こんにちわ!きんたろーブログ(@kintaroblog)です!(^^)!
『stability』と『mobility』って何?
体幹=『stability』、四肢=『mobility』という二極化で考えない
『ニュートラルゾーン』という考え方
2003年に書かれたPanjabiの論文を見ると脊椎の不安定性と腰痛について、ある仮説を提唱しています。
それが『ニュートラルゾーン』という考え方です。
『Clinical spinal instability and low back pain. Manohar M. Panjabi 』より引用
ヒトの関節運動には『ニュートラルゾーン』というものが存在しています。
これは何かと言うと、関節運動を行う際に組織に負荷がかからない運動範囲の事を表しています。
このニュートラルゾーンの中で動くことが出来れば問題ないのですが、荷重(Load)が上がっていくと、徐々にニュートラルゾーンを超えて、関節や組織に変位(Displacement)が生じてくるのです。
これを『荷重-変位曲線』といいます。
この荷重-変位曲線を分かりやすく説明しているのがBの図です。
ボウルの中に入ったボールが転がる際、NZ(ニュートラルゾーン)と書かれた範囲であればボールは円滑に動くことが出来ますが、そのNZを超えて動くとなるとボウルの勾配が強くなり、より大きな力を使わなければボールは転がりません。
つまり、この『NZを超えた負荷が繰り返し組織に加わることで、過負荷が生じた組織に障害が生じ腰痛が発生する可能性がある』という風にPanjabiは考えているようです。
『Clinical spinal instability and low back pain. Manohar M. Panjabi 』より引用
『Functional movement screening(FMS)』
これはGray Cookという理学療法士が提唱した概念で、『joint by joint theory(JBJT)』とも言われています。
『発育期腰椎分離症の運動療法 後藤ら』より引用
動作中の全身の関節には安定性が必要な関節(stability関節)と可動性が必要な関節(mobility関節)に分けられ、stability関節とmobility関節は全身的に交互に配置される。(佐藤ら.2016)
体幹における『stability』が必要な部位と『mobility』が必要な部位
頚椎:stability
胸椎:mobility
腰椎-骨盤帯:stability
股関節:mobility
股関節は本来mobilityを有していないといけない関節ですが、股関節伸展制限といった現象が生じ、mobilityとしての役割が果たせなくなると、本来stabilityとしての役割をもつ『腰椎』が可動性を代償してしまうので、本来ある腰椎のニュートラルゾーンを大きく超えて可動性が求められるので、組織に障害が生じ腰痛に発展する。(可能性の一つ)
☆合わせて読みたい☆ 股関節伸展制限と腰痛 |
最後に
先程も少し触れましたが…
例えば、腰痛があるんだけど原因は胸郭や胸椎だ。
というように、局所(患部)とは離れた部位を原因として考えるような場合に、仮説の一要素としてFMAの知識を持っておくのはアリだと思います。
なぜならば、腰痛の原因として少し離れた部位である胸椎や胸郭に原因があると推論した時に、大前提に考えないといけないのは…
『なぜ腰痛なのに胸椎や胸郭が問題だと思ったのか』
という部分だからです。
FMAはそれを裏付けるための根拠の一つとして有効だと思います。
『局所と違う部位に目をつけて、局所以外を触ったら局所の痛みが取れました』
極稀にこれを「ゴッドハンドになったぜ…」とかっこいいと感じがいしている方を、まあちらほら見かけます。
もちろん結果も大事なのですが、そうではなくて、腰痛の原因として胸椎や胸郭など、局所とは違う部位に目を付けた時は、きちんとそこに至るまでのプロセスを大事にしてほしいなあと個人的には思っております。
要は、この『?』の中に入る部分をきちんと考える必要があり、そのためにまずは自分なりで構わないのできちんとロジック(推論)を持つことが大切だと思うのです。
この『?』をぶっ飛ばして結論に至ること(この例で行くなら腰痛の原因は胸椎-胸郭である)を一般的に『推論が飛躍している』といったりします。
しかし、例に挙げた腰痛の原因が胸椎や胸郭にある場合、今回の『stability関節』と『mobility関節』の考えを、仮説構成の一要素(これが全てじゃない!あくまで一要素!)にできれば推論に飛躍が生まれにくくする知識の引き出しとして使えるのではないかと思います。
広い視点で、沢山仮説を立てていきましょーーう🙋♂️