【症例報告のコツ】統合と解釈の指導する際に必ず押さえておきたい3つのポイント

きんたろー
こんにちは。理学療法士のきんたろーです。

さて、今日はですね。

臨床実習におけるバイザーの先生や教員の皆様が、学生さんに『統合と解釈』をフィードバックする際、学生さんに必要な指導の仕方ってどうするの?」という点について解説していきたいと思います。

実は、これにはポイントが3つあってですね。

ここをしっかり押さえてフィードバックしていければ、少なくとも学生さんが「フィードバックしてもらったものの、なんのこっちゃサッパリ分からんぞこれ。詰んだ…」という状況は避けられるかと思います。

・これから実習生の指導にあたる予定がある。
・教員をしており、実習生に統合と解釈について教える機会がある。
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では、はじめていきますねー!
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【症例報告のコツ】統合と解釈の指導する際に必ず押さえておきたい3つのポイント

統合と解釈の指導① 思考の構造化マップを作る

 

はい、これはもう鉄則です。できれば確実に描けるようになって頂きたいです。

というのが、「統合と解釈のフィードバックを行うとき最も気合が必要な瞬間はどこか?」というと、これほとんどの場合…

『やたらと長く書き殴られた文章(統合と解釈)を提出された瞬間』だと思います。

このような統合と解釈はじめ、症例レポートを渡された瞬間、「どこから突っ込んだら良いのか…」と途方に暮れた経験がある人って中にはいらっしゃるんじゃないでしょうか?

これは僕の肌感ですが、日頃から論文なり読書なりにあまり触れていない人は特にここで躓きやすいような気がしています。

じゃあ、こんなときどうするか?

結論、まずは文章を必要な論点に分解し、学生さんの思考を構造化する営みが必要です。

この思考を構造化するプロセスや作り方については、現在僕が携わらせていただいているオンラインサロン『はじまりのまち』の方でかなり詳しく解説しておりますので、ご興味ある方はぜひご参加ください。

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はじまりのまちはこちら

なお、最近はこの思考の構造化を含めた『思考系』のセミナーを僕が経営するセンター(福岡)の方で開催しておりますので、ご興味ある方はInstagramで『リアルセミナー詳細』とメッセージ頂けたら、詳細ホームページをお送りいたします。

きんたろーのInstagram

本題に戻ります。

『統合と解釈』を適切にフィードバックしていくためには思考を構造化する必要があるんですが、これが行えるとどんなメリットがあるか?

という点について解説するとですね。

これ、学生さんが書いている「統合と解釈のどこがまずいことになっているかが明確に分かるようになる」ことが最大のメリットです。

実際に思考の構造化マップを描けるようになれば分かるんですが、構造化していくと明らかに抜け漏れがある箇所が浮き彫りになったり、ロジックがおかしなことになっていることに気づけるようになります。(全て描き出すため)

で、その時によくある誤りパターンというのが以前解説した以下4つのパターンです。

① ファクト情報に対する誤りに飛躍がある
②とりあえず大量にファクト情報並べちゃえ思考
③根拠はないが主張は強調パターン
④根拠に持ってきた情報が正確ではないパターン
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このうち、「統合と解釈がひたすら長い」というパターンの多くは②に陥っている傾向が強いです。

全ての検査測定がごちゃごちゃに解釈されており、文章は長くなる一方結論はよく分からないという状態です。

こういう時に、この文章全て読んでいては指摘するポイントの的が絞れず、指導する際に話しがあちこち飛んでしまいがちになってしまいます。

よって色々指摘する前にまずすべきことは、書かれている内容を構造化し分解すること(思考の構造化)です。

そして、この思考を構造化するときのポイントなんですが、これは学生さんの『考え』なのか『ファクト(事実)』なのかを確実に分けること。

ここが超重要です。

『考え』は解釈のハコに、『ファクト』は根拠のハコに入るように分けていくと、本人が何を言いたいのかだんだん分かってきます。

このように、長い文章も各ハコに分解することで、「こう解釈するならこの検査測定(ファクト)情報は一旦なくても良いかもね。」という風になることもありますし、もしくは「こう解釈したいなら、根拠としてこのファクト情報が必要になりそうだけどどうなってる?」というように指導することもできます。

統合と解釈の指導② 指導者の”考え”を正解に置かない

これに関しては、学生さんはもちろんですが、いわゆる『指導』や『フィードバック』を行うとき最もやりがちな誤りです。

フィードバックの際に、指導するあなたの考えをベースに統合と解釈を見るとどうなるか。

「ここの情報足りねえな…」とか「んー、自分が欲しい情報とは違うなぁ」“ダメな部分”にしか目がいかないという状況になりやすいです。

しかし、この時指導者の皆さんに必ず立てて頂きたい『問い』がありまして、それが、「臨床で果たして確実と言える絶対解ってありますか?」という問いです。

あなたの考えが臨床において『正解』なのであれば、その正解に答えをスポットさせていく指導は合理的だし良いかと思うのですが、一方で仮に「正解がない」ということを前提とした場合、指導者の考えていることに統合と解釈を寄せていくことって学生さんのためになるでしょうか?

『統合と解釈』というのは、むしろ『答えのないものに対して考える力を養うトレーニング』という位置付けで僕は考えているので、指導者と全く違う解釈があっても全然OKだしむしろ迎合するべきであると考えています。

ただ、そうすると「じゃあ何書いても良いのかよ」という風になっちゃうかもしれないのですが、当然それは違います。

だからこそ、「これは良いよねorこれはまずいよね」という判断すべき評価軸が必要なんです。

現状、その評価軸が『指導者の考えとの比較』になっているので、人によって指導のレベルが変わったり、最終的には人間性に対する指摘になったりと、よく分からない方向にフィードバックが進んでしまうこともあるわけです。

では、その『評価軸』に何を持ってくるか?

それが最後のポイントです。

統合と解釈の指導③ 評価軸は『納得感があるか否か』

『統合と解釈』のフィードバックを行うときに大切な視点。

それは、「学生さんの主張に納得感があるか否か」です。

要は、詰めるべきは「どんな知識が足りてないか」云々といった専門的なところではなく、「主張したいことに対する根拠がちゃんと示されていて、それが自分の言葉で言語化できているか?」という部分ではないかと思うのです。

なぜならば、詰めるべき視点を専門的な知識だけに置くと指摘が無限に終わらないんですね。

当たり前です。どう考えても指導者側と学生さんでは持っている知識量に差があるからです。(時々ここでマウントをとる指導者がいるようですが、正直これはめちゃめちゃダサいので自覚ある方は気をつけたほうがいいです。)

その結果、学生さんは指摘ばかり受けるという構図になるので、最終的に彼(彼女)らにとって『フィードバック』というのは恐怖の対象になるわけです。

一方で評価軸を『納得感』に置くとどうなるか。

仮に知識が不足していたとしても、学生さんが現状知っている検査測定をフル活用し、それを根拠にしながら自分の意見を主張できているならば現時点では合格ラインだと判断することができます。

納得感というのは、『主張と根拠に一貫性がある』という点ですね。

そして、この一貫性があるかないかというのは最初のポイントでお伝えした『思考の構造化』を行ってみれば、かなり明瞭にそれがハッキリとします。

例えば、もし仮にこの2つ(主張と根拠)にずれがあった場合、詰めるべきはここです。

ズレが出るパターンは繰り返しですが、先程列挙した4つのどれかに起因することが多いので、まずはどれに該当しているのかを見ていきます。(これ以外の可能性もある)

①ファクト情報に対する誤りに飛躍がある
ex)「その主張だと根拠が足りなくないかな?」

②とりあえず大量にファクト情報並べちゃえ思考
ex)「この主張がしたいならこのファクトいるかな?」

③根拠はないが主張は強調パターン
ex)「なぜそのように考えたの?」

④根拠に持ってきた情報が正確ではないパターン
ex)「この検査測定のやり方だとちょっと精度が落ちるかも。一緒に練習しよっか。」

繰り返しですが、この評価軸を指導者の知識にするとどうなるか?

自分の考えに誘導するようなフィードバックにしかならないので、学生さんは「先生は何を求めているんだろう…」と指導者の期待する答えを言おうと必死になる

(良い悪いは置いといて)指導者がセミナー等でしか習わない特殊な検査測定を教えまくってしまう。これ末路としては、『指導者の思考がゴール』という前提なので、そもそも知識に差があることから指摘が永遠に終わらない。(学生にとっては地獄ですね)

統合と解釈の指導まとめ

というわけで、以上が統合と解釈を行う際に押さえておきたい3つのポイントになります。

改めて最後に要点だけまとめておきたいと思います。

① 学生さんの思考を構造化できるスキルを持っておくと、指摘ポイントが明確になる。

② フィードバックの際は、「指導者の考えが正解である」という展開に持ち込まない。理由は、そもそも知識に差があるので指摘が永遠に終わらないから。

③ 評価軸は「知識が網羅的に抑えられているか?」ではなく「その主張と根拠に納得感はあるか?」が好ましい。