【研究結果から読み解く】ハムストリングス肉離れの原因

a man doing a hamstring stretch

肉離れは下肢に多く発生し、そのなかでもハムストリングスでの罹患率が高いとされています。

ハムストリングスの肉離れが発生しやすい条件。

その一つに、「過度な伸張」があります。

「筋肉が伸びすぎると肉離れが発生する」

これはなんとなく想像しやすいと思うのですが、その一方で「ハムストリングスが硬い=肉離れしやすい」という訳ではないのも一つポイントなんです。

つまり、柔軟性が低下しているから肉離れが起きやすいかというとそうでもないということですね。

そこで、今回は肉離れの発生がどのような要因で出現するのかを検討した研究を一つご紹介していきたいと思います。

現在、スポーツ関連のリハビリテーションに従事しているセラピストの皆さんにとても参考になる研究となっているかと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

余裕があれば、ぜひ原著にも目を通してみてください!

こんな人におすすめ
  • アスリート含めスポーツ選手のリハビリに携わっている
  • 肉離れの患者様を担当することが多い
  • 肉離れの発生要因を知りたい
目次

【研究結果から読み解く】ハムストリングス肉離れの原因

ご紹介する論文

はじめに、今回参考にさせて頂いた論文は以下です。

研究の目的

肉離れが出現しやすいといわれるランニング動作で以下3つの点を評価しました。

  1. 下肢固有感覚(遊脚期の運動弁別課題)
  2. H/Q比(ハムストリングスと大腿四頭筋の筋バランス)
  3. 既往歴

この3点が肉離れと関連しているか、それを調べていくことがこの研究の目的です。

評価対象に固有感覚が入っていますが、これはつまるところ…

ハムストリングスの肉離れが運動制御の問題によって生じるのか否かを明らかにしようとしているわけですね。

対象者の特徴

本研究の対象者の特徴
  • オーストラリアのフットボール選手(男性,20名)
  • 平均年齢23.6歳、身長185.5cm、体重87.8kg
  • 評価前12週間の間に重大な下肢損傷があった被験者は除外

研究の方法

下肢固有感覚を客観的に測定するために遊脚期の運動弁別課題評価を実施。

その測定には専用の機器(the ameda)を用いて実施しています。

下肢固有感覚の測定手順

STEP
設計(the ameda)

下肢の高さを変更することができる機器を用いて5段階の高さを設定

STEP
準備(姿勢)

被検者が楽な姿勢で装置に跨り、天井の一点を見つめた状態にする

STEP
運動の実行

被検者は非検査側下肢へ荷重した状態で検査側下肢を挙上し床面にあるバーに接触するまで下肢を動かす。

STEP
フィードバック

実施後に検査側下肢がどの位置(5段階)になったか答えてもらう

H/Q比に関しては、cybex Ⅱisokinetic dynamometerを用いて実施しています。

それでは、以上を踏まえた上で結果をお伝えします。

結果① 肉離れした人は固有感覚が低下している

まず一つ目として明らかになったこと。

それは、ハムストリングスの肉離れをした患者は運動制御で必要となる下肢固有感覚が低下していることがわかりました。

ハムストリングスの損傷をした選手は遊脚期の運動弁別課題が平均以下であり、これは下肢の固有感覚と運動制御が不十分な選手であることを示唆する。

Motor control and strength as predictors of hamstring injury in elite players of Australian football.Matt Cameron,2003

ちなみに、下肢固有感覚検査は大腿四頭筋よりもハムストリングスの肉離れを予測するために有効な手段ということも同時に明らかになりました。

大腿四頭筋強度とH/Q比、ハムストリングと大腿四頭筋の筋力は傷害予測因子として有意差はなかったがハムストリング筋力とH/Q比、ハムストリング筋力とMDスコアは、傷害予測値において有意差がみられた。

Motor control and strength as predictors of hamstring injury in elite players of Australian football.Matt Cameron,2003

※MDスコア:下肢固有感覚検査結果のことを指す。
※H/Q比については後述する。

結果② 大腿四頭筋>ハムストリングス

二つ目は、ハムストリングの肉離れをした患者の多くは、ハムストリングスよりも大腿四頭筋の筋力が上回っていることがわかりました。

大腿四頭筋の筋力発揮がハムストリング筋群の能力を上回ると、ハムストリングス損傷の可能性がある。

Motor control and strength as predictors of hamstring injury in elite players of Australian football.Matt Cameron,2003

特にランニング動作の立脚中~後期にかけハムストリングスと大腿四頭筋の共収縮が強まる時期に、ハムストリングスに対して大腿四頭筋の筋活動が上回ると損傷(肉離れ)しやすいことがわかりました。

補足

ハムストリングと大腿四頭筋の筋バランスをみるH/Q比だが、この論文では基準値を0.66以上に設定することでハムストリングスの肉離れを発見できると報告しているので、今後同様の研究を実施する方は参考までに。

肉離れの発生には運動制御の影響が関与している

肉離れには「ストレッチ型」や「スプリング型」のような筋肉自体の伸長によって損傷しやすいことは知られていると思います。

加えて今回の結果から、下肢の固有感覚低下大腿四頭筋を過度に鍛えるような筋力トレーニングによってハムストリングスの肉離れが発生しやすいということも一つの知見として明らかになりました。

よって、肉離れ自体の予防や再発予防において今回の知見を評価や治療プログラムの中に取り入れてみても良いかもしれません。

参考文献

1)Motor control and strength as predictors of hamstring injury in elite players of Australian football.Matt Cameron,2003

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