運動学習を行っている時の脳活動について解説

きんたろー
こんにちは、理学療法士のきんたろーです。

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さて、リハビリテーションの現場において『運動学習』というのは、とても大切で必要不可欠なテーマの一つです。

なぜならば、私たちが日々対象とする方の多くは、リハビリテーションによって様々な運動を学習していくことで基本的動作や応用動作の回復を図っていくからです。

故にこの『運動学習』自体は、リハビリテーションに携わるセラピストであれば誰しも必ず考えるべき大きな論点になってきます。

そこで本記事では…

・運動学習の初期に生じる脳活動を解説
・運動を習熟してきた後期に生じる脳活動を解説
・運動学習中に生じる脳活動の変化の意味を解説

この3点を丁寧に解説し抑えていきたいと思います。それでは、始めます。

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運動学習を行っている時の脳活動について解説

運動学習に関してちょっとおさらい

運動学習の脳活動の詳細を解説していく前に、まずは前提として「運動学習とはそもそもどういうものであるのか?」ということについて簡単におさらいしていきます。

まず、運動学習には初期後期があって、初期段階においてはそのパフォーマンスがぎこちなく失敗を繰り返してしまいますが、繰り返しトライ&エラーを行った結果として運動が習熟しパフォーマンスレベルが向上していきます。これが、運動学習後期の段階となります。

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運動学習の初期に生じる脳活動

それでは『運動学習』がどういうものかおさらいできたことですし、今回の本題である『運動学習の際に生じる脳活動』について解説していこうと思います。

今回、解説するにあたって参考にさせて頂いた論文はこちらです。

Specific Increases within Global Decreases: A Functional Magnetic Resonance Imaging Investigation of Five Days of Motor Sequence Learning.Christopher J,2010

前置きがダラダラと続いてもあれなので…早速結論を述べます。

まず『運動学習』の初期段階、つまりまだまだパフォーマンスが未成熟で新規の運動を習得しようとする時に活動する脳領域は以下の領域となります。

・一次運動野
・補足運動野
・運動前野
・小脳皮質
・大脳基底核(尾状核)

Specific Increases within Global Decreases: A Functional Magnetic Resonance Imaging Investigation of Five Days of Motor Sequence Learning.Christopher J,2010

運動の指令を行う脳領域である『一次運動野』、運動の準備やイメージなどを担う『補足運動野』、そして運動の誤差修正をメインに担っている領域である『小脳』など、これらはみていただくとお分かりの通り一般的に教わる脳領域が主にピックアップされています。

そのほかにも、運動関連領域とされる『運動前野』『大脳基底核(尾状核)』もここには含まれています。

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運動学習の後期に生じる脳活動

では、一方で「運動学習の後期段階においてはどのような脳領域の活動が向上するのか?」ということですが、これに関しては以下の脳領域であることが明らかになりました。

・海馬
・大脳基底核(被殻)
・前頭前野

運動学習の初期段階では、『運動野』を中心とした脳領域が主に活動していましたが、運動学習後半になると初期に強く働いていたこれら脳領域の活動は限局化していきます。

ここでのポイントとしては…

運動学習の後半では運動野ではなく、一見運動学習に無縁そうな『海馬』の活動が強く向上することです。

運動学習が進むにつれて、学習ネットワークに関する古典的な運動領域やエラー修正と運動計画に必要な脳領域の活動は減少したが、作業記憶と記憶の情報の監視に関与すると考えられる領域でのその活動が増加しました。

Specific Increases within Global Decreases: A Functional Magnetic Resonance Imaging Investigation of Five Days of Motor Sequence Learning.Christopher J,2010より引用

 

きんたろーのInstagramより引用

なぜ、運動学習の後半で海馬の活動が高まるの?

運動学習の初期段階においては、運動のプログラム自体がそもそも存在していないことから、記憶の中枢である『海馬』の役割はそこまで必要ありませんでした。

一方で、運動が習熟していくと運動のプログラム自体が徐々に脳内に記憶として蓄えられていくことから、海馬の活動が徐々に向上していくのです。

なぜ、運動学習の後半で小脳の活動が低くなるの?

同じような疑問として、「運動学習の後半でなぜ小脳の活動が低くなるの?」というのをよくご質問としていただくのでこれに関しても簡単に解説していきます。

これは一言で言うと、運動が習熟した学習の後期になってくると、運動のエラーそのものが減ることから小脳が通常担っている運動の誤差情報の検知という役割が減ってくるわけです。

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運動学習が進むと脳活動はむしろ縮小する

セラピスト
運動を行っている時って、特に運動に関連する脳領域は活動が高まりそうだけど…案外収まっていくんですね。

運動を行っている時というのは、どうしてもそれに比例するように活動する脳領域も拡大していきそうな気がしますが、実際は運動学習が後期になってくると活動する脳領域はどんどん縮小していきます。

ただし、ここで抑えておきたいのは…これら脳領域というのは働いていないわけではありません。

『縮小』というのは言うなれば『省エネ』なのです。つまり、運動学習の後半になってくると小さな力で運動を実行できるように脳が再編成されていくわけです。

これに関しては、プロサッカー選手であるネイマール選手の脳内活動や脳卒中後の患者様の脳活動も今回の研究結果を反映するものとなっています。以下の記事で詳しく解説しているので、ご興味ある方はご覧ください。

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運動学習中の脳活動のまとめ

それでは、最後に今回の記事のポイントをまとめていきたいと思います。

・運動学習の初期段階では、『運動野』や『小脳』といった運動関連領域の活動が著しく高くなる。

・一方、運動学習の後期段階では『運動野』や『小脳』の活動は縮小し、『海馬』などの活動が強くなる。

・運動学習後期に活動が縮小する理由は『省エネ』のためであり、それら脳領域が働いていないわけではない。