脳卒中後の歩行で『ぶん回し』が発生する原因3選

きんたろー
こんにちは、理学療法士のきんたろーです。

脳卒中のリハビリテーションに携わっていく際に、必ずといっていいほどテーマの一つに挙がってくるもの。それが『歩行』です。

いま、ご覧になってくださっている方の中にも『歩行障害』に対する介入で頭を悩ませた経験がある方も少なくないのではないでしょうか?

そこで本記事では、脳卒中後に生じる歩行障害の病態解釈を進めていく上で必要な『仮説出し』をしたいと思います。

この『仮説出し』というのは、病態解釈や臨床推論を行っていく中で実は最も難しいところであり、その理由としては、仮説を列挙するには『知識が必要』だからです。

知識がなければ仮説は生まれないのですが、「じゃあ知識はどうやって取り入れるか?」となると論文を読んだりセミナーに参加したりと、要は『手間』がかかります。

そこで、この記事の中で歩行障害に対する仮説をできる限り沢山共有することで、皆さんの思考負荷を少しでも軽くできればと思っています。

この仮説は沢山あればあるほど良いです。なぜならば、仮説が沢山あるということは一つ外れてもその次の仮説を検証できるからです。

逆に仮説がたった一つしかなければ、仮にそれが外れた時に思考がフリーズしてしまい、ぼーっと臨床を進めてしまう。なんてことになりかねません。

そのため、今日ご紹介する仮説を新たな武器に加え、明日からの臨床に活かしていただければと思います。(もちろん、既に知っているものもあるかと思いますが…)

今回は、数ある歩行障害の中でも『Stiff-Knee gait (SKG)』にフォーカスし、仮説だしを行っていきます。

※人の身体に関わるお話しなので憶測や想像はナシです。全て論文ベースで解説します。

脳卒中後の歩行で『ぶん回し』が発生する原因3選

ぶん回し歩行の要因となるStiff-Knee gait (SKG)とは

SKGとは、脳卒中後の歩行時(遊脚期)に麻痺側の膝が曲げられず棒のようになってしまう現象です。

そして、このSKGによって生じる異常歩行パターンの一つが『ぶん回し歩行』ですね。 (遊脚期に膝関節を屈曲できず下肢と床とのクリアランスが担保できないため)

ぶん回し歩行を改善するために、あの手この手を使い試行錯誤されているセラピストの方は多いのではないでしょうか?

そこで、今回考えたいのは…

 

じゃあ、このSKGを生み出している原因は果たしてなんなのか?

ということです。ここを考えるのが『病態解釈』という推論の営みであり、そしてこの過程で可能性として列挙される要因というのが『仮説』になるわけです。

よって、以下ではこのSKGを発生させている仮説を3つご紹介していきます。

SKGの原因となる仮説とそれに対する打ち手

仮説① 大腿直筋の過剰収縮

根拠となった論文

・Contributions of muscle forces and toe-off kinematics to peak knee flexion during the swing phase of normal gait: an induced position analysis. Anderson FC,2004

・Kinematic and kinetic factors that correlate with improved knee flexion following treatment for stiff-knee gait. Goldberg SR,2006

・Stretch reflex coupling between the hip and knee: implications for impaired gait following stroke.Finley JM,2008

PubMed

SKGによって生じるぶん回し歩行は遊脚期に見られる現象ですが、この問題として最も可能性の高い仮説として考えられているのが、『大腿直筋の過剰収縮』です。

歩行時遊脚期に大腿直筋が過剰に収縮することで、膝関節の伸展が増強されその結果「膝が曲げられない=SKGが発生→ぶん回し歩行」というメカニズムとなっているようです。

ただし、病態解釈を行う上で…

 

大腿直筋が過剰収縮してます。以上!

これで、思考をやめてしまうと「実際にどのような手段でリハビリを進めていくのか?」というところで手の打ちようがありません。

本来、ここでもう一歩踏み込んで考えたいのは「何が大腿直筋の過剰収縮を生み出しているか?」になってきます。

そこで、この点について色々調べてみたのですが、最も可能性として高い問題は…

『立脚期における大腿直筋の反射亢進』です。

以下、引用を示します。

脳卒中後のSKGは歩行サイクルの遊脚期で現れるが、立脚時の異常な筋活動が原因である可能性がある。

Saryn.2006

 

脳卒中後のSKGでは、膝関節の屈曲角度と大腿直筋の反射活動に負の相関が認められた。

Akbas.2020

 

「負の相関がある」というのは、「どちらか一方が大きくなるとどちらか一方が小さくなる」ということです。つまり、この場合であれば 「膝関節の屈曲角度が減少している時は大腿直筋の反射が強くなっている」という解釈になります。

それでは、SKGの仮説の一つである『立脚期における大腿直筋の反射亢進』というのが明らかになったので次は…

 

この病態に対してどのような方法論が効果的なのか?

という点について解説していきたいと思います。

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