これから、4月になり多くの理学療法士が誕生してきますが、そんな中ほとんどの新人理学療法士が口を揃えて言うこと。
それは、「良い理学療法士になりたいです!」というものです。
僕も理学療法士免許を取得した時はそう言っていたような気がしますし、みんな国家試験を乗り越えてようやく手にした理学療法士という資格なので、その思いもブースト材料になってやる気に満ち溢れていることだろうと思います。
ただここで抑えておきたいことが一つあって、それは…
良い理学療法士とは何ですか?
という問いです。
そこで、今回は「良い理学療法士とは何か」その定義について、先行研究を参考に解説していきたいと思います。
【新人理学療法士さんへ】良い理学療法士になるためには6つの要素が必要
知見の紹介
この研究では、「良い理学療法士とは何か」ということについて過去の類似研究を統合したレビュー論文です。
良い理学療法士になるための条件とは何か、それについてを明らかにしました。以下、本論文の目的を具体的に示した内容です。
本研究の目的
理学療法士の資質は、治療や理学療法の結果に影響を与える可能性があります。しかし、『良い』理学療法士の資質がどのようなものであるかはまだ体系的に検討されていません。
そこで、このレビューの目的は2つです。第一の目的は、(査読付き文献に描かれている)良い理学療法士の資質をどのように表現しているかを批判的に検討することである。
第二の目的は文献に描かれた資質を統合し患者と理学療法士にとって良い理学療法士の視点を比較することです。
良い理学療法士になるための6つの要素
早速結論を見ていきたいと思います。
まず、良い理学療法士になるためには6つの要素が必要であるとこのレビューで明らかになりました。
その6つとは以下です。
- 対応力
- 倫理観
- コミュニケーション能力
- 思いやり
- 有能さ
- 協調性
理学療法そのもののスキルは一要素でしかない
上記6つを見て分かること、それは良い理学療法士になるために一見最も重要そうな『スキル』はその一要素に過ぎないということです。(有能さの部分)
逆にいうと、スキル以外にも5つ重要な項目(対応力、倫理観、コミュニケーション能力、思いやり、協調性)があって、これらはどれも抽象化すると『人間力』に着地します。
つまり、良い理学療法士とは言いつつも、やはり結論大事なのは「あなた」なんです。
『倫理観』と『思いやり』の認識は今日からでも変えられる
対応力とコミュニケーション能力、協調性という3つの項目は、人間力の要素を含む一方で「組織内での立ち振る舞い」という観点で見ると『スキル』ともいえます。
なぜならば、この3つが良いか悪いかの評価は他者が行うからです。
自分はコミュニケーション能力が高いと思っていても、他者から見るとそれが完全一致の評価となるかは分かりません。
よって、一概に「今日からすぐできる!やれ!」と言われても、そんな簡単なことではないというのは何となくわかります。
ただし、『倫理観』と『思いやり』。
これに関しては、今日からでも認識を改めることができます。
なぜならば、この2つの評価は全て自分自身であり、コントロールできるものだからです。
例えば、倫理観とは「正しいと判断するべき行動や価値観についての信念や考え方のこと」を指しますが、この時の『善悪の判断』みたいなものは、最後の最後は自分が決めることです。
自分が決めるからこそ、その判断軸は高くもできるし逆に低くすることもできちゃうわけです。
「思いやり」も同様ですね。
対象者の方が、「どうやったら喜んでくれるだろう」、「何をしたら助かるだろう」といったことを考え実行すること全ての根底にあるのは『思いやり』です。
これも、誰かが決めることではなく最後はあなた自身が意思決定のボタンを握っているわけです。
まずはできることからやって良い理学療法士を目指そう
まとめに入ります。良い理学療法士になるために必要な6つの要素。
どれもすごく重要な要素ではありますが、一番とっかかりやすいのは「今日から変えられること」です。
スキル(有能さ)を身につけるには、一定の時間を要するし、対応力やコミュニケーション能力、協調性は評価軸に他者が媒介するので一定の時間と自分自身でコントロールできるものに限界があります。
しかし、倫理観と思いやりに関しては、“あなたの意識”の問題なので今日からすぐに実行可能です。
まずはできることからはじめ、患者様にとって良い理学療法士となれるよう今日も良い仕事していきましょう。
参考文献
An integrative review of the qualities of a ‘good’ physiotherapist.Kleiner MJ,2023
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