脳卒中後、多裂筋に介入する場面って多いけど本当に必要なの?

脳卒中後のリハビリテーションにおいて、『多裂筋』に対する介入の必要性は多くのセミナーや参考書で唱えられていると思います。(見たことありませんか?)

その理由としては、「多裂筋が正常な体幹の運動機能に一役買っているからである」というものがほとんどで、だからこそ多くのHow to系セミナーで多裂筋に対する介入が教授されているのだと思います。

脊柱の安定化には,多裂筋や腹部筋の協調した働きが必要である。

片麻痺者の下肢・体幹機能差による歩行での体幹の動きの特徴―三次元動作解析装置を使用した症例検討―上條史子より引用

しかし一方で、多裂筋に対する介入云々の前に一つ抑えておかなければならない事実があるとも個人的に思っていて、それが…

セラピスト

そもそも脳卒中患者後遺症さんの多くって多裂筋使えてないの?

という問いです。

なんとなく、「脳卒中になる=多裂筋が使えていないんだ」と、この2つのファクトが暗黙知のままイコールで結ばれている感じがしますが、実際にこれが事実なのかはきちんと検証してみる必要があると僕は思ってます。

そこで、本記事では以下の論点について考えていきたいなといきたいと思います。

この記事で分かること
  • 脳卒中後に生じる多裂筋の状態を科学的に証明し理解する
  • その上で脳卒中後に多裂筋への介入が必要なのかを吟味する

上記2つ視点から脳卒中後のリハビリテーションにおいて多裂筋に対する介入が本当に必要なのか否かにを考えていきたいと思います。

それでは、はじめます。

目次

脳卒中後、多裂筋に介入する場面って多いけど本当に必要なの?

脳卒中後、多裂筋を含む背部体幹筋の形態学的特徴が果たしてどうのようになっているのか?

この問いに対する答えとして、今回はこちらの論文を参考に検証しました。

参考文献

Asymmetric atrophy of the multifidus in persons with hemiplegic presentation post-stroke.Park W,2021

研究の概要をざっくり抑えると、脳卒中後遺症患者様を対象に彼(彼女)らの背部体幹筋の状態(脂肪浸潤度合い、筋断面積)をMRIを用いて調べました。

これにより、脳卒中後の背部体幹筋の状態を把握していこうと試みたのです。

Asymmetric atrophy of the multifidus in persons with hemiplegic presentation post-stroke.Park W,2021より引用

ちなみに、今回調べられた筋肉は以下の筋群となっています。

本研究で対象となった筋肉
  • 多裂筋
  • 脊柱起立筋
  • 腰方形筋
  • 大腰筋

以上の4つが、今回検証対象となった筋肉になります。

脳卒中後における多裂筋含む背部体幹筋の形態学的特徴

対象者の情報と調べ方

この研究で対象となった脳卒中患者様は大きく2グループに分けられており、それが発症から9ヶ月以下『グループA』発症から9ヶ月以上経過している『グループB』です。

内訳ですが、グループAの方は9例、グループBの方は17例となっていました。

グループAグループB
発症から9ヶ月未満発症から9ヶ月以上
9名17名

発症からの経過の違いでグループ分けすることによって、仮に体幹筋の形態学的変化に違いがあった場合、それが時期的なものが影響しているのか否かを精査することが可能になるわけです。

本題に入る前に…一応、本研究の『取り込み基準』『除外基準』だけざっとまとめておきます。

  • 『取り込み基準』とは、研究対象となる対象者の基準となるもの
  • 『除外基準』とは、研究対象から除外した対象者の判断軸となるもの

取り込み基準と除外基準を示す理由は、ここを確認しておくことでこれから示す研究結果があなた自身が担当している患者様に置き換えて考えることが可能かを判断することができるからです。

取り込み基準
  1. 脳卒中により片麻痺を呈している者
  2. 自立歩行が可能である者(mRSスコア:0~3)
  3. 脳卒中後の腰椎MRIスキャンが利用可能であること
除外基準
  1. 自立歩行ができない者(mRSスコア:4または5)
  2. 四肢麻痺の場合
  3. 筋力低下の症状がない場合
  4. MRIで脊髄損傷、脊髄炎、腰仙椎の手術既往が確認された者

さて、という感じでざっと概要をまとめました。

ここからは、結果の方をじっくりみていきますが、今回は結果から読み取れる大切なポイントを3つに絞って解説していこうと思います。

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