【臨床推論上達法】仮説の量は◯◯に依存する

man sitting in front of three computers

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といったリハビリテーションセラピストが臨床現場で必ず行うこと。

その一つが『臨床推論(clinical reasoning)』です。

これは患者様の病態を適切に解釈し、その解釈に基づいた結果どの方法を用いるのが一番効果的なのかを考える営みとも言えます。

逆にいうと、臨床推論が苦手であるということは病態解釈がうまく行えなかったり、方法論を選択する場面において、「なぜ、自分はこの方法を選んだのか」というのが説明できなくなってしまいます。

要するに、『自分の臨床を自分の言葉で説明することができない』という状態ですね。

医療現場において、自分が行っている臨床を自分の言葉で説明できないというのはそこそこ致命的で、選択した方法によって「改善するのか否か」これに関してある種賭けに出ている状況に近いです。

だからこそ、臨床において手技や方法論を学ぶことも大切ですが、もう一つそこに加えて欲しいのが『考える力』です。

臨床推論の勉強を一から始めたい方はこちら

今回の記事では、そんな臨床推論を行っていく上でとても重要な『仮説の立案』にフォーカスしたお話しをしていきたいと思います。

もし、いま現在

仮説を立てるのが苦手なんだよねぇ…

仮説がこれ以上思いつかない

というような点でお悩みを持たれている方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

【臨床推論上達法】仮説の量は◯◯に依存する

臨床推論で一番躓きやすいのはどこか

臨床推論は、大きく下図のようなプロセスがあると僕は考えています。

臨床推論の流れ
きんたろーInstagramより引用

各ハコの詳しい内容については、以下の記事で解説しておりますのでご興味ある方はこちらをご覧いただけたらと思います。

さて、このプロセスの中でより難渋しやすい部分。それは、「仮説を考えるフェーズ」です。(その理由は、上記の記事で解説しています。)

実際、皆さんも臨床推論を進めていく中で、「仮説がこれ以上思いつかない…」といった状態に陥っちゃうことってないですか?

では、この仮説を沢山生み出すためには何が必要なのか?

結論、これは『知識』です。

もちろん、知識だけがあっても仮説が沢山立案できるとは限りませんが、少なくとも知識がなければ仮説が立てられる可能性はゼロです。(後述します)

仮説の量は知識の量に比例する

以前、ダイヤモンドオンラインというビジネス系ウェブサイトで、ヤフーのCOOである小澤氏の記事が公開されていたのですが、この記事の中で「仮説を量産するために大切なこと」というのが書かれてありました。

我々リハビリテーション業界とは異なりますが、とても示唆に富む記事だったのでちょっと引用し解説させて頂きます。

この記事のテーマは『小さな事業で成功するためにはどうすべきか』というのものだったのですが、結論から言うとその答えは…

『どれだけ仮説をつくって、それを検証するか』だそうです。

結局、仮説をつくるのは『勝つため』なんです。勝つには潤沢な情報が必要で、それがなかったら戦っちゃダメなんですよ。だから、勝つためにインプットを増やさないといけない。仮説の土台は情報収集でつくるんです。だけど、どんなに情報を集めても、仮説は外れることもある。事業をつくり続けていると、毎回当てようと思っているけれど、だんだんと当たる方が稀だと気づいてく。

ダイヤモンドオンライン.ヤフーCOO小澤隆生氏「名経営者だって外しまくっている。成功するにはとにかく試せ!」より引用

この中で僕が最も大事だと思うこと。それは、仮説をつくるためには情報収集が必要だということです。

これ、臨床に置き換えても全く同じことが言えると思っていて…

セラピスト

仮説が重要だというのは十分理解しているけれど、その仮説をつくるのが難しいんだよねぇ。

時々このような言葉を聞きますが、この時自分自身に対して一度でいいから立てて欲しい問いがあります。

それは、「仮説を立てられるくらい、情報収集を行っているか?」ということです。

情報収集というのはこの場合でいうと『知識』のことなので、要は平たくいうと「しこたま勉強してますか?」という問いですね。

この記事でも述べている通り、仮説の源泉って行き着くところやっぱり必要なのは『知識量』なんです。

知識がないと、「この現象の原因は◯◯かも…」という仮説がそもそも浮かばないからです。

知識と臨床を紐づける勉強が仮説を量産させる

では、仮説を生み出すにはとにかく沢山勉強すればいいか、というともちろんそれは必要条件ではあるんですが、これだけでは十分ではないと僕は思っています。

『知識』と『仮説』の間には実は大きな壁があって、知識は沢山持っててもそれを仮説に転用できない人って実は沢山います。

これはなぜかというと、知識と臨床が解離しているからです。

知識をインプットする際、その知識自体が臨床の一場面とリンクできないと、その知識は知識のままで終わってしまい使わなければ1ヶ月後くらいには忘れていってしまいます。

こうなると、いくら勉強して知識を取り込んでも仮説にすることができません。

だからこそ、知識をインプットするときはできるだけ臨床で抱えている問題意識や、臨床に直結する課題から手をつけていった方がいいと僕は思っています。

仮説を増やすために必要なことまとめ

以上が、推論のプロセスである『仮説の立案』について抑えていただきたい内容です。

仮説を立てることは簡単じゃありません。

そして、知識が仮説の源泉である以上どうやっても勉強するという営みが必須になってきます。

ただ、「患者様は自分が知識を手に入れるまで待ってくれない!がいますぐ仮説が欲しいんだ!」と思う人もいるかと思います。

そんな時は、知識をすでに持っている人から借りてください。

同僚でもいいし、先輩もしくは後輩でもいいです。

人は誰しも全知全能なわけではないので、苦手な学問があるのは当たり前です。

そういう時は、その分野が得意な人から知識を借りて、それを臨床に活かしていくということがとても大切ではないかと考えています。

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