に出ると中々上手くいかない」という人、これは言い換えると「武器のレパートリーは豊富だが、その使い方や使い道を知らない」に近いんだと思います。
一方、学生の頃の成績はいまいちだったが臨床に出ると輝きを増す人もいたりしますが、こういう方は「持っている武器の数こそ少ないが、その使い所を理解しているので必要な時に引っ張り出せる」状態なんだと思います。
で、最近僕はこういうタイプの人に対して「あぁ、あの人頭いいわ…」と思っちゃうことが多いです。
何が言いたいかと言いますと、総合格闘技に近いこの『臨床』という世界で成果を出していくためには知識持ちだけじゃ到底良いアウトプットは出せないということです。
なので、もう毎回も言い続けてますが 『考える力』ですね、これを身につける必要があるなと。
考える力を身につけるために今日からできる方法ですが、それは常に『Why?(病態解釈)』を考えることですぐに『How(方法論)』に飛びつかないことです。
正直これはしんどいし、Howに飛びつく方がよっぽど楽です。
ただ、ここから逃げてしまうといつまで経っても手持ちの武器を必要な時に使いこなせるようにはならないんじゃないかと思います。
まとめ
今回の話しをまとめると、私きんたろーが考える頭が良い人とは「勉強ができる人」=「知識を沢山持っている人」ではなく「考える力がある人」だと考えています。
そして『考える力』に含まれるものの中には、論理的思考力や問題解決能力といった思考系の学問が入ってくるわけです。
この辺りは、私が携わっているオンラインサロン『はじまりのまち』で詳しくシリーズ化して解説しているのでよければご覧ください。
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