脳卒中後の患者様に対してよく行われているリハビリ方法の一つに『ストレッチ』があります。
脳卒中後遺症患者様に対して行うストレッチの光景は、みなさんも臨床でよく見かけた(もしくは行っている)ことが一度と言わずあるのではないでしょうか?
一方で…当たり前のように行われているからこそ考えなくちゃいけないのが、「それって本当に効果あるの?」という問いです。
電気刺激や振動刺激、装具、各種徒手療法などなど、固有の方法論に関してはその効果の有無が議論の的によく上がっているものの、ストレッチに関してはあまり語られてきていない(でも当たり前のように皆やっている)ような、そんな印象があります。(ガイドラインくらい?)
そこで、今回は脳卒中後遺症(特に痙縮とROM制限、歩行)に対するストレッチの効果を2021年に発表された海外のシステマティック・レビューをもとに解説したいと思います。
現在、医療機関等で脳卒中のリハビリテーションに従事されている療法士の皆さん必見です。
【2021年版】脳卒中後、痙縮やROM制限に対するストレッチの効果
概要をざっと抑える
対象は?
このシステマティックレビューでは、元々141件の『脳卒中に対するストレッチの効果』に関する研究を抽出しましたが、最終的には質の高い研究8件まで絞られています。
8件の研究で対象となった患者総数は332名であり、発症時期の多くは発症3ヶ月〜6ヶ月の間です。
つまり、ちょうどいま現在回復期病院にお勤めの方であればこの結果によっては明日からの臨床が大きく変わるかもしれません。
論文を読むときに、必ず見ておきたいのが『method:方法』の部分。その中でも特に対象者は注意深く見ておく必要があります。
理由は、例えば「方法Aを行うことで効果があった」という研究に出会ったとしても、その中で対象となった患者様の特徴が、いま自分自身が担当している患者様と異なれば安易に用いることができないからです。
なぜならば、方法Aが回復期では著効しているという結果は出ているが、急性期や生活期で全く同じ効果を発揮するかは分からないからです。
そのため、論文を読むときは『result:結果』だけに注目せずしっかり前提条件となる情報にも目を通す癖を身につけましょう!
方法は?
気になるストレッチの方法ですが、検討されている方法は大きく3種類です。
- PTによるストレッチ
- 患者様自身によるセルフストレッチ
- 装具(スプリントなど)などを用いてストレッチ
この3つのストレッチをそれぞれ比較して、効果を検証していきました。
アウトカムは何を見たのか?
アウトカムとは『効果』のことです。
つまり、「ストレッチを行ったその成果を何で評価するか?」ということですね。
今回観察されたのは『痙縮』と『ROM』ですが、そのほか『歩行』などについても言及されていたので、ここではこの3つのアウトカムに対するストレッチの効果を解説していきます。
それでは、早速結果を見ていきましょう。
結果① 痙縮に対するストレッチの効果
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