痛みのリハビリテーションを進めていくとき最初に診るべき5つの視点

病院やクリニックに来る患者様の割合で恐らく最も多い症状が『痛み』ではないかと思います。

関節可動域制限や筋力低下といった機能障害ももちろんありますが、それだけで「医療機関を受診しよう」というケースは少なく、むしろそれら機能障害によって身体のどこかに痛みが出現し始めたときに「病院行くか…」となる人がほとんどではないかと思います。

そこで今回は「痛みが主訴である患者様に出会った時、最初に見るべき5つの視点」というテーマで、この記事を執筆している私が脳神経外科クリニックに勤務している際、院長と沢山議論し「リハ科としてここは必ず見よう」と決めたポイントについてシェアしていきたいと思います。

ちなみに…

きんたろーが勤めていた脳神経外科クリニックは、院長が脊髄専門のドクターということもあり、『椎間板ヘルニア』や『要部脊柱管狭窄症』、『慢性腰痛症』などなど、とにかく痛みと痺れの患者様でごった返していました。(ほぼほぼペインクリニックに近い)
今回は、そういった痛みの患者様が沢山来る医療機関にて、院長と二人三脚で培った知識と実践知を共有します。

今回はアカデミック(学術的)な内容というよりも、かなり臨床に振り切った話しなので、より自分ごと化しやすい内容になっているのではないかと思います。

ぜひ、最後までご覧いただいて明日の臨床からの臨床に活かしていただけると嬉しいです。

目次

痛みのリハビリテーションを進めていくとき最初に診るべき5つの視点

はじめに、5つのポイントがスッと頭の中に入るようにするためには、事前に確実に抑えておかなくちゃいけない部分があるので、本題に入る前にひとまず前提となる知識を共有しておきたいと思います。

ここが分からないと5つのポイントについて全く理解できない

必須知識① 痛みは大きく2種類あるという前提を確実に抑える

痛みのリハビリテーションを行っていく際に、『痛み』そのものをバクっと一塊に捉えてはいけません。

というのも、痛みには大きく2種類あるからです。

ご存知の方も多いかと思いますが、その2種類というのは『急性疼痛』『慢性疼痛』です。

一応学術の分野においてこの両者は『期間』で線引きされていますが、臨床においては両者が混在しているケースがそこそこ多かったりします。

そして、ここで大事なことは急性疼痛と慢性疼痛にグラデーションがあるとはいえ「どちらの要素が大きいだろうか?」これをある程度把握することです。

ここを抑えないまま臨床を展開していくと、「意思決定した方法がうまくハマらない」という事態に陥りやすいからです。

なぜならば、急性疼痛と慢性疼痛では『疼痛』という概念は同じでも中に潜んでいる病態は全く異なるからです。

そのため、まずはこの両者(急性疼痛と慢性疼痛)の違いを把握すること、その上でどちらの要素が強そうなのかを必ず抑えるというのはかなりマストになってくるところです。

では、「実際に2種類の痛みをどのように分解して考えていけばいいのか?」

と、疑問を感じた方もいるかもしれませんが安心してください。

この点をクリアにするのが今回紹介する5つのポイントでもあります。

必須知識② 痛みのメカニズムを理解する

正直、ここがグリップできていないまま痛みのリハビリテーションに挑むのはかなりキツイです。

見出しに「痛みのメカニズムを理解する」と書いていますが、これだけだと“必須感”がイマイチ伝わりにくいので、もう少し詰めると、「痛みのメカニズムを自分の言葉で説明できるぐらい理解する」が正解です。

で、注意点が一つあります。

先生

痛みのメカニズムを説明してください

と聞くと、一定数の方からこんな回答が返ってくることがあります。

セラピスト

◯◯にメカニカルストレスが加わり、それによって痛みが生じています。

これ、ハッキリ言ってしまうと痛みのメカニズムの説明にはなっていません。

「◯◯にメカニカルストレスが加わり…」というのは、解剖学と運動学で説明できるただの事実でしかないからです。

具体例を出すと、例えば『膝が曲がっているおばあちゃん』や『腰が曲がっているおじいちゃん』って皆さんの身近にも沢山いると思うのですが、ここで問いたいのは…

先生

全員モレなく痛みを訴えていますか?

ということです。こと『メカニカルストレス』だけにフォーカスすると『膝が曲がっているおばあちゃん』も『腰が曲がっているおじいちゃん』も、膝関節や腰椎に必ずメカニカルストレスってかかっているはずなんです。

ただ、現実それでも痛みがないという方だって一定数いるんですね。

つまり、『侵害刺激=痛み』という発想だけでは目の前の患者様に起きている痛みのメカニズムないしは病態を理解することは不可能なのです。

このようなスクリーンショット的な説明では、「事実を言語化する」ことはできてもメカニズムの説明は到底できません。

なぜならば、『メカニズム』とはその瞬間を切り取ったスクリーンショットではなく動画(ストーリー)だからです。

そして、メカニズムをストーリーで説明するとなったとき絶対に必要になる学問は『生理学』です。

よって、痛みの生理学を理解できていないとメカニズムを説明するということはできません。

この辺りをきちんと勉強したいという方は、別で解説している記事がりますのでまずはこれらの記事をご覧ください。

痛みのメカニズムシリーズ

など

前提知識③ 鎮痛薬の作用とメカニズムを知る

意外と思うかもしれませんが、実はここすごく重要なんです。

なぜならば、痛みを伴っている患者様のほとんどは何かしら服薬をしているケースがほとんどだからです。

このとき、ただ「こんな薬飲んでるんだな」と事実をそのまま受け止めるのと、「この薬飲んでるんだな。ということは…」と、そこから深く考察できるのとでは方法論がかなり大きく変わります。

よって、理学療法士や作業療法士であったとしても鎮痛薬の作用やメカニズムを理解するということはすごく大切なのです。

鎮痛薬の作用機序等については以下の記事で解説しているので、良ければこちらもご覧ください。

鎮痛薬のメカニズム記事一覧

【痛みのリハでは必須】必ず抑えようこの5つ

それでは、上記でご紹介した3つの前提知識を抑えた上で今回の本題に入っていきたいと思います。

一つ一つ詳細な解説もついているので、それらも合わせてご覧いただき理解を深めてもらえると嬉しいです。

続きは『はじまりのまち』で

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