【報告バイアス】アンケートを作成するときに気をつけたいポイントを解説

young woman talking to a mental health professional

日々の理学療法や作業療法を進めていく中で、『患者様に直接質問する評価』ってあると思うんです。

いくつか例を出すと、Pain Catastrophizing Scale(PCS)Oswestry Disability Index(ODI)Roland-Morris Disability Questionnaire(RDQ)などがあります。

こうした、いわゆる質問紙で行う評価は療法士が外部から観察するだけでは見えない部分(不安や恐怖、日常生活の過ごし方など)を評価できるため有効である一方、実は懸念しておくべき点というのもあります。

加えてこれは、理学療法や作業療法場面に限らず研究を行う際や、もしくは何らかのビジネスを行っていく際マーケット調査の一環として行うアンケートでも全く同じことが言えます。

そこで今回は、『質問紙やアンケート調査を行う際に気をつけておくべきポイント』というテーマで、特にゼロから問いを作っていく場面において陥りやすい点ついて解説していきたいと思います。

こんな人にオススメ
  • これから研究を行う予定でアンケートを作成する
  • 起業を考えていてマーケット調査のためにアンケートを作成する
  • 職場内で従業員満足度等を調査するためのアンケートを作成する

ひとまず、これからアンケートを作リマス!

という方は必ずご覧ください。

目次

【報告バイアス】アンケートを作成するときに気をつけたいポイントを解説

アンケートの目的とは

これから独立や起業を考えている方、もしくは臨床研究や職場内における働きやすさ、満足度調査を実施しようと考えている方がおそらく最初に取り掛かること。

それが『アンケートの作成』だと思います。

こと独立や起業に話しを絞ると、アンケート調査を行う目的は大きく以下の2つかなと思っています。

  1. 世の中に何が求められているかニーズを掴む
  2. 自分自身が提供しようと考えているサービスの適正価格を掴む

アンケート調査自体は「相手がどんなサービスを欲しているのか?」などなど一人で黙々と考えていても到底取れない情報だったりするので、これ自体は非常に価値が高いものであると思っています。

一方でアンケート調査を行うときに一つ注意すべきことがあります。 それが、「そこ(アンケート用紙)に書かれている内容は真実か?」という問いですね。

そのアンケート調査で本音拾えてる?

一旦みなさんは独立を考えているという体で話しを進めます。サービス形態は、なんとなくピンとくるであろう『整体』にしましょう。

そんなみなさんは、独立にあたって一般の方に対しアンケートを作成していくわけですが、その際「整体に行く時ってどんな時ですかー?」とか「なぜ、そのお店を選んだのですかー?」みたいなことをQ1・Q2というような設問を設けて聞いていくとします。

で、です。ここで問いたいのは、「この質問に対する回答って真実でしょうか?」ということですね。

この問いに対して僕自身は、案外そうでもないケースが多いんじゃないかと踏んでいます。

というのは、もちろん全員が全員ではないかもですが、アンケートを求められ回答する瞬間って当時「整体に行こう!!!」と強い欲求をもって決めた時と結構心境のズレが生じている可能性が高いからです。

要はですね。

お客様

究極に腰が痛い…もう誰か本当に助けて…

とすぐにでも治したいと思い、『整体を探す→お店を決める』というのが整体に通ったことがある人における一連の感情の変化として。

問題は、「アンケートに答える時に果たしてこの時の感情を想起しているだろうか?」ということですね。

そうすると、ですよ。 おそらく多くの場合、当時抱いた感情そのままに「そのお店を選んだ理由」を書く人って案外少なくて、言ったら「とてもありきたりな」もしくは「無難な」回答がそこには記されているパターンが多いような気がしています。

つまりこれって、実際に何らかの問題を抱えて当時その整体院を選んだ理由がアンケート調査の結果に反映されないわけですね。

本音よりも人から「どう見られるか」が勝つ可能性があることを理解すること

なぜ、当時抱いた感情がそのままアンケートの方に反映されないのか?

結論、「どのように見られるか」が勝っちゃうからだと僕は考えています。

アンケートを求められた時って当然自分自身が書いている内容を調査している人に見られるわけですから 「気持ち悪いやつだと思われたらどうしよう」とか、 「変なやつと思われたらどうしよう…」、他には 「頭いいっぽく思われたい」 など、要はいろんな理由が後付けで乗っかってきた状態で答えてしまうんですね。

だから、当時お店を選んだ理由や、「整体に行こう!」と思った瞬間の動機とはちょっとずれている可能性がまあまあ高いんです。

整体を利用した当時は、感情が優先されなんとも言葉にはできない右脳的な判断で決めたはずだが、アンケート調査の時は特に困ってもいないので、左脳的に思考し合理的かつ一般論的な答えを書いてしまいがち。みたいな

こんな風に、本音よりも「人からどう見られるか」というのが先に立ち、合理性や倫理観で答えてしまうことを『報告バイアス』と言います。

アンケート調査はメリットも沢山ある一方、このような報告バイアスが少なからず孕んでいる可能性があり、だからこそ負の側面として“本音を拾いにくい”というのが挙げられます。

アンケートを作る場合は『問い』が命

以上の負の側面を抑えた上で、アンケート調査を行うとき絶対に考えなくちゃいけないのが「いかにして本音を引っ張り出すか?」です。

マーケティング用語で言うと『インサイト』と呼ばれるやつですね。

インサイトというのは表面的なニーズとして表出されるようなものではなく、頭では理解出来ないほど感情に刺さるようなもののことを言います。

アンケートにて、ここをガッチリ掴むために必要な問い。

それは、「製品やサービスの何(What)が良かったor悪かったか?」というプロダクトありきの問いではなく、例えば「いま生活を送っていく中でどのようなことに困っているか?」ともっと大きな視点に立った質問が重要です。

製品やサービスについての質問では、どうしてもその製品を頭に思い浮かべ吟味し始めるので、答え方としても合理的なことを言わないといけない要素が大きくなります。

しかし、生活の中で何が困っているか(=これをペインポイントと言います)というご本人しか体験していないn=1の話しであれば、ありきたりな答えではなくその人が抱えている問題が出てきます。

このような個人のペインポイントをたくさん集めると、そこからそれらペインポイントのうち「自分が行っているサービスで解決できるものは何か?」という問いに変えていくとができます。

すると、大衆が困っているところにブレイクショットをかますことができるので、アンケート調査自体がサービスや製品開発へ非常に活きてくるわけです。

本音を拾いたいなら絶対に匿名にすべき

もう一つ、アンケート調査でできる限り本音を拾いたいのであれば、絶対に『匿名』にすべきです。

時々、アンケート調査で名前を記載しなければならないものがありますが、名前を書くって回答者からすれば一気に抵抗感が増すんです。

全然知らない人のアンケートに答えるにしても、「名前が知られる」となると、どうしても回答にバイアスがかかりやすくなってしまいます。

だからこそ、特段理由がないのであればアンケートは『匿名』にした方が良いです。

アンケートを作るときのポイントまとめ

それでは最後に、今回お伝えした内容のポイントを振り返ります。

今回のまとめ
  • アンケート調査では報告バイアスによって本音が拾えないことがある
  • 人は本音よりも他者から「どう見られるか」が勝つ場合がある
  • 本音を拾うために『匿名』は絶対守ること
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