この記事では、理学療法もしくは作業療法を行っていく際によく使われる評価方法を一覧でご紹介しています。
それぞれの項目に詳細な解説記事も添付しているので、より深く勉強したい方はそれら記事をご覧ください。
きんたろー
理学療法士や作業療法士の皆さんは必読です!
目次
【2023年版】理学療法場面でよく使用される評価14選
1.Numerical Rating Scale:NRS
この評価をざっくり解説
- 痛みの『強さ』を評価するための評価方法。
- 特別必要な道具などもないため理学療法や作業療法の場面で簡易的に実施可能。
- 痛みの評価として間違いなく一番使われている評価方法だと思われる。
【痛みの評価】NRSとVAS、臨床で使うべきはこっち!
痛みの『強さ』を評価する際に、おそらく最も使用されるであろうツール。 それが、『visual analogue scale:VAS』もしくは『numerical rating scale:NRS』ではないかと…
2.マクギル疼痛質問表:SF-MPQ-2
この評価をざっくり解説
- 痛みの『質』を評価することが可能な評価方法
- “痛み”はどこまでいっても主観的なものであるため、対象者が痛みを「どんな風に感じているのか?」をマクギル疼痛質問表を通して理学療法士や作業療法士は知ることができる。
【疼痛の理学療法】痛みの『質』を評価する~マクギル疼痛質問表~
【【疼痛の理学療法】痛みの『質』を評価する~マクギル疼痛質問表~】 リハビリテーションの中で必ず関わってくるのが『痛み』 これまで『痛み』というのは、ただ「痛…
3.Pain Catastrophizing Scale:PCS
この評価をざっくり解説
- 対象者がもつ『痛みに対する捉え方(考え方)』を評価することができる。
- 痛みが慢性化する要素の一つに『破局的思考』というのがあり、PCSは破局化の程度を評価することができる。
- 特に慢性疼痛の理学療法や作業療法においては必須な評価方法である。
『破局的思考』の評価~pain catastrophizing Scale(PCS)~
近年、リハビリテーション業界(特に慢性疼痛界隈)の中で『破局的思考』という言葉がホットワードになってきています。 というのも、この『破局的思考』が痛みを拗らせ…
4.Tampa Scale for Kinesiophobia:TSK
この評価をざっくり解説
- 痛みが慢性化する要素の一つに『運動恐怖心』というのがあり、TSKは運動恐怖心の程度を評価することができる。
- 外傷や手術によって患部を痛めると、一定数の人は患部を動かすことに対して強い恐怖心を伴いやすい。
- 理学療法士や作業療法士は外側から見える対象者の動き方を、運動学的側面からのみではなく『運動恐怖心』など精神心理的側面も評価する必要がある。
【カットオフ値あり】運動恐怖心の評価であるTampa Scale for Kinesiophobia(TSK)を使いこなそう!
痛みのリハビリテーションを進めていく上でもはや欠かせないものとなってきたファクトが『痛みに対する情動的側面』や『痛みに対する認知的側面』です。 これは、単に身…
5.Central Sensitization Inventory:CSI
この評価をざっくり解説
- 中枢性感作とは(Central sensitization:CS)、中枢神経系(脳および脊髄)における痛覚過敏を誘発する神経信号の拡大と定義されている。
- 代表的なものに『ワインドアップ現象』がある。
- 『ワインドアップ現象』とは、痛みと感じない刺激でも短い間隔で反復して刺激すると痛み刺激に変化する現象のことである。
- 中枢性感作の影響が強いと、触覚や圧覚といった痛み刺激ではない刺激も『痛み』として知覚しやすくなってしまうことがある。
- 理学療法士や作業療法士側が中枢性感作の概念を知らなければ対象者の痛みを『不定愁訴』として扱ってしまう危険性がある(nishigami,2019)。
中枢性感作のメカニズムと評価について分かりやすく解説
【中枢性感作のメカニズムと評価について分かりやすく解説】 中枢性感作(Central Sensitization:CS)とは Woolfの定義における、中枢性感作とは 中枢神経系において痛覚…
6.Oswestry disability index:ODI
この評価をざっくり解説
- 腰痛疾患特異的な『活動量』を評価するための方法。
- 近年、痛みの理学療法や作業療法を進めていく際に“痛みのみ”にフォーカスせず身体活動量といった部分をアウトカムにすることの重要性が高まってきている。
- もう一つ、腰痛特異的な身体活動量の評価方法であるRDQよりも重症度が高いケースにてよく用いられる。
【腰痛の理学療法】ODIを用いて日常生活活動の評価を行おう!
慢性腰痛患者様の日常生活活動(ADL)の障害の程度を把握するための評価として、Oswestry Disability Index(ODI)というものがあります。 慢性腰痛に対する活動量の評…
7.Roland–Morris Disability Questionnaire:RDQ
この評価をざっくり解説
- 腰痛疾患特異的な『活動量』を評価するための方法。
- 近年、痛みの理学療法や作業療法を進めていく際に“痛みのみ”にフォーカスせず身体活動量といった部分をアウトカムにすることの重要性が高まってきている。
- もう一つ、腰痛特異的な身体活動量の評価方法であるODIよりも細かく(活動量の)障害の程度を追いたい時に活用するのがオススメ。(評価項目がODIよりも多いから)
【腰痛の理学療法】RDQって知ってる?腰痛特異的な活動量の評価方法を抑えよう!
RDQとは、 Roland-Morris Disability Questionnaireの略で、腰痛によってどれくらい日常生活活動が障害されているかを患者自身が評価する方法です。 RDQ日本語訳 &…
8.Measure Osteoarthritis Knee Japanese:JKOM
この評価をざっくり解説
- JKOMは変形性膝関節症患者様専用に作られたQOL評価法
- 国内においてQOLの評価で最も使用されているであろうSF-36よりも、疾患特異型な分質問項目が絞られていることと、膝関節疾患に合わせた質問項目で構成されているのが特徴。
- JKOMは理学療法ガイドラインで推奨グレードがAとなっており、評価の妥当性も非常に高いとされている。
【評価用紙あり】変形性膝関節症患者のQOL評価であるJapan Knee Osteoarthritis Measure(JKOM)を徹底解説
近年、痛みのリハビリテーションを進めていく上で、“痛みそのもの”に加えて、対象者の社会背景や生活の質(Quality of life:QOL)にも着目することの重要性が高まってきて…
9.二点識別覚×身体描画法
この評価をざっくり解説
- 2点識別覚と身体描画法を組み合わせると、対象者の身体イメージの状態を評価することができる。
- ただし、今のところ慢性疼痛患者の評価に限る。
- 「身体イメージが障害されている」といった表現をよく使う理学療法士さんや作業療法士さん必見。
身体イメージの評価方法について解説します
皆さん臨床において、『身体イメージ(ボディイメージ)』というワードを使うことって多くないですか? 特に、脳卒中をはじめとするようは神経疾患系のリハビリテーショ…
10.身体知覚の評価
身体知覚をざっくり解説
- 近年、痛みの病態として筋骨格系のみではなく中枢神経系(脳-脊髄)や末梢神経系の関与が強いことが明らかになってきている。
- 『身体知覚』機能は主に痛みの認知的側面の領域である。
- 身体知覚機能に問題が生じると、患部は完治したにも関わらず痛みが続いたり自分の体を思うように動かせないといった症状を呈することがある。
- 身体異常知覚がある慢性疼痛患者とそうでない人を識別するための評価が2021年に発表された。(詳細は以下の記事)
【痛みの認知的側面】非特異的慢性腰痛の感覚-運動および身体知覚評価
本記事は、オンラインサロン『はじまりのまち』内で発信している記事です。本サイトでは途中までご覧いただけます。 本日は、非特異的慢性腰痛のリハビリテーションを進…
11.股関節疾患の評価
この評価をざっくり解説
- 股関節疾患でよく用いられる評価には大きく5つある。
- 『トーマステスト』、『モディファイド・トーマステスト』、『エリーテスト』、『オーバーテスト』、『モディファイド・オーバーテスト』についてのやり方やそれぞれの特徴については以下の記事で解説
【整形外科テスト】股関節疾患でよく用いられる評価5選
病院やクリニックにおいて、股関節疾患の患者様を担当する理学療法士や作業療法士の方は数多くいらっしゃると思います。 そこで今回は、整形外科的テストの中でも股関節…
12.bimanual circle-line coordination task:BCT
この評価をざっくり解説
- 対象者が運動イメージが行えているか客観的に評価するための方法。
- これまで運動イメージを評価する際の課題として「対象者の頭の中での出来事だから精査ができない」というのがあった。
- BCTは『書く』という行為を用いて運動イメージが行えているかが客観的に評価することが可能。
- ただし、今のところ上肢の評価しかできない。
- 脳卒中後の上肢麻痺における評価としてオススメ。
運動イメージを定量的に評価する方法〜bimanual circle-line coordination task(BCT)〜
近年リハビリテーションの現場において、『運動イメージ』を臨床に用いるケースというの増えてきており、特に脳卒中後遺症や切断、CRPSをはじめとする慢性疼痛の領域に…
13.Functional Assessment for Control of Trunk:FACT
この評価をざっくり解説
- 脳卒中後、体幹の運動機能を評価するための方法。
- その他の体幹機能検査であるSIASやTCTよりも細かく、TISよりも早く検査することが可能。
【脳卒中評価法】Functional Assessment for Control of Trunk:FACTについて分かりやすく解説!
脳卒後遺症患者様に対して体幹機能を評価をする場面ってよくあるかと思います。 その際、用いる評価バッテリーには『Stroke Impairment Assessment Set:SIAS』や『Trunk…
14.FIMとBarthel Index
この評価をざっくり解説
- ADLの評価方法には大きく2種類ある
- 機能的自立度評価法(functional independent measure:FIM)とBarthel Index
【APDL?IADL?】ADLに関連する用語と評価方法を整理しよう!
理学療法の目的は、基本的動作能力の回復と定義されています。 基本的動作とは「立つ」、「座る」、「寝返る」、「起き上がる」、「歩く」といった動作になるわけですが…
コメント